仕事の所有感があると仕事の態度や満足度が良くなるぞという話
本稿のテーマは「仕事に関する所有感」についてです。
所有感とは自分のものだと感じていることで、例えば自分が所持している車だったり家には当然ですが自分のものだと感じているわけです。ちなみに所有感は物だけだなくアイデアなどの形のないものにも感じることができる面白い感覚なんですね。
そして、この所有感を仕事の場面に当てはめたのが会社やチームの所有感で、会社やチームが自分たちのものだ!と感じているかどうかということです。実はこの仕事への所有感は意外と大切なもので、働きがいの面などで良い効果があるみたいなんですね。
そこで本稿では、仕事の所有感にはどのような効果があるのかをみていきましょう。
仕事の所有感の良い効果
仕事の所有感とその効果について調べた面白い研究(*1)があるので、その内容を見てみましょう。
この研究では3つの業界にわたって合計800人以上の人を対象にデータをとっています。どのようなデータをとったのかというと
- 仕事の所有感
- 仕事満足度
- 仕事へのコミットメントの強さ
- 組織への自己効力感
- 仕事のパフォーマンス
- 自主的にチームのために行動しているか
で所有感が高い人がこれらの指標が高い傾向にあるのかどうかを分析したんですね。
ちなみに仕事の所有感は次のような文章にどれだけ賛同できるかどうかで測定しています。
- この会社は私たちのものだ
- この組織は私のものだと強く感じている
- この会社で働く多くの人は、この会社は私たちの会社だと感じている
分析の結果
そして分析の結果としてわかったことが
- 所有感が高いと仕事満足度が高い
- 所有感が高いと仕事へのコミットメントも高い
- 所有感が高い人は組織内での自己効力感が高い
- 所有感が高い人ほど自分からチームのために行動している
ということ。所有感が高い人は、主体的に仕事に取り組んでいて、高い仕事満足度が感じられているようですね。これはなかなか良い効果ではないでしょうか。
ちなみに分析の結果として、統計的に有意に確認できなかったこととして
- 所有感と仕事のパフォーマンスの関係は確認できなかった
ということ。仕事満足度やコミットメントが高ければ仕事のパフォーマンスも高まりそうですが、その関係は今回の分析からは確認されなかったみたいです。これについてはもう少し深掘りした研究が必要なのかもしれませんね。
所有感はなぜ良い効果をもたらしてくれるのか
ちなみに所有感がなぜ良い効果をもたらしてくれるのかという
- チームへの所有感はこのチームが自分の居場所だと感じさせてくれる
- 所有感を持つと仕事への責任感も高まるから
- この会社や組織に所属していることがアイデンティティになるから
などいくつかの考えはあるようです。
なんとなく感覚的にも所有感が良い効果があることは理解できて、他人に言われて給料をもらうためだけに仕事をするのでなく、仕事を自分のものとして主体的に取り組む方が仕事の態度も満足度も上がりそうですよね。
まとめ
本稿では仕事の所有感についてお話をしました。
ポイントをまとめると
- 仕事の所有感が高い人ほど仕事への態度や満足度、コミットメントの強さも高い!
- なので仕事への所有感を高めるのは大切なこと
ということです。
所有感にも色々な種類が考えられて、チームへの所有感であったり、タスクへの所有感、アイデアへの所有感などがありますよね。なので、所有感を高めるという考え方は実は様々な場面で応用ができるのかもしれませんね。
以上、本稿はここまで。
[参考文献]
*1: Psychological ownership and feelings of possession: three field studies predicting employee attitudes and organizational citizenship behavior