心理対比で本当に目標達成の行動意図は高まるのか?

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ダイエットで5kg痩せたいとか、勉強して資格試験に合格したいとか、目標を高く持つことは大切です。しかし、いくら目標を達成したいと思っていても、なかなか日々の行動が伴わないことも多いでしょう、

この点については心理学の研究でも取り上げられていて、目標に対する意欲だけでなく、実際に行動を起こす意欲も大切だと言われています。ここでいう行動を起こす意欲とは、いつ・どこで・どんな行動をしようという具体的な行動の意図になります。

そこで本稿では

  • 行動意図を高めるのに、心理対比はどれだけ役に立つのか?

を分析してくれた研究を見てみましょう。

心理対比とは

心理対比とは、目標を達成したときのポジティブな将来を思い浮かべるのと一緒に、目標の達成の過程でぶつかる現実的な問題といったネガティブな面も考える方法です。例えば、ダイエットに挑戦するなら、痩せたときの良いイメージと一緒に、

  • コンビニでついお菓子を買ってしまうかもしれない
  • 外食に誘われたとき食べ過ぎてしまうかもしれない
  • 運動が億劫になって続かないかもしれない

とか、失敗の可能性をあらかじめ考えておくんですね。

心理対比には3つの良い効果があることが知られていて

  • 認知が現実的になる
    人は目標達成の計画をするときは、楽観的に無茶な計画を立てやすいもの。しかし、心理対比では現実的な問題に目を向けるので、事前に将来失敗しやすい状況を認知して、その対策なども用意することができる。
  • 目標達成への活力が増す
    今の問題点をどう克服するかの行動を考えることで、その問題を乗り越えて目標を達成しようという活力が増す
  • ネガティブなフィードバックを活用できるようになる
    人は褒められると嬉しいもので、間違いの指摘などのネガティブなフィードバックはできれば受けたくないもの。心理対比では現実的に目標達成を考えるので、ネガティブなフィードバックを有益な情報として受け入れられるようになる。

ということ。これらの効果で心理対比を行うと目標達成がしやすくなることが分かっているんですね。

心理対比と行動意図

冒頭で目標を達成するには、目標を強く望むだけでなく、日々の行動意欲が高まらなければいけないという話をしました。

心理対比は、行動意欲についても有益だと考えられて、

  • 目標達成の問題点に目を向けてその対策を考えることが、具体的な行動意図を高めてくれる

ことが想定できます。

例えば、ダイエットで「お菓子をつい食べてしまうかもしれない」という課題があれば、「お菓子を食べたくなったら、代わりにナッツを食べる」と具体的な対策の行動を考えることができるわけですね。

それでは、本当に心理対比が行動意図を高めてくれるのか?

中国の研究が、24件の研究結果をメタ分析でまとめてくれていますので、その結果を見てみましょう。

結果:心理対比で行動意図は高まるのか?

メタ分析の結果として分かったことは

  • 心理対比の行動意図への効果量は0.336で小〜中程度の効果あり

ということ。心理対比は行動意図がガッツリと大きくは高めてくれませんが、確かに日々の行動意図を支えてくれるようです。

ちなみに、メタ分析で分かったポイントとして

  • 文章で心理対比を指示するよりも、研究者が直接指導した方が心理対比の効果も高かった
    (効果量 0.277 vs 0.465)

ということも分かっています。なので、メンター的な人が指導方法の一環として、心理対比を取り入れるのも有効だと考えられるのではないでしょうか。

まとめ

本稿では「心理対比で目標達成の行動意図は高まるのか?」についてお話ししました。

ポイントをまとめると、

  • 心理対比で目標達成の障害を事前に考えることは、目標達成への行動の意図を小〜中程度高めてくれる

ということ。

If-thenプライニングと言って「もし〜になったら、〜をする」という形式で行動を計画するのが、特に目標達成に有効だと言われています。「勉強に集中できなかったら、10分瞑想する」とか、「外食では食べ過ぎないように、必ずサラダを注文する」とか、心理対比で考えた障害に対して具体的な対策行動をセットにすると、行動力も高まるでしょう。

以上、本稿はここまで。


[参考文献]

*1 : A Meta-Analysis of the Effects of Mental Contrasting With Implementation Intentions on Goal Attainment

Naoto

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