ゴールに向かってスラスラ進んでいる感を持つ人の特徴って何?

目標を立てても思うように達成ができないことも多いでしょう。

ダイエットの目標を立てたのに、数日後にはお菓子を食べてしまったり。
勉強の目標を立てたのに、数学の教科書が意味不明すぎて挫折したり。

目標達成への道のりではいくつも障害にぶつかるもので、これが目標達成を困難にしているわけです。(目標を立てる時はポジティブ思考になって、障害については忘れがちなものですが…)

しかし、中には不思議とゴールに向かってスラスラと突っ走れる人もいるもの。
こうした人は何かが違うように思えます。

一番単純に思いつくのは障害に対応する能力が高さですが、今回注目する研究(*1)では

  • 目標に向かってスラスラ進める人は、心理面でも特徴があるのでは?

ということも分析しています。

モチベーションはWant-Toか?Have-Toか?

マギル大学らの研究(*1)が注目したのは目標に対するモチベーションの持ち方。

その切り口としてモチベーションをWant-ToモチベーションとHave-Toモチベーションに分類をします。

  • Want-Toモチベーション
    自分がやりたいと思ってやるモチベーション
  • Have-Toモチベーション
    やらなければいけないという義務感によるモチベーション

例えばダイエットをするのにも、「自分の理想の体を手にしたい」というWant-Toなモチベーションの持ち方もあれば、「本当はやりたくないけど周りがみんな痩せてるから自分も痩せなきゃ」というHave-Toなモチベーションもあります。この分類はどちらか一方にキッパリ分け切れるものでもなく、Want-To:3に対してHave-To:7みたいな程度の問題でもあります。

実験:Want-ToとHave-Toと目標へのスラスラ感

Wanto-ToとHave-Toのモチベーションの違いは、障害にぶつかったときの心理に影響することが想像できます。例えば、自分の好きで追求している目標には、障害があっても前向きにトライしていけるそうに思えます。一方で、仕事でやらされている目標では、障害があるとネガティブな思考(不満など)になってしまいそうでしょう。

そこでマギル大学の研究では、シナリオ実験により

  • 目標に対してWant-Toなモチベーションを持つ人と、Have-Toなモチベーションを持つ人で、障害の捉え方はどう変わるのか?

を調べています。

結果:Want-Toモチベーションの効果の程は?

早速実験の結果を見てみると、

  • Have-Toモチベーションの人は障害を大きな問題と感じやすかったが、Want-Toモチベーションの人は障害を大きな問題とは感じにくかった
  • そもそもHave-Toモチベーションの人は障害の多い環境を選びやすく、Want-Toモチベーションの人は障害をうまく避ける環境を選びやすかった(例えば、勉強するなら静かな場所、ダイエット中ならお菓子は目の届かない場所にしまうなど)

ということ。

つまり、Want-Toモチベーションの方が障害を感じる頻度が少なく、目標に向かってスラスラ進んでいる感覚を得やすいんですね。なので、スラスラ感が欲しければ、その目標を達成したいと思える自分なりのWant-Toな理由を見つけると良いでしょう。

結果2:セルフコントロール能力はどう影響するのか?

この研究ではWant-To/Have-Toモチベーションの他に、セルフコントロール能力の違いが障害にどう影響するのかも調べています。その結果を見ると

  • セルフコントロール能力が高い人も、障害をうまく避ける環境選びがうまく、障害にぶつかっても大きな問題と感じることが少なかった

ということ。

なんとセルフコントロール能力にもWant-Toモチベーションと同じ効果が確認されています。セルフコントロール能力が高い人は、障害が少ない環境づくりを心得ていて、障害にぶつかっても誘惑に負けずにうまく自分を制御できるのでしょう。

まとめ

本稿では「ゴールに向かってスラスラ進んでいる感を持つ人には、どんな特徴があるのか?」についてお話ししました。

ポイントをまとめると、

  • セルフコントロール能力が高い人とWant-Toモチベーションを持つ人は、障害を大きな問題と感じにくく、さらに障害を避ける環境づくりもうまかった
  • Have-Toモチベーションを持つ人は、障害を大きま問題と感じやすく、障害の多い環境を選びやすかった

ということ。

テレサ・アマビール博士の研究では、仕事のモチベーションや満足感に一番大きく影響する要因は”進捗している感覚”だと言っています(著書「マネジャーの最も大切な仕事――95%の人が見過ごす「小さな進捗」の力」)。なので、困難な目標に挑戦するときほど、Want-Toなモチベーションを探すようにしましょう。

以上、本稿はここまで。


[参考文献]

*1 : Experiencing obstacles during goal pursuit: The role of goal motivation and trait self-control

Naoto

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