退屈は悪いことばかりでない。退屈をうまく使って幸福感を上げるには?
生きていれば退屈を感じてしまうこともありますよね。
休日にやることがなくて退屈、
同じことの繰り返しで仕事が退屈、
学校の授業がつまらなくて退屈、
などなど、様々な場面で退屈は起きてしまうものです。
もちろん退屈なよりは楽しいことをしている方が良いので、退屈は悪い感情だと思われがちです。しかし、ルイビル大学のAndreas Elpidorou博士の論文によると、退屈にも良い面があるということ。
そこで、本稿ではこの論文を参考に
- 退屈の良い面を使って幸福感を上げていく方法
についてお話ししたいと思います。
退屈とはどんな感情なのか?
退屈の良い面を知るには、まず退屈がどんな感情なのかを多面的に見てみる必要があります。
①退屈の感情的側面
まず退屈を感情的な面で考えてみると、退屈とはつまらないと感じていることです。今やっている活動に意義を感じていなかったり、飽きてモチベーションが低下していると、どうしてもつまらないと感じてしまうわけです。それで、退屈はただつまらないで終わるだけでなく、不満感や怒りといった他の感情につながることもあります。
②退屈の認知的側面
退屈になると、今の活動に集中ができなくなってしまっています。マインド・ワンダリングといって、頭の中は他のことでいっぱいになって、集中が阻害されてしまうんですね。
また、退屈なときには時間の感覚も変わって、退屈だと時間は長く感じられます。フローという没頭している状態のときには時間はあっという間に過ぎるように感じるので、まさにその真逆の状態が退屈なわけですね。
それで、認知的な要因で退屈が発生してしまう原因はいくつかあって
- 活動に意義が感じられない
- ありきたりな活動で変化がない
- 難易度が簡単過ぎるか、難し過ぎる
などがあります。
③退屈の意思的側面
退屈は今の活動がつまらないというネガティブな感情であるとともに、他の活動をしたいという活動的な感情でもあるんですね。
無気力感や気分の落ち込みなどの行動を減らしてしまうネガティブな感情と違って、退屈にはつまらないという感情の裏に、他の活動をしたいというモチベーションがくっついている面白い感情なわけです。それで、まさにこれが退屈の良い面なんですね。
人生には山あり谷ありで、不幸なときがあるから幸福を感じられるように、退屈があるからこそ楽しさが感じられます。つまり、退屈とは次の楽しさに向かうためのシグナルであり、モチベーションなんですね。
退屈の良い面をうまく使うには?
退屈の良い面として、退屈が次の楽しさに向かうモチベーションになるということでした。そうすると、退屈のまま行き詰まってしまうのには2つの種類があって
- 退屈のまま新しい活動へ行動を移せない
- 次の活動がまた退屈な活動になってしまう
の2つです。なので、この2つをうまく回避できれば退屈を次の楽しさへうまくつなげることができます。
退屈を活かす方法①:とにかく新しい活動をする
退屈を抜け出す一番の方法は、その活動をやめて新しい活動を始めることです。
退屈を感じたときに「なんかつまらないな〜」と受け身になるのでなく、退屈は次の活動を始めるモチベーションだと思って、思い切って新しい活動を始めることが大切です。
退屈を活かす方法②:活動を選ぶ
新しい活動を始めても、次の活動もつまらなければ退屈は抜け出せません。
しかし、何が楽しいのかはやってみないとわからないものでもあるので、最初は面白そうな活動はなんでも挑戦してみるのが良いと思います。そうすることで、自分はどんな活動が好きなのかが少しずつ分かってきて、退屈も減っていきます。
ただし、退屈の注意点として、退屈は楽しさを求めてリスキーな行動を増やしてしまうということも研究によりわかっています。例えば、暴飲暴食やハイスピードな運転とかですね。
なので、活動を選ぶときのポイントとして
- リスキーな行動には注意する
- 一時的な楽しさでなく、意義を感じるかどうかも考える
ということを押さえておくと良いでしょう。
退屈を活かす方法③:やり方を変える
退屈を変えるには新しい活動が一番ということでしたが、ものによっては退屈でもやらなければいけないこともあります。例えば、学校の授業を退屈だからといって、隠れてゲームをするのが正しいとは言えませんよね。
そこで、退屈だけどやらなければいけないことは、やり方を変えるのがいいと思います。
- 難易度を適切に設定する
- ゲーミフィケーションでゲーム化する
- 制限時間を決めてチャレンジする
とかの工夫ができると思います。
まとめ
本稿では「退屈の良い面とその活かし方」についてお話ししました。
ポイントをまとめると
- 退屈はつまらない反面で次の活動へのモチベーションが一体になった面白い感情
- 退屈になったらとにかく新しい活動に挑戦しよう
- 新しい活動を行うほど、自分の活動の好みや活動への意義の理解が深まっていって、活動選びもうまくなる
- 退屈だけどやらなければいないことはやり方を工夫してみよう
ということです。
「退屈は新しい活動へのモチベーション」という解釈の仕方はなかなか使えるのではないでしょうか。特に新しい活動に意義を求めるようにすると、自分の人生の意義も深まっていくので、人生の幸福感の向上につながっていくでしょう。
[参考文献]