感情をコントロールするリアプレイザルの8種の方法
怒りや不安といったネガティブな感情を抑制する方法の一つにリアプレイザルというものがあります。
リアプレイザルは「再評価」という意味で、感情を再評価して悪い解釈から良い解釈に変えようというものです。
例えば、
緊張を感じたとき → 緊張感はパフォーマンスを上げるのに必要なものだ
失敗してしまったとき → 良い経験となって後々の成功につながるはずだ
誰かに怒りを感じたとき → その人にもそうせざるおえない状況があったはずだ
といった感じで、感情やその感情の原因にできるだけ良い解釈をしようとすることがリアプレイザルです。コップに水が半分しかないと考えるか、まだ半分もあると考えるかみたいなものですね。
それで、解釈の変え方にもいろいろ種類があって効果も変わるということが研究(*1)によって分かっていたので、本稿ではリアプレイザルの種類と効果についてお話ししていきたいと思います。
リアプレイザルの8種類の方法
リアプレイザルの解釈の変え方には大きく8種類のやり方があるということなので、それらを一つずつ見ていきましょう。
①ポジティブに解釈する
今の悪い状況にも良い面があるはずだと考える方法。
例えば、「今は悪い状況だけど、この試練を乗り越えることでしか得られないこともあるのかもしれない」といった感じで、悪い状況から得られるものもあると考える方法です。
②現在の状況の解釈を変える
今の状況がそれほど悪いものではなく、基準を変えて見れば実は良い状況なんだを考える方法。例えば、車とぶつかって怪我をしたとして、「死ぬ可能性があったことを考えるとこのくらいの怪我で済んでよかったなぁ」と考える感じですね。
③現実でないと考える
ネガティブな感情が現実のものではないと考える方法。
「こんなのは映画の中の出来事だ」とか「こんなことがあるはずがない」といった感じの考え方ですね。何の解決にもなっていない気がしますが、一時的に感情を抑えることはできるのかもしれませんね。
④未来の結果を良く考える
今の状況が悪くても、将来の結果は良いものになると考える方法。
「辛い時間もすぐに終わるはずだ」とか「次第に状況は改善するはずだ」といった感じの考えですね。
⑤誰かを頼る
自分でない他の誰かが状況を改善してくれると考える方法。
「きっと仕事のできる先輩がフォローしてくれるはずだ」とか「きっと救世主が現れて助けてくれるはずだ」みたいな考えですね。
⑥距離を置く
ネガティブな感情と距離を置く方法。
「これは自分には関係ないことだから、気にしないようにしよう」とか「一歩下がって冷静に考えてみよう」といった感じです。
⑦問題解決の方法
今のネガティブな感情や悪い状況に対して、それの解決のために具体的にどんな行動ができるのかを考える方法。その状況を分析して、解決のために必要なことを考えて、どうやってそれを行うのかをプランニングする方法です。
⑧受け入れる
悪いできことやネガティブな感情も、生きていれば当然あるものだと受け入れる方法。誰が悪いと責めたりもせずに、ネガティブな感情をありのままに受け入れる方法ですね。
リアプレイザルの考え方と効果の違い
それで、リアプレイザルの8種類の方法を見てきましたが、それら解釈の変え方には大きく次の2つの方針があります。
- ポジティブな感情を増やそうとする
例えば「この悪い状況も将来自分の力になるはずだ」みたいな考え方 - ネガティブな感情を減らそうとする
例えば「生きていれば悪いこともあるものだ」みたいな考え方
それで、この2つどちらのリアプレイザルをするかで効果に違いがあるのかを、デンバー大学らが研究(*1)してくれています。
その結果によると、
- ネガティブな感情を抑制する効果は、ポジティブな感情を増やそうとするリアプレイザルでも、ネガティブな感情を減らそうとするリアプレイザルでも、同じくらいの効果があった
- ポジティブな感情を増やす効果も、どちらのリアプレイザルでも効果があったが、ポジティブな感情を増やそうとするリアプレイザルの方が効果が高かった
ということ。
なので、ネガティブな感情を感じた時には、ポジティブ感情を増やすような解釈をするのが効果は高いということですね。
まとめ
本稿では「リアプレイザルの8種類の方法」についてお話ししました。
ポイントをまとめると
- リアプレイザルとはネガティブな感情の解釈を変えることで、感情をコントロールする方法
- リアプレイザルにも8種類の方法がある
- 特に効果が高いのはポジティブな感情を増やそうとするリアプレイザル!
ということですね。
リアプレイザルにもいろいろと方法があるということで、そのときの状況や自分の性格にあった解釈の変え方を見つけてみると良いと思います。
以上、本稿はここまで。
[参考文献]
*1: Unpacking Cognitive Reappraisal: Goals, Tactics, and Outcomes