結婚の幸せは時間が経つと無くなってしまうは本当なのか?の研究
結婚と幸せの関係については心理学などで研究がされていて、結婚は幸福感を向上してくれることが分かっています。
しかし、これに対して反論もされていて
- もともと幸せな人ほど結婚しやすいんじゃないのか?
- 結構して幸福感が向上しても、すぐに元の幸福レベルに戻ってしまうのではないか?
ということが言われています。
これではどちらが正しいのか分からないので、そこら辺を調べてくれたShawn Grover博士の研究(*1)を参考に、本稿では「結婚は本当に幸福感を上げてくれるのか?」についてお話ししていきたいと思います。
結婚すると幸せになれるのか?
この研究では2つのデータセットを分析しています。
- 一つ目はBHPSで、これは1991年〜2009年にかけてイギリスで取得された30,000人以上の幸福感に関するデータセットになります。
- 2つ目はUK APSで、こちらも同じくイギリスの幸福感に関する測定結果ですが、期間が2011年〜2013年となっています。このデータセットには328,665個もの観測データが含まれているということです。
どちらも幸福感に関するデータセットですが、この2つで幸福感の測定の仕方が若干異なることもあって、この研究ではより総合的に分析するために2つを合わせたデータを使っているみたいです。
ただし注意点として、どちらもイギリスのデータなので、文化的な違いなどにより日本ではそのまま通用しない可能性もあるので、そこら辺は少し差し引いて考えなければいけません。
分析結果①:結婚の幸福感はなくならない
反論の一つにあった
- 結構して幸福感が向上しても、すぐに元の幸福レベルに戻ってしまうのではないか?
が本当かどうかについて、この研究では分析してくれています。
そもそもこの反論が生まれた背景には、結婚後に幸福感が向上するけど数年で元に戻ってしまうという分析結果がちゃんとあります。しかし、そもそも20〜50歳の間は幸福感は低下していく傾向があるそうで、この研究ではその分を差し引いて考えなければいけないということを主張しています。
さらにもう一つの反論である
- もともと幸せな人が結婚しやすいのでは?
という偏りを防ぐために、結婚前の幸福感を分析ではコントロールして、結婚自体がもたらす幸福感の向上効果を抜き出しています。
そして、その結果として分かった結婚の幸福感の向上効果が次のグラフです。
このグラフから分かるのは
- 結婚の直後に幸福感は大きく向上する
- 時間とともに幸福感の向上は薄れていくが、最後まである程度は残り続ける
ということです。
つまり、反論にあったように時間が経過すると元の幸福感のレベルまで戻ってしまうことはないことが分かったわけですね。
分析結果②:結婚した人と独身の幸福感の違い
それで、この研究では
- 結婚した人の幸福感
- 独身の人の幸福感
の2つの差が年齢とともにどのように変換するのかを分かりやすくまとめてくれています。
それが次のグラフとなっています。
このグラフでは、
赤色の線が結婚した人の幸福感
青色の線が独身の人の幸福感
を表しています。
まず分かるのは、赤色の線が青色の線を上回っているということで、つまり
- 全体的に結婚した人の方が幸福感は高い傾向がある
ということがわかります。
次に、幸福感はUの時型の曲線を描くことは前から分かっていて、つまり、子供のときに幸福感は高くて、20〜50歳で一回落ち込んで、60くらいからまた高まるという傾向があります。グラフを見てもそうなっていますよね。
このU字の傾向と結婚の有無の幸福感の差を合わせて見てみると、
- 結婚する人と独身の人の幸福感の差は、20〜50歳の幸福感が低下する時期に特に大きくなっている
ということがわかります。赤い線と青い線のギャップはだんだんと広がって、50〜55歳くらいで一番広くなっていますよね。
つまり、結婚による幸福感の向上効果が特に嬉しいのは20〜55歳の人ということですね。この時期は仕事で働く時期でもあるので、それを支えてくれるパートナーや、自分が支えなければいけない子供がいるということが幸福感に影響しているのかもしれませんね。
まとめ
本稿では「結婚は本当に幸福感を向上してくれるのか?」についてお話ししました。
ポイントをまとめると、
- 結婚した人は独身の人よりも幸福感は高い
- 結婚したときの幸福感の向上は、時間とともに薄れはするが無くなることはない
- 特に結婚の幸福感の向上は20〜50歳の幸福感が低下する時期には大切なもの
ということですね。
幸福にとって「人間関係」は大切な要素の一つです。その中でも結婚や家族を持つことは自分にとって一番大事な人間関係になるので、幸せにとっては大切なものなのだと思います。結婚に限らず、仕事の同僚や友人など、自分にとって大切な人は大事にしていきたいですね。
以上、本稿はここまで。
[参考文献]
*1: How’s Life at Home? New Evidence on Marriage and the Set Point for Happiness