睡眠はクリエイティビティを上げるのにも大切という話
睡眠は体を休めるだけでなく、脳を整理するためにも大切です。
なのでしっかりとした睡眠を取れば、それだけ頭がよく働くようになるわけで、よりいいアイデアが浮かんだり、思考の鋭さが増したりすることが期待できるわけですね。
そこで、本稿では、2つの研究(*1,*2)を参考に、睡眠がクリエイティビティを上げてくれる効果について見ていきましょう。
睡眠で洞察力が上がる
まず一つ目はWagner博士らによる研究で、睡眠が洞察力が必要なタスクのパフォーマンスを上げてくれるのかどうかを実験しています。
参加者は次の3つのグループに分けられます。
- 日中起きるグループ
11:00~19:00まで起きた後でタスクに挑む - 夜起きるグループ
23:00~7:00まで起きた後でタスクに挑む - 睡眠グループ
23:00~7:00まで睡眠を取った後でタスクに挑む
ちなみに挑むタスクはNumber Reductionタスクというものです。これは数字の羅列の中から隠された法則性を見つけるようなタスクで、まさに洞察力が試されるタスクというわけですね。ちなみに、どの参加者も寝る/起きる前に簡単なタスクの事前練習のようなものを受けています。
そして、その結果が次のグラフの通りとなっています。
棒グラフの意味は左から順番に
①日中起きるグループ
②夜起きるグループ
③睡眠グループ
ということで、グラフから分かることは
- 睡眠を取った人は洞察力が高かった!
ということですね。グラフを見ても一つだけ飛び抜けています。
睡眠前の学習が大切
さらにこの研究では、もう少し実験を広げて、寝る前にタスクの事前練習がなかった場合にどうなるのかも調べてくれています。
その結果が上記のグラフの右側の2本(寝た場合、起きた場合)となっていて、
- タスクの事前練習がない場合は寝ても起きても洞察力は同じくらいだった
という結果となっています。
これは脳は寝ている間に記憶を定着させるので、寝る前にタスクの知識をインプットしておいた場合だけ、この記憶の定着が働いて洞察力が上がったのではないかということでした。なので、鋭い洞察力のアイデアや意見を出したい場合には、前の日に知識をインプットしてからよく眠ればいいわけですね。
睡眠時の香りがクリエイティビティを高める
続いてもう一つの研究(*1)では、アロマディフューザーのようなもので良い香りを漂わせた状態で眠ればクリエイティビティがアップするのではないかということを実験しています。
この実験では49人を3つのグループに分けています。
- バニラの香りで寝るグループ
- トニックの香りで寝るグループ
- 香りなしで寝るグループ
違いは睡眠時の香りのみでどのグループも一晩ぐっすりと眠ってもらいます。
そして、朝起きたときにクリエイティビティが必要とされる問題について2分間でアイデアを出してもらいます。クリエイティビティが必要とされる問題とは、ボランティア活動への参加意欲を高めるために何をすればいいか?みたいな決まった答えのない問題ですね。最後に参加者には自分の出したアイデアの中から一番いいと思うものがどれかを選んでもらいます。
そして、香りの違いでどのようなクリエイティビティにどのような違いが得られたのかというと、次のグラフの通りです。
赤がバニラの香り、青がトニックの香り、緑が香りなし
左のグラフはアイデアのクリエイティビティの高さで、
右のグラフは自分が選んだ1番のアイデアが、他の人が選んだ1番のアイデアと一致した確率を表しています。
赤いグラフだけ突き抜けて高いのが分かりますよね。つまり
- バニラの香りで寝ると、起き抜けのクリエイティビティが高くなる
- バニラの香りで寝ると、良いアイデアを選出する確率が高くなる
ということなんですね。寝るときの香りの違いだけでクリエイティビティが変わるというのは非常に面白いですよね。
まとめ
本稿では「クリエイティビティを上げるための睡眠」についてお話ししました。
ポイントをまとめると
- 睡眠はクリエイティビティを上げてくれる!
- 睡眠の前に関連する知識をインプットすると良い!
- 睡眠時にはバニラの香りをまくと、クリエイティビティとアイデアの選出センスが上がる!
ということですね。
睡眠は健康にも脳機能のためにも必要なものなので、どんなに忙しくても睡眠不足にはならないようにしっかりと睡眠時間を確保していきたいところですね。睡眠には香りも関係しているみたいなので、アロマディフューザーみたいなのを買ってみるのもいいと思います。いい香りがすればリラックスしてぐっすり眠れそうですしね。
以上、本稿はここまで。
[参考文献]
*1: Sleep inspires insight
*2: Sleep duration and falls: a systemic review and meta-analysis of observational studies