筋トレはセット毎に重量を変えた方が効果が上がるのか?

セットと重量の3種類の組み方

本稿では効果的なトレーニング方法の科学として「セット毎の重量変更」に関する研究を見ていきたいと思います。

セット毎の重量変更とは、後半で疲れてきたときに重量を落としたりとかそういうことです。

各セットでの重量を設定方法には、主に次の3種類の方法があります。

方法①:重量を固定する方法

最初の方法は全てのセットで重量を固定する方法で、最も一般的なトレーニングです。

例えば、10回を3セットという回数の組み方は一番よく聞くのではないでしょうか。

この方法では

1セット目:60kgで10回
2セット目:60kgで10回
3セット目:60kgで10回

と重量と回数を固定します。

後半のセットでは疲れで回数が落ちてしまって10回できないこともあると思いますが、それのときは限界までやるという感じですね。

方法②:ドロップセット

2つ目の方法はセット毎に重量を落としていく方法です。

1セット目:65kgで10回
2セット目:60kgで10回
3セット目:55kgで10回

というような感じで重量を次第に落としていきます。

この方法のメリットは、後半のセットでも回数を多くこなすことができるので、筋トレのボリュームを増やすことができるという点ですね。

方法③:クレセントピラミッド

3つ目の方法はドロップセットとは逆で重量を上げていく方法です。この方法はドロップセットほどは知られていないのではないでしょうか。

1セット目:50kgで15回
2セット目:60kgで10回
3セット目:70kgで5回

といった感じで、後半のセットになるにつれて重量を上げていきます。当然ですが重量を上げれば回数は下がっていきます。

この方法のメリットはより高重量を扱うので、速筋だったり神経系を効果的に鍛えることができる可能性があることですね。

3つの方法のどれが効果的なのか?

これらの3つの方法のどれか効果的なのかを実験してくれたのが研究(*1)があるので、その中身を見ていきましょう!

この研究では32人のトレーニング経験者(トレーニング歴4年〜9年)を集めて、

  • 45°レッグプレス
  • レックエクステンション

を12週間にわたって行ってもらっています。

このときに参加者は次の3つのトレーニング方法に分けられます。

グループ①:重量固定
1RMの75%の重量で固定して6〜12回を3〜5セット行う

グループ②:クレセントピラミッド
重量をセット毎に上げていくグループ
1セット目:1RMの65%の重量で〜15回
2セット目:1RMの70%の重量で〜12回
3セット目:1RMの75%の重量で〜10回
4セット目:1RMの80%の重量で〜8回
5セット目:1RMの85%の重量で〜6回

グループ③:ドロップセット
重量をセット毎に20%ずつ下げていくグループ
各セットの回数は限界まで行う。

ちなみにトレーニングボリューム(重量×総回数)は3つのグループで同じになるように調整されているとのこと。実際のトレーニング結果としても、次のグラフの通りほぼ同じになっています。

結果1:筋力の向上

12週間のトレーニングの結果として、3つのトレーニング方法で筋力がどれだけ向上したのかが次のグラフです。

上のグラフが45°レッグプレス、下のグラフがレッグエクステンションの結果です。

どのグループも直線の傾きがほぼ同じになっていることから分かるように、このグラフから得られる結論としては

  • 3つのトレーニング方法の全てで筋力(最大重量)が向上した!
  • 3つのトレーニング方法で筋力の向上は同じくらいだった

ということです。ドロップセットやクレセントピラミッドに特に良い効果もなければ、悪い効果もないということですね。

結果2:筋肉量の向上

次の3つのトレーニング方法で筋肉量がどれだけ向上したかが次のグラフです。

こちらのグラフでも3つのグループで直線の傾きは同じくらいになっていて、

  • 3つのトレーニング方法の全てで筋力量が向上した!
  • 3つのトレーニング方法で筋肉量の向上は同じくらいだった

ということがわかります。なのでドロップセットやクレセントピラミッドは筋肉量の向上でも重量固定と特に違いはないということですね。

まとめ

本稿では「筋トレでセット毎に重量を変えることの効果」についてお話ししました。

ポイントをまとめると

  • 筋トレではセット毎に重量を上げる(下げる)ことで、筋力と筋肉量の向上に違いはなかった!
  • なので、自分の好きな方法を選べばOK!

ということですね。

ただし今回の研究はトレーニングボリューム(重量×総回数)はほぼ同じにした場合の結果です。例えば、ドロップセットにすることでトレーニングのボリュームを上げられたとか、逆の重量を上げることでトレーニングのボリュームがガクッと下がってしまったみたいなときにはまた効果の程は変わってくる可能性があるので注意してください。

以上、それでは良い筋トレライフを!


[参考文献]

*1: Crescent pyramid and drop-set systems do not promote greater strength gains, muscle hypertrophy, and changes on muscle architecture compared with traditional resistance training in well-trained men.

Naoto

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