ケトジェニックダイエットだと筋トレのパフォーマンスを落とさずに体を絞れるかもしれないという研究
本稿のテーマは「ケトジェニックダイエットの筋トレへの効果」です。
ダイエット中はカロリーを制限してしまうので、パワーも落ちてしまって、増量期のような筋トレができないということがあります。特に体重によって階級に分かれるスポーツの選手にとって、体重を落としたためにパフォーマンスも落ちてしまうことは大問題ですよね。
この解決策がないか調べてみると、ある研究(*1)で「ケトジェニックダイエットは筋肉のパフォーマンスが落ちない」ということが示唆されていました。
ということで、本稿ではこの研究を参考にケトジェニックダイエットの効果をみていきましょう。
ケトジェニックダイエットとは?
まず最初にケトジェニックダイエットが分からない人のために、ケトジェニックダイエットとは何かを簡単に説明しておきます。
- ケトジェニックダイエットは炭水化物を極力減らして、十分なタンパク質をとりつつ、脂質を多めにとるダイエット法
(70%:脂質、20%:タンパク質、10%以下:炭水化物) - 脂質の中でも中鎖脂肪酸(MCTオイルやココナッツオイルなど)を増やす
砂糖やお米といった炭水化物は1日に50以下、または総カロリーの10%以下と結構厳しめに抑えます。一方でタンパク質と脂質は摂取できるので、お肉はいっぱい食べることができるダイエットですね。
ケトジェニックダイエットとパフォーマンス
これまで、各種ダイエット手法の体重減少効果については様々な研究で調査されてきたみたいなのですが、ダイエット中の筋トレのような運動のパフォーマンスがどう変わるかはあまり研究されていなかったみたいなんですね。そこに踏み込んでくれたのが*1の研究になります。
この研究では14人のパワーリフティングの選手を集めて実験を行っています。ダイエット系の研究は肥満者を対象に実験することが多いので、マッチョにとってはこの点をとってもありがたい研究ですね。
そして14人に3ヶ月ずつ次の2つのダイエットを実践してもらいます。
- ケトジェニックダイエット(炭水化物を50g以下に抑えて脂質を増やす)
- 普通のダイエット(炭水化物を250g以上すれば好きなもの食べてOK)
そして各ダイエットの終了時に
- 体重の変化
- 脂肪の変化
- 除脂肪体重の変化
- 筋力の変化
と測定したわけですね。
結果
まず実験の参加者が摂取した食事の栄養バランスの結果が
炭水化物 | タンパク質 | 脂質 | |
ケトジェニック | 平均39g | 平均121g | 平均164g |
普通のダイエット | 平均223g | 平均119g | 平均79g |
ということ。ケトジェニックダイエットでは炭水化物が平均39gに抑えつつ、脂質を164gと積極的に摂取できていることがわかります。
そして、ケトジェニックダイエットの結果としてどのような効果があったのかというと
- 体重が減った(−1.7kg)
- 体脂肪は変わらなかった
- 除脂肪体重が減った(−1.74kg)
- 筋力(1RM)は若干向上した
ということで、体重が減りつつも筋力は落ちなかったという結果が得られています。むしろ若干筋力が向上しているのはダイエット中も筋トレを行なっているからだと思います。除脂肪体重の減少は筋肉が減ってしまっている可能性があるため悪いことなのですが、筋力はしっかりと保たれているみたいなんですね。
ちなみに除脂肪体重が減ってしまったのは他の研究結果とは食い違っているみたいなので、もう少し詳しく調べる必要がありますね。この研究は14人を対象にした小規模な実験なので、これらの結果はあくまで可能性がある程度で考えるのが良いと思います。
まとめ
本稿ではケトジェニックダイエットと筋力の変化についてお話ししました。
ポイントをまとめると
- ケトジェニックダイエットではダイエット中も筋力が低下しない可能性がある
- パワーリフティングの選手など、体重を絞りつつもパフォーマンスを維持したいときにはケトジェニックダイエットを行うのが有効かもね
ということですね。
他の研究を見てもケトジェニックダイエットに体重を減らす効果があるのは間違いなさそうです。パフォーマンスも維持したいという人は、一度ケトジェニックダイエットを自分の体で少し試してみてるのが手っ取り早いのではないでしょうか。
以上、本稿はここまで!
[参考文献]
*1:A LOW-CARBOHYDRATE KETOGENIC DIET REDUCES BODY MASS WITHOUT COMPROMISING PERFORMANCE IN POWERLIFTING AND OLYMPIC WEIGHTLIFTING ATHLETES