チームの多様性は本当にパフォーマンスを上げてくれるのか?
グローバル化が進み、次々と新しい技術が発明され、世の中の変化が加速していくにつれてチームの多様性が重要だと認識されるようになっています。多様なバックグラウンドのメンバーを集めることで、より多様な知識や経験がチームにもたらされて高いパフォーマンスにつながるというわけですね。
それではチームの多様性を高めることはいいことばかりなのかというと、実はそうではないかもしれません。例えば、多様なメンバーが集まるほど、意見がまとまりにくくなって決断が遅くなったり、メンバー同士が反発してチームのパフォーマスが低下してしまうというようなデメリットがある可能性もあるわけです。
そこで、本稿では
チームの多様性が本当にパフォーマンスを上げてくれるのか?
パフォーマンスを上げてくれる多様性とはどんな多様性か?
を調査してくれた研究(*1)を紹介したいと思います。
チームの多様性は本当にパフォーマンスを上げるのか?
この研究ではチームの多様性とチームのパフォーマンスの関係を調べた計35件の研究をメタ分析でまとめています。
これらの研究を総合した結果としてわかったのは
- 多様性はチームのパフォーマンスを上げる効果は確かにある
ということ。しかし、少し注意点があって
- タスクに関連する多様性はチームの仕事の質を上げる
- タスクに関連する多様性はチームの仕事の量を上げる
- 人口特性に関するの多様性はチームの仕事の質にも量にも関係ない
ということなんですね。
タスクに関連する多様性とは、考え方やこれまでの仕事の経験、仕事のスキル、専門知識などが多様なことで、人口特性に関する多様性は、年齢や性別、人種などの特性の多様性をいいます。
つまり、チームのパフォーマンスを上げるためには、年齢や人種の多様性ではなく、知識やスキルの多様性を高めるようにメンバーを集めるべし!ということなんですね。
多様性が高いチームほどまとまりがなくなる?
さらにこの研究では多様性が高くなるほどチームがまとまるのが難しくなってしまうのではないか?という考えが正しいのかどうかも検証しています。ここでいうチームのまとまりとは、メンバーがチームワークに満足していることと、各メンバーがチームのゴールへ向かっていることを指します
その結果は
- 多様性が高くても特にチームがまとまらなくなることはなかった
(タスクの多様性と人口特性の多様性の両方とも) - 大きなチームでも小さなチームでも多様性がチームのまとまりに影響することはなかった
ということで、意外なことにこの研究では多様性はチームのまとまりとは関係がないという結果になっているんですね。
まとめ
本稿ではチームの多様性とパフォーマンスについて紹介しました。
ポイントをまとめると
- 多様性がチームのパフォーマンスを上げるは確か
- 仕事のスキルや知識といったタスク関連の多様性が大切
- 多様性が上がってもチームにまとまりがなくなるわけではない
ということですね。
以上、本稿はここまで。
[参考文献]
*1: The Effects of Team Diversity on Team Outcomes: A Meta-Analytic Review of Team Demography