筋トレの科学。重量・回数・頻度・栄養を研究からまとめた完全ガイド

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このブログでは2019年から、筋トレに関する研究を1本ずつ紹介してきました。その数は現在67本。ただ、1本ずつ読んでいくと「で、結局どう組み立てればいいのか」が見えにくくなります。

そこでこの記事では、これまで紹介してきた研究の結論を、実際にトレーニングメニューを組む順番に並べ直しました。各項目には元記事へのリンクを置いてあるので、気になったところだけ掘り下げてください。

先に全体像を一言でまとめると、こうなります。

筋肥大を決めるのは「総ボリューム(重量×回数×セット数)」。重量設定やテクニックは、そのボリュームを積むための手段にすぎない。

この一文が頭に入っていると、以下の細かい話の位置づけが自然に決まります。

1. まず「筋力」か「筋肉量」かを決める

同じ筋トレでも、最大重量を伸ばしたいのか、筋肉を大きくしたいのかで最適解が変わります。目的・レベル別の組み方の記事でも触れましたが、大まかにはこうです。

  • 筋力を伸ばしたい(ベンチプレスの最大重量など)→ 高重量×低回数。神経系を鍛えるトレーニング
  • 筋肉を大きくしたい(筋肥大)→ 重量よりも総ボリューム。中〜低重量で回数とセット数を稼ぐ

高重量と低重量を比較したメタ分析によると、筋肥大自体はどの重量設定でも起きます。ただし上級者ほどボリュームが効いてくるため、回数とセット数を増やしやすい中〜低重量が有利になります。

極端な例として、腕立て伏せと低負荷のベンチプレスを比べた研究では、胸筋の肥大は同じくらいでした。つまり自重トレでも筋肉は十分に大きくなるということです。ただし最大重量を伸ばしたいなら、やはり高負荷が必要になります。

2. 筋肥大の主役はボリューム

ボリュームと筋肥大の関係を調べた研究では、はっきりした差が出ました。

  • 筋肥大はボリュームに比例して大きくなり、1種目5セットまで増やしたときが最も効果が高かった
  • 一方で筋力と筋持久力の伸びは、ボリュームを増やしてもほとんど変わらなかった

ボリュームを増やすデメリットは、単純にトレーニング時間が長くなることです。自分が確保できる時間の中で、どれだけボリュームを積めるかという発想でメニューを組むのが現実的でしょう。

3. 頻度と分割法

トレーニング頻度と分割法についての研究の結論はシンプルでした。

  • 週3日以下ならフルボディ(全身を毎回)がおすすめ
  • 週3日を超えてボリュームを増やしたいならスプリット(分割)がおすすめ
  • そして頻度そのものより、1週間の総ボリュームのほうが大切

「週何回やるか」で悩むより、「1週間で合計どれだけ積めるか」で考えたほうが本質に近いということですね。

4. インターバル(セット間の休憩)

意外に思われるかもしれませんが、セット間の休憩を比較した研究では長めのインターバルのほうが効果が高いという結果でした。重量を扱う場合も、ボリュームを増やす場合も同様です。

実践的には、メイン種目は長めのインターバルでしっかり行い、単関節種目などのサブ種目は短いインターバルでテンポよく、という組み方が効率的です。

なお1回ごとに短い休憩を挟む方法も試されていますが、動作の初動が速くなる効果はあるものの、筋肉の厚みや最大重量といった多くの指標では通常のトレーニングと差がありませんでした。時間対効果を考えると、あえて選ぶ必要は薄そうです。

5. どこまで追い込むか

ここは多くの人の直感と逆かもしれません。限界まで追い込むかどうかを比べた研究では、限界まで追い込まないほうが筋力の伸びは少し大きいという結果が出ています。あと1〜3回できそうなところで止めるイメージです。

理由の一端は追い込みと回復の関係を調べた研究にあります。限界まで追い込むと筋肉の疲労が大きくなり、回復にかかる時間が長くなります。すると翌日以降のトレーニングのボリュームが落ちてしまい、週単位で見ると総ボリュームが減ってしまうことがあるわけです。

怪我のリスクやトレーニングの辛さも減るので、毎回限界まで追い込む必要はないと考えてよさそうです。

時間を短縮したい場合は、レストポーズ法という選択肢もあります。下半身の筋量と筋持久力の向上に有効で、トレーニング時間の短縮にも役立ちます。

6. 動作スピードとフォーム

動作スピードを比較した研究のポイントは、速さそのものよりエキセントリック(筋肉が伸ばされる動き)でしっかり負荷に抵抗することでした。ただし6秒かけるようなゆっくりすぎる動作だと高重量を扱えなくなるので、「速くしよう」ではなく「ゆっくりしすぎない」くらいの意識が良さそうです。

前提として、正しいフォームを維持できる範囲であることが条件になります。

7. 可動域はどこまで取るか

可動域については、結論がはっきりしています。深く、広く動かすほうが効果的です。

  • スクワット:しゃがみが深いほど筋力とパワーの伸びが大きい。フルスクワットが最もおすすめ
  • ベンチプレス:胸にバーをつけるフルレンジが効果的。手幅はワイドのほうが重量が上がるが、角度は±25°程度なら大きく変わらない

高重量を無理に扱おうとすると、どうしても可動域が狭くなりがちです。重量を少し落としてでも、フルレンジで丁寧に行うほうが結果的に効果は高くなります。

8. 種目の順番

種目の順番に関する研究では、最初に行う種目が最も伸びやすいことがわかっています。回数が多くこなせて、神経活動も強く、結果として筋力の伸びも良くなります。逆に後半の種目は回数も重量も落ちます。

