お金は人のために使うと幸福になれるが、親しい人ほど効果も高くなるぞという研究

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収入はある一定以上の金額に達すると、それ以上増えても幸福感はほとんど向上しないことが分かっています。一方で、お金は使い方によっても幸福感の高まり方が違います。つまり、幸福感を高めるためには、ただお金を増やして贅沢すればいいわけではなく、ちゃんと幸せになれるお金の使い方を学ばなければいけないわけですね。

それで、幸福感を高めれくれるお金の使い道の一つが、お金を人のために使ってあげること。お金を発展途上国の支援に寄付してあげたり、家族にプレゼントを買ってあげたり、会社の同僚にコーヒーを奢ってあげたりすると、他人にお金を使ってあげる経験が幸福感を大きく向上するんですね。

そこで本稿では、人へのお金の使い方について、

  • 人のためにお金を使ってあげるなら、より親しい関係の人にお金を使う方が幸福感も大きく向上するのでは?

を調べてくれたブリティッシュコロンビア大学の研究を見てみましょう。

強い関係にお金を使うか、弱い関係にお金を使うか

ブリティッシュコロンビア大学の研究では、80人の参加者を集めて、自分と親しい強い人間関係にお金を使うのか、それともあまり親しくない弱い人間関係にお金を使うのかで、幸福感の向上がどれだけ違うのかを測定しています。この研究が言う人間関係の強弱とは、

  • 強い人間関係
    家族や仲の良い友人、恋人など
  • 弱い人間関係
    知り合いや会社の同僚、クラスメート、友達の友達など

といった感じになります。

この研究では、半分の人には強い人間関係の人に20ドル程度のお金を使ってあげたときの体験、もう半分の人には弱い人間関係の人に20ドル程度のお金を使ってあげたときの体験を思い出してもらって、ポジティブな感情が両者でどれだけ変わるのかを測定したんですね。

結果:お金をあげるなら親しい人の方がいいか?

早速結果を見てみると、

  • 強い人間関係にお金を使った経験を思い出した人のポジティブ感情はM=2.76だった
  • 弱い人間関係にお金を使った経験を思い出した人のポジティブ感情はM=2.37だった

ということ。

つまり、より親しくて強い人間関係にお金を使ってあげた方が、幸福感の高まりは有意に大きい(t<.05)という結論になっています。親しい人間関係は元々幸福にとって大切な要素の一つなので、そこにお金を使ってあげた方が幸福感の向上は大きいみたいですね。

結果2:その他わかったこと

この研究で他に分かったポイントを2つあげておくと

  • 思い出した経験がどれだけ前のものかは関係がなかった
  • 人間関係の種類(家族とか友人とか)は関係がなかった

ということ。

一つ目のポイントから分かるのは、親しい人ほどよくプレゼントをあげていて、そっちの思い出の方がつい最近のことだから幸福感に強く影響していた可能性はないということ。なので、人間関係が強い方が幸福感も大きく向上するという関係がより強く信頼できるようになるわけですね。

2つ目のポイントとしては、家族だろうが、友人だろうが、人間関係が強ければどんな種類の人間関係でも幸福を向上しやすくなるということです。逆を言えば家族だけど仲が悪ければ、幸福感の向上は低下してしまう可能性があるということ。なので、自分にとって親しくて大切な人を基準にプレゼントをしてみると良いでしょう。

まとめ

本稿では「親しい人にお金を使うほど幸福感も大きく向上するのか?」についてお話ししました。

ポイントをまとめると、

  • お金を人のために使うときは、その人との関係が強いほど幸福感も大きく向上する
  • 家族とか友人とかの人間関係の種類は関係がなく、純粋にその人との親しさが幸福感に影響している

ということ。

注意点として、あまり親しくない人にはお金を使わない方が良いというわけではありません。なぜなら、あまり親しくない人の場合でも幸福感は確かに向上しますし、今はあまり親しくない関係でも、親切にすることで将来より強い関係に成長していく可能性があるからです。なので、すでに親しい人にお金を使うのはもちろん、今後強い関係を築いていきたい人にお金を使ってあげるのも十分良いでしょう。

以上、本稿はここまで。


[参考文献]

*1 : It’s the Recipient That Counts: Spending Money on Strong Social Ties Leads to Greater Happiness than Spending on Weak Social Ties

Naoto

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