筋肉を増やしたいときは、総カロリーはどれだけ取ればいいのか?
筋肉を増やしたい場合には、筋トレももちろん大切ですが、食事も同じくらい大切です。
その中でもタンパク質が大切なことは良く知られていて、トレーニング後にプロテインを飲む人も多いのではないでしょうか。タンパク質の摂取量を増やすと、筋肉も大きくなりやすいことは、多くの研究で確認されている確かな効果なんですね。
一方で、意外と研究が少ないのが、1日で摂取する総カロリーが筋肥大効果に与える影響です。「筋肉が大きくしたいなら、もっと食べろ!」というアドバイスがよく言われますが、それが本当なのか?、そして、どれくらい食べればいいのか?についてはまだ未知な部分も多いようです。
そこで、本稿では摂取カロリーと筋肥大の効果についての研究をレビューしてくれた論文(*1)を参考に、筋肉を大きくするために必要な総カロリーについてお話ししていきたいと思います。
筋肉を大きくするのに総カロリーは必要か?
まず最初に「筋肉が大きくしたいなら、もっと食べろ!」が正しいのかどうかについて、いくつかの研究を見てみると、
- 体の維持に必要なカロリーの80%に食事を制限すると、十分なタンパク質を取ったとしても、筋肉の合成が16%下がってしまった
- 5日間にわたってカロリー制限をすると、筋肉の合成が30%下がってしまった
というような研究があります。なので、カロリーが不足すると筋肉は増えにくくなってしまうのは確かなんですね。
一方で、摂取カロリーを増やした場合の研究では
- 維持カロリーに+1000kcalを100日間続けたら、筋肉が2.7kg増えて、脂肪は5.4kg増えた
- 維持カロリー+1000kcalにして、そのうちのタンパク質の割合を5%/15%/25%にして比較したところ、5%の人は筋肉はあまり増えなかったが、15%/25%の人は筋肉が大きく増えた
というような結果があります。つまり
- 筋肉を増やすには、一定以上のタンパク質と、体の維持に必要なカロリー以上の総カロリーを摂取することの両方が必要
ということで、「筋肉を増やしたければいっぱい食べろ」は正しいということなんですね。
脂肪を減らしながら、筋肉を増やせないのか?
一番の理想としては、脂肪は減らしつつ筋肉だけを増やすということですが、これは難しいようです。実際に脂肪は減ったし筋肉も増えた!という研究結果もあるのですが、それらの研究は
- 筋トレの初心者を対象として研究
- 肥満体型の人を対象とした研究
のみで、筋トレに慣れた人や、ある程度引き締まった体の人で、痩せながら筋肉を増やすことができたという研究はあまりないみたいなんですね。
なのでそのような人は、脂肪と一緒に筋肉を増やす増量期と、脂肪のみを減らす減量期を交互に行うのが効果的ということです。
カロリーはどれくらい摂ればいいのか?
筋肉を増やしたい場合には、消費カロリーよりも摂取カロリーを多くすると効果的なわけですが、摂取カロリーを多くしすぎると脂肪が多くついてしまいます
そこで、オススメされているのは
- 1日の消費カロリーに+350〜500kcalを摂取すること
ということ。
さらに3大栄養素の最低限ほしいラインとしては
- タンパク質:体重1kg当たり1.6g以上
- 炭水化物:体重1kg当たり4〜7g
- 脂質:摂取カロリーの15%〜20%
(ナッツや魚の脂質のような不飽和脂肪酸は筋肉の合成を促進してくれるのでなお良い)
で、このラインさえ満たせば、残りのカロリーはどれで摂取しても筋肥大の効果は変わらないということです。
1日の消費カロリーの変動
1日の消費カロリーはネットで検索すれば自動で計算してくれるサイトがあるので、簡単にわかると思います。しかし、その消費カロリーも細かく言えば様々な要因で変動するようで、
- 筋トレや筋トレ後の代謝アップによるカロリー消費の変動
- 筋トレ後の筋肉の合成に使うカロリーによる変動
- 生活で消費するカロリーの変動
- 筋肉量が増えることでのカロリー消費の変動
- 食事の摂取カロリーへの適応による代謝変動
などを考慮する必要があるということなんですね。
なので、消費カロリーの+350〜+500kcalを的確に狙おうとすると、実践しながら微調整するという慣れが必要になるかもしれません。ざっくりでいいという人は、少し多めのカロリーを意識しておけば間違いないと思います。
まとめ
本稿では「筋肉を増やすために必要な総カロリー」についてお話ししました。
ポイントをまとめると
- 食事の総カロリーが足りないと、タンパク質を増やしても、筋肉の合成は低下してしまう
- 筋肉を増やしたいなら、1日の消費カロリーに+350〜+500kcal以上をプラスした食事量を摂取しよう!
ということですね。
筋肉を増やしたいけどあまりたくさん食べられないという人は、カロリーの密度が高いものを増やすといいと思います。例えば、ナッツのような良質な脂質であったり、粉飴のような液体にして飲める炭水化物は手軽にカロリーが増やせるのでおすすめです。
以上、それでは良い筋トレライフを!
[参考文献]
*1 : Is an Energy Surplus Required to Maximize Skeletal Muscle Hypertrophy Associated With Resistance Training