ダイエットを成功させるのには自己効力感が大切という話
本稿では、ダイエットを成功させるためには心理学で研究されている自己効力感が大切なのではないか、というお話をします。
ダイエットを成功させたいという人はたくさんいますが、残酷にも9割のダイエットは失敗に終わってしまっているみたいです。それでは、なぜほとんどのダイエットは失敗に終わってしまうのかを考えてみると、ダイエットが続かないというのが一番の原因ではないでしょうか。つまり、何を食べていいとかにこだわる以前に、ダイエットを続けるためのメンタルを持たないとどんなダイエットも失敗に終わってしまうということです。
そこで本稿では、自己効力感を高めることがダイエットの成功につながることをいくつかの研究を参考に説明していきたいと思います。
自己効力感とは何か?
まず、自己効力感とは
自己効力感(じここうりょくかん)またはセルフ・エフィカシー(self-efficacy)とは、自分がある状況において必要な行動をうまく遂行できると、自分の可能性を認知していること
ということで、ダイエットでいうなら、「体重は変えられるもので、自分でも頑張って運動して食事を制限すれば理想の体型になれる」と自分で自分を変えていけるものだと信じていることですね。
この自己効力感はダイエットにおいても大切なもので、自己効力感が低いとすぐにあきらめてしまうんですね。
例えば
- 体重が停滞したらもう無理だと諦めてしまったり
- 運動を1日サボってしまっただけでもういいやと思ってしまったり
- 友人との飲み会で食べ過ぎてしまっときに、ダイエットをやめてしまったり
とかですね。
逆に自己効力感の高い人は、誘惑に負けてお菓子を食べてしまったとしても、また次の日には自分ならできるとダイエットを続けることができるわけです。
ダイエットではこうした誘惑に毎日のように出くわすわけで、最初から全部に打ち勝つなんてのはまず無理なんですね。なので、自己効力感を持って誘惑に負けても諦めずにまたダイエットを続けることで、だんだんと誘惑に勝てるようになったり習慣が形になっていってダイエットが成功につながるということです。
自己効力感は行動を変える
それでは本当に自己効力感はダイエットに効果があるのかを2つ研究を参考に見ていきましょう。
自己効力感と食生活の改善の研究
1つ目の研究では、自己効力感を高めることで野菜やフルーツの摂取量を増やせるのかを確かめています。
この研究では、200人を次の3つのグループに分けて6ヶ月にわたって野菜とフルーツの摂取量を測定しています。
- 自己効力感向上グループ
自己効力感の大切さと高め方の情報や、今の自分の自己効力感のスコアをメールで受け取る - 自己効力感向上 + プランニンググループ
自己効力感の向上のメールに加えて、いつ何を食べるのかや誘惑があったときにどう対処するのかのプランニングもしてもらう - コントロールグループ
特に何もしない
それでは結果がどうなったのかというと
- 自己効力感向上グループと自己効力感+プランニンググループの両方とも野菜とフルーツの摂取量が増えた
- この2つのグループで摂取量の増加は同じくらいだった
ということで、自己効力感を向上させることで、6ヶ月という長期的に食生活を改善できたという結果が得られています。プランニングを追加したグループも効果は同じ程度なので、自己効力感を高めるだけでもこの効果は得られるようですね。
誘惑に負けたときの研究
次の研究(*2)では169人を3つのグループに分けて約3ヶ月にわたって体重の変化を記録します。
- 自分は変えられるグループ
2週間ごとに自分の体重は変えられるというメッセージを送る - ダイエット知識グループ
2週間ごとにダイエットに役立つ情報を送る - コントロールグループ
何もしない
ちなみに、この169人は今までダイエットに挑戦したけど失敗してしまった人を集めていて、誘惑に負けてしまったときに自己効力感がどう働くのかを調べています。
その結果は
- コントロールグループと比べて、自分は変えられるグループとダイエット知識グループの両方に体重増加を減らす効果が確認された
- 自分は変えられるグループで実際に自分を変えていけると思っている人ほど体重は減った
- 誘惑に負けてしまってダイエットでつまづいたときに、コントロールグループとダイエット知識グループは体重が増えたが、自分は変えられるグループは体重が増えなかった
ということで、自分の体重を変えていけるという自己効力感を持つことで、誘惑に負けてしまった後でもあきらめてしまわずに、体重を維持できることがわかったんですね。
まとめ
本稿では、ダイエットを成功させるためのには自己効力感が大切というお話をしました。
ポイントをまとめると
- ダイエットを成功させるには継続するメンタル作りが大切
- 自己効力感を高めることで、食生活の改善といった行動につながり、さらに挫折にも強くなる
ということです。
自己効力感を高めるためには
- 自分の成功体験を思い出す
(前にお菓子を我慢できたことを思い出すなど) - 自分以外でダイエットに成功している人を観察する
(Youtubeでもフィットネス系の動画は多くあるのでおすすめです) - 自分を励ます
- 理想の体型を手に入れたときのことを想像する
みたいなことをすればいいと思います。
研究では自分の体重は変えられるといった励ましのメッセージだけでも効果はあったようです。
以上、本稿はここまで!
[参考文献]
*2:Buffering against weight gain following dieting setbacks: An implicit theory intervention