睡眠不足は機嫌や気分にはどれだけ悪影響があるのか?

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睡眠不足はもちろん悪いもので、睡眠不足になると日中の集中力がなくなったり、健康面でのリスクが高まったりなどの影響があります。そして、睡眠不足の悪い影響の中には、イラつきやすくなったり、気分が落ち込みやすくなったりといった「感情面への悪影響」があることも分かっています。

本稿で注目するのはこの感情面への悪影響で、

  • 睡眠不足になると人はどれだけ気分や機嫌を害されやすくなってしまうのか?

を調べてくれたフリンダース大学らの研究を見ていきたいと思います。

睡眠不足と気分の低下

この研究では睡眠不足と気分の関係について調べた先行研究74件を厳選して、メタ分析でそれらの結果をまとめてくれています。これらの研究には合計で361,505人のサンプルが含まれていて、これらのデータから

  • 睡眠不足でどれだけ気分が悪くなるリスクが増えてしまうのか?
  • 睡眠不足では怒りや不安など、どんな気分が影響されやすいのか?

といったことを分析してくれています。

結果:

結果として、全ての種類の気分を平均したときに、睡眠不足でどれだけ気分が低下してしまう可能性が高まるのかというと

  • 睡眠不足の人は気分障害のリスクが55%向上した

ということ。この気分には怒りや不安、落ち込みなどが含まれていて、これらの症状に陥る可能性が大きく高まってしまうということです。

それで、もう少し具体的に睡眠不足でどのような気分が低下しやすいのかも分析してくれていて、悪影響を大きく受けるものは順番に以下のようになっています。

  • 1位:ポジティブな感情
    睡眠不足の影響を最も大きく受けるのはポジティブな感情で、睡眠不足になると怒りなどのマイナスの感情を感じやすくなる以上に、幸福感などのポジティブな感情を感じにくくなってしまうということです。オッズでいうとポジティブな感情を感じにくくなってしまうリスクは102%向上していて、特に大きなリスク向上になっています。
  • 2位:怒り
    2位が怒りで、睡眠不足になると怒りのリスクが83%も向上してしまうということです。睡眠不足でイライラしやすくなったり、怒りっぽくなるのはよく聞く話なので、怒りが2位につけているのも理解できます。
  • 3位:落ち込み・うつ
    3位が気分の落ち込みやうつ症状で、睡眠不足になることでこれらのリスクが62%向上してしまうということです。睡眠不足になるとポジティブな感情を感じにくくなるということもあって、どうしても考え方がネガティブな方向に傾いてしまうのかもしれませんね。
  • 4位:ネガティブ感情
    4位がネガティブ感情で、睡眠不足でネガティブ感情のリスクが60%高まってしまうということ。ネガティブ感情には怒りや不安、悲しみなどの負の感情を総合したものになります。一位のポジティブな感情のリスクが102%向上に対し、ネガティブな感情が60%で、対比してみるとポジティブな感情への影響度の高さがよく分かります。
  • 5位:不安
    5番目が不安で、睡眠不足で不安のリスクは41%高まってしまうということ。負の感情の中では比較的リスクの向上は低い方ですが、それでも41%もリスクは向上しているので、睡眠不足がいかにメンタルに悪いのかが分かりますね。

面白いのがネガティブな感情よりもポジティブな感情の方が睡眠不足に影響されやすいということ。怒りや落ち込みなどの症状がないので大丈夫だと思っている人でも、実はもっと睡眠を取った方が1日の充実感や幸福感をもっと感じられるということもあるかもしれません。

まとめ

本稿では「睡眠不足が気分にどれだけ影響するのか」についてお話ししました。

ポイントをまとめると

  • 睡眠不足は怒りや落ち込み、不安といったネガティブな感情のリスクを41%〜83%向上してしまう
  • しかしそれ以上に、睡眠不足は幸福感のようなポジティブな感情を感じにくくしてしまうリスクを102%も上げてしまう

ということですね。

睡眠はネガティブ感情に囚われないようにするという意味と、幸福のようなポジティブを感じやすくするという2つの意味で大切ということ。活力的で充実した1日を過ごすためにも十分な睡眠は欠かせないですね。


[参考文献]

*1 : The relationship between sleep duration and mood in adolescents: A systematic review and meta-analysis

Naoto

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