長期的な目標達成には心理対比とIf-thenプランニングの合わせ技が効くという研究

習慣を変えるということは結構難しいもので、多くの人がダイエットやジョギングなどを目標として掲げますが、ほとんどの人が長くは続かずに失敗に終わってしまいます。中には目標だけ立てて、全く行動してないなんて人もいますよね。

この問題をなんとかしようと、心理学の研究でも3日坊主で終わらずに長期的に習慣化するテクニックが研究されています。そこで本稿では、それらの研究の一つに心理対比とIf-thenプランニングという2つのテクニックを合わせることで長期的に食生活を改善できた!という面白い研究がありましたので、その中身を紹介したいと思います。

習慣化の2つのテクニック

①心理対比

心理対比とは目標を達成したときの喜びと、目標を達成する中でぶつかる障害を対比させるテクニックで、次の3つのステップで行います。

  1. 達成したいゴールを明確にする
  2. そのゴールを達成したときに得られるポジティブな効果を考える
  3. そのゴールを達成を妨げる障害となることを考える

例えば、ダイエットでこの心理対比を活用するなら

  1. 今年中に体重を10kg落とすことをゴールにすると決める
  2. ゴールが達成できたら、痩せて見た目がもっと良くなってモテるかもしれない!とポジティブな効果を考える
  3. ゴールの達成を妨げる障害として、疲れているときについ甘いものを食べ過ぎてしまうかもしれない、コンビニでお菓子の新商品をみるとつい買ってしまうかもしれない、とか考える。

といった感じ。

3つ目のステップの目標を妨げる障害をあらかじめ想定しておくことがとても大事なことで、これを行うだけで目標の達成度が上がるということが研究でわかっているんですね。

②If-thenプランニング

2つ目はIf-thenプランニングというテクニックで、こちらも心理学の研究で目標達成率を高めるのに効果のあることが分かっている有名な方法になります。

If-thenプランニングでは

もし〜だったら、〇〇をする

というように行動のトリガーを決めます。

例えば、

もし外食したら、サラダも注文する
もし家に野菜がなくなったら、仕事帰りにスーパーで野菜を買う
もしチュコレートが買いたくなったら、食べ過ぎないように一口サイズのチョコを買う

といった感じです。

If-thenプランニングは目標達成のための行動をいつ・どこで行うのかを決めるので、目標は立てたけどなかなか行動が起こせないという壁を打破してくれるんですね。

心理対比とIf-thenプランニングの合わせ技

そして、研究(*1)では心理対比とIf-thenプランニングを合わせた技を使っていて、次のステップで行っています。

  1. 達成したいゴールを明確にする
  2. ゴールを達成したときのポジティブな効果を考える
  3. ゴールを妨げる障害を考える
  4. 次の3つの質問に対してIf-thenプランニングを行う
    ①障害はいつ・どこで起きて、その障害を乗り越えるために行うべき行動は何か?
    ②障害を予防するためにいつ・どこで、どのような行動が取れるか?
    ③ゴールを達成するための行動はいつ・どこで行うことができるか?

心理対比を行った後に、If-thenプラニンングで行動トリガーと障害への予防・対処方法を決めるという2段技ですね。これはなかなか効果が期待できそうなのではないでしょうか。

合わせ技で2年間も食生活が改善できた

この研究では「野菜とフルーツのもっと食べる」という目標に対してどれだけこの合わせ技が効果があるのかを調べています。

実験では225人が集められ、次の2つのグループに分けられています。

  • 野菜とフルーツの健康効果についての情報を与えたグループ
  • 野菜とフルーツの健康効果についての情報を与えた上で、心理対比とIf-thenプランニングの合わせ技をやってもらったグループ

そして、2つのグループで野菜とフルーツを食べる量がどれだけ増えたのかを、2年間後まで追跡調査したんですね。

その結果が次のグラフとなっています。

下の折れ線グラフが情報のみのグループの結果で、開始して2ヶ月後に野菜とフルーツの量はピークを迎えて、2年後にはほぼ元の量に戻ってしまっています。

一方で上の折れ線グラフの心理対比とIf-thenプランニングを行ったグループでは、2年後でも野菜とフルーツの量が向上したまま維持できていることがわかります。

つまり

  • 心理対比とIf-thenプランニングの合わせ技は長期的な目標達成に効果がある

ということが実験から分かったということです。

まとめ

本稿では「目標達成率を高める心理対比とIf-thenプランニングの合わせ技」についてお話ししました。

ポイントをまとめると

  • 心理対比を行った後に、If-thenプランニングで行動のトリガーと障害への対処・予防方法を決めておくことが、目標達成率を高めてくれる!
  • さらに、この合わせ技の効果は長期的に続く可能性がある!

ということです。

ちなみに、心理対比の注意点として、ゴールを達成したときのポジティブな効果を考えた後で、そのゴールを妨げる障害を考えるという順番が大切なようで、この順番が逆になると効果があまりなくなってしまうとのこと。なので、実践するときには上で紹介したステップの通りにやることをオススメします。


[参考文献]

*1 : Intervention effects of information and self-regulation on eating fruits and vegetables over two years.

Naoto

シェアする

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

コメントする