畏敬の念はなぜ幸福度を上げてくれるのか?
人生の幸福は様々なことに左右されますが、
幸福度を上げてくれることの一つに”畏敬の念”というものがあります。
畏敬の念なんてあまり聞き慣れない言葉で、わからない人も多いと思いますので、
本稿では
畏敬の念とは何か?
なぜ畏敬の念は幸福度を上げてくれるのか?
を説明したいと思います。
畏敬の念とは何か?
畏敬の念とは
大自然を見たとき
輝かしい日の出を見たとき
壮大な芸術を見たとき
などに感じる驚きや感動のような感情のことです。
普段の日常の中では身の回りのことで精一杯で視野が狭まってしまっている感じでも、
こういう感動的な非日常を経験したときは世界の広さに気づいて新しいことに挑戦したくなりますよね。
実は中には普段から畏敬の念を感じやすい人もいて、
そういう人は自分のことばかりを考えることがなく、
他の人を助けたりと社会的な行動が多いこともわかっています。
そして何よりも、畏敬の念を感じるということは幸せなことでもあるんですね。
実際に普段から畏敬の念を感じている人は幸福度がより高いという相関関係が確認されています。
つまり、生活の中でもっと畏敬の念を感じることができれば、毎日がより幸せになるかもしれないということですね。
畏敬の念はなぜ幸福度を上げるのか
畏敬の念が幸福度を上げてくれるっていうのは初めて聞く人にとっては意外なことですよね。
では、なぜ畏敬の念は幸福度を上げてくれるのでしょうか?
実はそれを調べてくれた面白い研究(*1)があります。
この研究では563人を対象に
- 畏敬の念を感じているか
- 人生の意義を感じているか
- 物質主義の度合い
(簡単に言えばどれだけ物欲が強いか) - 幸福度
を測定したんですね。
つまり、上の3つの指標が幸福度にどう関係するのかを調べたのです。
畏敬の念、人生の意義、物質主義と幸福の関係
この研究の結果わかったのが
- 畏敬の念と幸福度は相関する(r=0.38)
- 人生の意義は幸福度と相関する (r=0.37)
- 物質主義は幸福度と負の相関をする(r=−0.31)
ということで
畏怖の念と人生の意義は幸福度を高めるが、
物質主義は幸福度を低下させてしまう。
ということですね。さらに
- 畏敬の念が高い人ほど人生の意義も高い(r=0.37)
- 畏敬の念が高い人ほど物質主義は低い(r=−0.18)
ということもわかっていて、
もう少しこれらの指標の関係を深く分析した結果においても支持されたのが、
畏敬の念が幸福度を上げてくれるのは、
人生の意義を高めて、物質主義を低下させてくれるから
ということなんです。
畏敬の念を感じると日常的な視野の狭さから離れて、
自分の人生の意義を見つけたり、本当に自分の人生を幸福にしてくれるものが物ではないことにも気付けるのかもしれませんね。
まとめ
本稿では畏敬の念と幸福について説明しました。
ポイントをまとめると
- 畏敬の念は幸福度を上げてくれる
- 畏敬の念が幸福度を上げるのは、人生の意義を高め、物質主義が弱めてくれるから
ということでした。
畏敬の念を感じるためにできることは
- 大自然を見に行く、
- 憧れの人に会いに行く
- 感動的な映画を見る
- 芸術館に行く
などなど色々あります。
人生の意義につなげるという意味では、もっと日常的に
- 家族や職場の同僚への感謝を忘れない
- 自分の仕事の社会的な意義を忘れない
とかでもいいのかもしれませんね。
以上、本稿はここまで。
[参考文献]
*1: Why Are People High in Dispositional Awe Happier? The Roles of Meaning in Life and Materialism