有酸素運動と筋トレを組み合わせたときの効果と、どちらを先にやるかで違いはあるのか?の研究
本稿のテーマは筋トレと有酸素運動の組み合わせ方についてです。
ダイエットやボディメイクをする人は、筋トレと有酸素運動を組み合わせる人が多いと思いますが、そこで気になるのが「筋トレと有酸素運動のどっちを先にやるのがいいのか?」ですよね。
そこで、本稿では筋トレと有酸素運動の順番で効果に違いがあるのかについての研究を参考に、どのように組み合わせればいいのかを考えていきたいと思います。
有酸素運動と筋トレの組み合わせ効果
この研究では、48人を次の5つのグループに分けて12週間にわたってトレーニングをしてもらいます。
- 有酸素運動のみのグループ
- 筋トレのみのグループ
- 有酸素運動→筋トレの順で両方やるグループ
- 筋トレ→有酸素運動の順で両方やるグループ
- 運動しないコントロールグループ
そして実施してもらったトレーニングのメニューとしては
有酸素運動
HIITのような全力と軽めの運動を交互に繰り返す高強度インターバルトレーニング
筋トレ
最初の2週間は筋力の向上を目的としていたサーキットトレーニング
(スクワット→ウォーキングランジ→アームフレクション→バックエクステンション→ヒップエクセステンション→腹筋)
後の2週間は筋肉の瞬発力の向上を目的としてサーキットトレーニング
(ドロップジャンプ→ハードルジャンプ→ホッピング→片足ホップ→片足バウンド→マルチジャンプ)
ということで、主に下半身の筋肉に注目したトレーニングとなっていますね。
それでは、これらのトレーニングの結果として、各グループでどのような違いが出たのかを見ていきましょう。
体脂肪の減少率
- 有酸素運動→筋トレ:−15.0%
- 筋トレ→有酸素運動:−14.8%
- 有酸素運動のみ :−12.1%
- 筋トレのみ :−9.2%
ということで、筋トレと有酸素運動を組み合わせると体脂肪の減少効果が高まって、その効果は筋トレと有酸素運動の順番を変えてもほぼ同じということです。やはり脂肪を燃やすのには有酸素運動が効果が高いようで、筋トレのみの場合は−9.2%と一番低い値になっています。
筋力(1RM)の増加
- 筋トレのみ :+17.0%
- 筋トレ→有酸素運動:+12.2%
- 有酸素運動→筋トレ:+10.6%
- 有酸素運動のみ :+6.2%
ということで、筋力の向上に一番効果が高いのが筋トレのみをした場合となっています。筋トレと有酸素運動を組み合わせると筋力の向上が少し低下してしまうようですね。筋力においても筋トレと有酸素運動の順番による効果の違いはあまりないようです。
筋肉の瞬発力の増加
ピークパワーの増加
- 筋トレのみ :+14.7%
- 筋トレ→有酸素運動:+11.6%
- 有酸素運動→筋トレ:+9.6%
- 有酸素運動のみ :+5.4%
ジャンプ力の増加
- 筋トレのみ :+7.0%
- 筋トレ→有酸素運動:+3.3%
- 有酸素運動→筋トレ:+3.3%
- 有酸素運動のみ :+1.7%
ということ。筋肉の瞬発力も筋力と同じように、筋トレのみの場合が一番効果が高くて、筋トレと有酸素運動を組み合わせると少し効果が低下してしまうようです。また、筋トレと有酸素運動の順番による違いもあまりないようですね。
まとめ
本稿では筋トレと有酸素運動の組み合わせについての研究を紹介しました。
ポイントは
- 筋力を伸ばしたいときは筋トレのみをするのが一番効果が高い
- 筋トレと有酸素運動を組み合わせは、筋力の向上効果は少し落ちるが、脂肪を減らす効果が一番高い
- 筋トレと有酸素運動の順番による違いはなかった
なので、実際の運用方法としては
- 何よりも筋力つけたい人は筋トレのみに専念する
- 脂肪を減らしたいあるいは有酸素運動の能力も高めたい人は、筋トレと有酸素運動を好きな順番でやればOK
と考えてもらえらば大丈夫です。
例えば、筋肉をつける増量期には筋トレを見を行って、脂肪を減らす減量期には筋トレと有酸素運動を組みわせるといった応用もできますね。
[参考文献]
*1: EFFECT OF CONCURRENT ENDURANCE AND CIRCUIT RESISTANCE TRAINING SEQUENCE ON MUSCULAR STRENGTH AND POWER DEVELOPMENT