先延ばしを改善するに自分を客観的に見ることが大切という話
本稿のテーマは「先延ばしを改善する方法」についてです。
先延ばしとは、重要なタスクを後回しにしてしまって、テレビを見たりゲームをやったりしてしまうことです。「明日頑張ろう」と思って先延ばしをすると、明日にはまた「明日頑張ろう」になって、そのままずるずると数週間も先延ばししてしまうなんて話はよく聞きますよね。
先延ばしが多い人は、成績が悪かったり、不安などのネガティブな感情が多かったり、幸福度が低かったりと、悪い効果が色々とあるみたいなので、是非とも克服したいものです。
そこで、本稿では「どんな方法が先延ばしの改善に有効なのか」の研究を一つ紹介したいと思います。
先延ばしの改善にはCBTが有効
先延ばしを改善する方法については心理学で研究が行われているので、こういった心理学的な先延ばしの改善方法が本当に有効なのかをまとめてくれた研究(*1)を見てみましょう。この研究ではランダム化比較試験で先延ばしの改善方法を調べた研究12件を、メタ分析でまとめてくれています。
その結果としてわかったことは
- 全ての研究を平均すると心理学的な先延ばしの改善方法は小程度の効果(効果量=0.34)があったが、研究毎のばらつきが大きかった
- そこでもう少し深掘りすると、CBT(認知行動療法)をベースにした方法には中程度の効果(効果量=0.55)があって、この結果にはばらつきは少なかった
ということで、先延ばしの改善には特にCBT(認知行動療法)をベースにした方法が有効なのではないかということが分かったんですね。
CBT(認知行動療法)とは?
人によって物事をどう解釈するのかは違います。例えば、騒がしいパーティを楽しいと感じる人もいれば、苦手でストレスを感じる人もいます。このように、人の感情は物事の認知の仕方で決まって、この認知の流れは瞬間瞬間でほぼ自動的に行われます。
つまり
出来事 → 自動思考 → 感情 → 行動
という流れになっているわけです。
例えば先延ばしでいうと、目の前にゲームがあると、勉強なんてせずにゲームがやりたいという感情が生まれて、その誘惑に負けてゲームをしてしまうという流れです。
そこで、認知行動療法ではこの自動思考の流れを客観的に理解して改善します。
- いつも先延ばしのきっかけとなる出来事は何か?
- その出来事のときにどんな感情が生まれるのか?
- 先延ばしをしないためには、その出来事があったときにどう対処できるか?
といったことを考えれば良いわけですね。こういったことを考えることで、自動思考の向きを先延ばしをしない方向に徐々に切り替えてあげることができるということです。
また、まさに先延ばしをしそうなときには
- 今どんな出来事があって先延ばしをしたいと思ってしまっているのか?
- 今の自分はどんなことを感じているのか?
- 先延ばしにするとどんなことが起こるのか?
と客観的に見つめ直してみると、自動思考から抜け出して冷静に判断ができるようになると思います。
まとめ
本稿では、先延ばしを改善する方法についてお話ししました。
ポイントをまとめると
- 先延ばしを改善するには、客観的に先延ばしの原因となっている出来事や自分の感情を見つめ直すことで、自動思考に流されないように訓練することが大切
ということです。
先延ばしをしようか迷ったら、とりあえず客観的になって自動思考から抜け出すことが第一です。また、手をつけ始めたら意外とモチベーションは続くものなので、まず手をつけてみる習慣をつけるのが大切かもしれません。
ということで、先延ばしをしたいと感じたら
→ まず客観的になって自動思考から抜る
→ 最低でもほんの少しで良いので手を付ける
→ そのあとで本当に先延ばしをするかどうか考える
というのが私のオススメです。
[参考文献]
*1: Targeting Procrastination Using Psychological Treatments: A Systematic Review and Meta-Analysis