座りすぎは1日何時間から危険?126万人のメタ分析が示した9時間ライン

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「座りすぎは体に悪い」という話はもう何度も聞いたことがあると思います。ただ、じゃあ1日何時間から危ないのかと聞かれると、はっきり答えられる人は少ないはずです。

そこで本稿では、参加者100万人超を集めたメタ回帰分析から

1日の座位時間は、何時間を超えると死亡リスクが上がるのか?

を見ていきましょう。

どんな研究か

Po-Wen Kuらの研究チームが、2018年に医学誌BMC Medicineで発表したメタ回帰分析です。

  • 19件の前向きコホート研究を統合
  • 参加者は1,259,482人
  • 平均追跡期間7.8年、死亡86,671件
  • 座位時間と全死因死亡の関係を、何時間を超えるとリスクが大きく増え始めるのかというカットオフ値の視点で解析した

座りすぎの研究はたくさんありますが、多くは「座位時間が長い群と短い群を比べる」という形でした。この研究の狙いは、連続量として扱って境目を探すところにあります。

結果:境目は9時間

結論から書くと、全死因死亡リスクが大きく増え始めるは測定方法によって変わり、

  • 自己申告による座位時間:1日7時間を超えるとリスク上昇
  • 機器測定(加速度計など)による座位時間:1日9時間を超えるとリスク上昇

となっていました。

機器測定の正確な測定が自己申告よりも2時間も長く、自己申告だと自分の座りっぱなしの時間を甘く見積もってしまう事が推測されます。例えば、仕事で7時間は座っているなと思う人は、機器測定では9時間を超えている可能性があるので注意が必要そうです。

そして、9時間を超えたあとの全死因死亡リスクの上がり方がこちらです。

1日の座位時間全死因死亡のハザード比
9時間1.22
10時間1.35
12時間1.63
14時間1.96

9時間から死亡リスク1.22倍はどんどん増えていき、14時間では約2倍ほどに達しています。時間が増えるほどリスクも急激に上がっているので、座り時間が9時間を超えてしまっている人は、少しでも座り時間を減らす工夫ができると大きなリスク低減につながるでしょう。

座りっぱなしは運動で解消できるのか?

座りすぎが体に悪いと分かっていても、仕事がデスクワークでどうしても座る時間が長くなってしまう人も多いと思います。そんな人は死亡リスクを下げるためにできることがないのか?

先行研究では、

中〜高強度の身体活動が1日およそ60〜75分ある人では、座位時間が8時間を超えても死亡リスクの上昇が見られなかった

という研究結果もあります。つまり、運動で座りっぱなしの悪い面が解消できているわけですね。

1日60分の運動はなかなか大変なものではありますが、運動が習慣になっている人にとっては朗報です。

この研究の限界

この研究の弱点としては次の点が挙げられます。

  • 観察研究の統合である。座位時間を割り付けた実験ではないので、因果関係の証明ではない
  • 逆の因果が強く疑われる領域である。体調が悪い人・すでに病気のある人ほど座っている時間が長くなる。この向きの説明でも同じ結果が出る
  • 座り方の中身を見ていない。9時間ぶっ続けと、30分ごとに立ち上がる9時間が同じ数字になってしまう

観察研究ではありますが、9時間という具体的な時間は自分の座り時間を見直す良い基準になると思うので、一つの参考にしてみると良いのではないでしょうか。

まとめ

この研究では、座りっぱなしが何時間からリスクが高まるのかについて研究を見てきました。

現実的な活用方法としては、

  • 自分の座り時間を見積もってみて、9時間を超えていそうな人は座りっぱなしの対策をしよう
    (自己申告は甘めになりがちなので多めに見積もろう)
  • 1日に60分以上の運動をしている人、これから頑張れる人は運動しよう
  • 運動する習慣がない人は60分の運動はしんどいので、座り時間を少しでも短くする工夫をしよう

座り時間を少なくするには1時間に1回は立ち上がるようにするなど、簡単なところから始めてみると良いでしょう。

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関連して、座りすぎはどのくらい運動すれば解消できるのか?座りっぱなしだとメンタルはどれだけ悪化するのか?スタンディングデスクで仕事の効率が上がるのか?の実験座りっぱなしを防ぐのにもデフォルトナッジが有効だぞという研究座りすぎや運動不足は、幸福感や仕事の生産性にどう関係するのか?の研究といった記事もあります。

以上、それでは良い健康ライフを!

参考文献

  • Ku PW, Steptoe A, Liao Y, Hsueh MC, Chen LJ. A cut-off of daily sedentary time and all-cause mortality in adults: a meta-regression analysis involving more than 1 million participants. BMC Med. 2018;16(1):74. 原文

ナオト

論文とトレーニング好きなエンジニア。IT系のソフトウェア開発の仕事をしながら、心理・運動・健康の研究論文を読んでシェアしています。トレーニング歴8年以上。

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