多関節種目と単関節種目のどちらを先にやるか調べたメタ分析も同じ方向の結論でした。

  • 筋力は、先に行った種目のほうが伸びる(多関節・単関節どちらでも同じ)
  • 筋肥大は、どちらを先にやっても変わらない

つまり、最大重量を伸ばしたい種目があるなら最初に持ってくる。弱点を克服したい部位があるなら、その種目を最初に。それ以外は大きい筋肉から順に組むのが基本になります。

9. 停滞を抜けるには

重量と回数の設定を変える研究によると、設定をずっと固定していると筋力の伸びは停滞します。変更の頻度は細かいほど効果が高く、1日ごとに変えると伸びが早くなりました。

たとえば週2回のベンチプレスなら、1日目は中重量で10回×3セット、2日目は高重量で5回×5セット、というように波をつける形です。

一方でセット毎に重量を上げ下げする方法は、トレーニングボリュームが同じであれば筋力・筋肉量ともに差がありませんでした。好きなやり方で構わないということです。

刺激を変える手段としては、加圧トレーニング、クラスターセット、スーパーセット、ドロップセットなどのテクニックも筋肥大に効果があることが確認されています。

10. タンパク質はどれくらい必要か

ここは正直に書いておきます。研究によって推奨量に幅があります。このブログで紹介したものだけでも、次のように差がありました。

数字が割れているのは、対象者(初心者か上級者か)や測定方法が違うためです。実用上は体重1kgあたり1.6〜2gあたりを目安に置いて、自分の体重と食事量から逆算するのが現実的だと思います。体重60kgなら1日100〜120g前後ですね。

タイミングについては、プロテインはトレーニングの前後どちらでも構いませんトレーニング後は3時間間隔で補充する、寝る前はカゼインプロテインが良いといった工夫も紹介されています。

減量中はもっと必要になる

減量中のタンパク質摂取量の研究では、除脂肪体重1kgあたり2.3〜3.1gという、かなり多めの数字が出ています。あわせて重要なのが減量ペースで、週に0.5kg(または体重の0.7%)以内に抑えるのが推奨されていました。体脂肪率が低くなるほど筋肉も落ちやすくなるため、絞り込みすぎないことも大切です。

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11. カロリーが足りないと、タンパク質だけ増やしても無駄

見落とされがちですが、総カロリーと筋肥大の研究は重要な指摘をしています。食事の総カロリーが足りていないと、タンパク質を増やしても筋肉の合成は低下してしまうのです。

筋肉を増やしたいなら、1日の消費カロリーに+350〜500kcal以上を上乗せするのが目安とされています。たくさん食べられない人は、ナッツのような質の良い脂質や、液体で摂れる炭水化物を使うとカロリーを稼ぎやすくなります。

12. サプリメントで根拠があるもの

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13. 睡眠と回復

睡眠不足と筋トレの研究の結果は、なかなか厳しいものでした。

  • 寝不足だと、特にコンパウンド種目(多関節種目)の最大筋力が落ちる
  • 成長ホルモンが減り、筋肉もつきにくくなる
  • 寝不足の日数が長引くほど、悪影響も大きくなる
  • どうしても寝不足の日は、トレーニングは早めの時間帯のほうが良い

回復方法については科学的な根拠のあるものを調べた記事で、マッサージ・加圧ウェア・冷水浴の3つが手軽かつ効果が期待できるものとして挙がっています。

14. 有酸素運動と組み合わせるとどうなるか

筋トレと有酸素運動の組み合わせを調べた研究の結論です。

  • 筋力だけを伸ばしたいなら、筋トレ単独が最も効果が高い
  • 組み合わせると筋力の伸びは少し落ちるが、脂肪を減らす効果は最も高くなる
  • どちらを先にやるかによる違いはなかった

HIITとの組み合わせについては別の研究があり、下半身の筋力の伸びがわずかに低下するものの、筋肥大と上半身の筋力は変わりませんでした。組み合わせるならランニング型のHIITが良く、筋トレとの間隔は24時間ほど空けるのが推奨されています。

15. トレーニングする時間帯

最後に、よく聞かれる「朝と夕方どちらが良いのか」問題です。時間帯を比較した研究によると、人は夕方(16時ごろ)に最大の力を発揮する傾向があります。

ただしトレーニングを続ければ、他の時間帯でもうまく力を発揮できるようになります。結論としては、時間帯による差はあまり気にせず、自分が習慣にしやすい時間を選ぶのが正解です。筋トレは継続が何よりも大切ですから。

まとめ:優先順位をつけるなら

ここまで15項目を見てきましたが、すべてを一度に完璧にする必要はありません。効果の大きさで並べると、おおよそこの順番になります。

  • 1. 続けること どれだけ最適なメニューでも、続かなければ意味がありません
  • 2. 週の総ボリュームを確保する 筋肥大の主役はここです
  • 3. タンパク質と総カロリー 食べていなければ筋肉は増えません
  • 4. 睡眠 寝不足は筋力も成長ホルモンも削ります
  • 5. 可動域とフォーム 深く、広く、正しく
  • 6. 種目の順番と重量設定の波 停滞を抜けるための調整
  • 7. サプリメント 1〜6ができてから考えるもの

サプリを吟味する前に、まず寝て、食べて、続ける。研究を追いかけてきて改めて感じるのは、結局そこが土台だということです。

各項目の詳しい内容は、本文中のリンクから元記事に飛べます。気になったテーマから読んでみてください。

※本記事は学術研究の紹介であり、医療上の助言ではありません。持病がある方や妊娠中の方は、トレーニングや食事内容を変更する前に医師にご相談ください。研究結果は特定の条件下で得られたものであり、すべての人に同じ効果を保証するものではありません。

ナオト

論文とトレーニング好きなエンジニア。IT系のソフトウェア開発の仕事をしながら、心理・運動・健康の研究論文を読んでシェアしています。トレーニング歴8年以上。

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