先延ばしを無くすには、ネガティブ感情の対策が大切という話

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勉強でも、仕事でも、ちょっとした家事でも、先延ばしをしてしまうことってありますよね。

明日やろうと心に決めたとしても、その明日になってみるとやっぱりやる気が起きないもので、なかなか取りかかれないんですよね。

それで、先延ばしの原因には性格的な要因ももちろんあるのですが、そのときの感情といった状況的な要因の影響も強く受けるんですね。例えば、ストレスを感じているときには先延ばしが多くなってしまうとかいうことです。

そこで、本稿では「感情がどのように先延ばしに影響するのか」について、ニュージャージー大学の研究(*1)を参考にお話ししていきたいと思います。

先延ばしと感情

ネガティブな感情を先延ばし

研究によるとネガティブな感情が多いときには、先延ばしは多くなってしまうことが分かっています。ネガティブな感情とはストレスであったり、不安、退屈、落ち込み、疲労感、不満とかのことですね。

自分の生活を振り返ってみても、「今日は疲れたから明日やろう」とか、「やる気が起きないから明日やろう」とか、先延ばしの言い訳はネガティブな感情のものが多いのではないでしょうか。

ポジティブな感情と先延ばし

ネガティブな感情は視野を狭めてしまう一方で、ポジティブな感情には視野を広げてくれる働きがあります。なので、ポジティブな感情が多いときには、今の一時的な感情でなく、長期的な目標に視野が行きやすくなるんですね。

そのため、ポジティブな感情が高いときには、難しいタスクにも忍耐強く取り組めたり、集中力が発揮しやすかったりという良い効果が得られます。これは先延ばしにも有効で、ポジティブな感情が高いときには先延ばしの衝動は感じにくくなると考えられているんですね。

先延ばしの負のループ

ネガティブな感情は先延ばしを増やして、ポジティブな感情は先延ばしを減らすということでしたが、先延ばし自体も感情に影響を与えます。例えば、先延ばしをしてしまったときに後になって嫌な気持ちを感じたり、自分に自信がなくなってしまうということがあり得ますよね。

なので、一回先延ばしをしてしまうと

先延ばしをしてしまう
⇨ネガティブ感情が増える
⇨そのネガティブ感情が原因で先延ばしが増える
⇨またネガティブ感情が増える・・・

というように、負のループの陥ってしまう可能性があります。つまり、先延ばしをしてしまうと、日に日に先延ばしがひどくなってしまう可能性があるわけですね。

一方で、先延ばしをせずに、その場で実行できれば

先延ばしせずにその場で実行する
⇨達成感から自己効力感が高まる
⇨自己効力感からすぐ実行することが増える
⇨また自己効力感が高まる

という正のループを作ることが期待できます。

感情と先延ばしの実験

それで、この「感情と先延ばしの関係」を実際に実験で確かめてくれたのが、ニュージャージー大学の研究(*1)になります。この研究では57人の参加者を集めて、10日間にわたって、感情と先延ばしの頻度を測定しています。

それで、特にこの研究が注目したのは

前日のネガティブな感情は、翌日の先延ばしを増やしてしまうのではないか?

ということです。

その結果として分かったことは

  • 前日にネガティブな感情を多く感じていると、翌日の先延ばしが多くなる傾向がある(r=0.12)
  • 前日の先延ばしが多いと、翌日の先延ばしも多くなる傾向がある(r=0.19)

ということ。翌日までネガティブな感情や先延ばしは影響するということで、1回先延ばしをしてしまうと、翌日以降先延ばしがどんどん増えてしまう可能性があることが確認されています。

また、ポジティブな感情については、

  • 前日のポジティブな感情は、翌日の先延ばしには影響しなかった

ということなので、先延ばしを減らしたい場合には、ポジティブな感情を増やすよりも、ネガティブな感情を減らすことが効果的なようです。ネガティブな感情の効果は、その日のうちに手放してあげるのが望ましいということですね。

ネガティブな感情を減らすには?

最後に、ネガティブな感情を減らして先延ばしを減らすための対策を3つ紹介したいと思います。

①セルフ・コンパッション
セルフ・コンパッションとは他人に優しくするように、自分に優しくしてあげることです。セルフ・コンパッションを高めるには、ネガティブな感情になったときに、「辛いのは自分だけでないから大丈夫」と考えて、自分に優しい言葉をかけてあげれば大丈夫です。

②運動する
運動にはネガティブな感情を減らしてくれる効果があります。仕事が忙しくなってストレスが溜まっているときなんかは、ジョギングをするなどしてストレスを解消してあげることが有効です。

③問題解決に取り組む
ネガティブな感情の原因を解決するためのできることを、少しでもいいので実際に行動するというものです。これは「ネガティブな感情を最も減らしてくれる方法な何か」でも紹介したもので高い効果があるんですね。先延ばしを減らすという意味では、「明日やろう」と思ったときにも、ほんの少しでいいので進めておくようにする習慣をつけると良いと思います。

まとめ

本稿では「先延ばしと感情の関係」についてお話ししました。

ポイントをまとめると

  • ネガティブな感情は先延ばしを増やしてしまい、その効果は翌日まで持ち越す
  • 先延ばしが増えると、次々と先延ばしが増えてしまう負のループがある
  • 先延ばしを減らすにはポジティブな感情を増やすよりも、ネガティブな感情を減らすことが有効

ということですね。

先延ばしの負のループに負けないためには、先延ばしをしたくなったときに、1歩でもそれを進めておく習慣をつけるのが良いと思います。小さな一歩でも先延ばししなかった自信が自己効力感を高めて、すぐ行動する正のループを作ってくれるからですね。

以上、本稿はここまで。


[参考文献]

*1 : Prior Day Negative Affect Influences Current Day Procrastination: A Lagged Daily Diary Analysis

Naoto

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