筋トレの効果はストレスが原因で低下してしまうという研究
同じ筋トレのメニューを行ったとしても、人によって筋肉や筋力の伸びは違います。この違いには遺伝的な要因であったり、年齢、食事の内容などの様々な要因が関係してきます。
そんな中でテキサス大学の研究(*1)が注目したのは、日々感じているストレスが筋トレの効果に影響するのではないかということです。
例えば、彼女にふられたとか、仕事をクビになったとか、財布をなくしたとか。人生の中でネガティブな出来事があると、そのストレスはすぐには消えずに数日あるいは数ヶ月にわたって残り続けます。
過度のストレスは健康にとって悪いものですから、そのようなストレスフルな状況では、筋トレの効果も低下してしまうことが考えられるわけですね。
そこで、本稿はこの研究を参考に、ストレスがどれだけ筋トレの効果を低下させてしまうのかを見ていきましょう。
ストレスと筋トレ効果
この研究(*1)ではウェイト・トレーニングの授業の参加者135人を対象に、ストレスと筋力の向上の関係を調べています。
この授業のトレーニング方法の特徴としては
- 1時間半の筋トレを週に2回
- 合計で12週間にわたって筋トレする
- トレーニングは部位毎に分けずに1回の筋トレで全身を鍛える
- ピリオダイゼーションを取り入れていて、重量設定を期間で変えている
最初の4週間:10回×3セット
真中の4週間:5回×3セット
最初の4週間:3回×3セット
という感じです。
それでこの研究では、トレーニングを行いながら次の指標を測定しています。
- 12週間のネガティブな出来事とストレスの大きさ
- 12週間後のベンチプレスとスクワットの重量の伸び
- 12週間後の腕と太ももの筋肉の大きさの伸び
- 友達や家族などのソーシャル・サポート
これにより、筋力の伸びとストレスの関係が分析できるわけですね。ちなみに各参加者のソーシャル・サポートを測定しているのは、ネガティブな出来事があっても、友達や家族の支援でストレスが低減する可能性があって、これが筋トレの効果にも関係してくるかどうかを調べるためです。
結果
それで分析の結果が次のようになっています。
高ストレス | 低ストレス | |
ベンチプレスの最大重量の伸び率 | +11.68% | +14.60% |
スクワットの最大重量の伸び率 | +22.41% | +25.06% |
腕の筋肉の大きさの伸び率 | +17.13% | +19.68% |
太ももの筋肉の大きさの伸び率 | +1.36% | +0.15% |
太ももの大きさなど一部の結果はほとんど変わらない結果となってしますが、全体の傾向として言えるのは
- 高ストレスでも低ストレスでも筋トレで筋力や筋量は向上する
- しかし、高ストレスだと筋力と筋量の伸び具体が少し低下してしまう
ということです。つまり、筋トレはやるならストレスが少ない状態の方がよいということですね。
それで、この研究ではソーシャル・サポートの多さも測定していましたが、
- ソーシャル・サポートは多くても少なくても筋トレの効果には影響しなかった
という結果となっています。ソーシャル・サポートがあればストレス対処がうまくなるので、筋トレへのマイナス効果も減ることを期待していましたが、結果としては何も変わらなかったみたいですね。
なぜ筋トレ効果が落ちるのか?
この研究ではなぜ筋トレの効果が低下してしまうのかの詳細までは分析はされていません。しかし、研究者の推測としては
- ストレスが多いとコルチゾールなどのストレスホルモンが増えて、筋肉の回復が遅れてしまうのではないか?
ということです。
ストレスで肌の生まれ変わり(ターンオーバー)が遅くなって、肌が荒れてしまうのと同じように、ストレスが筋肉の生まれ変わりを阻害してしまって、それにより筋トレの効果が少し弱まってしまっているのではないかということですね。
まとめ
本稿では「ストレスと筋トレの効果」についてお話ししました。
ポイントをまとめると
- ストレスが高いと筋力や筋量の伸びが少しだけ低下してしまう
ということですね。
ちなみに、ストレスが高いと運動が習慣として定着しにくくなってしまうという研究結果もあるので、ストレス対策は習慣作りと筋トレ効果向上の2つの意味で大切です。
実は運動はストレスに効くので、筋トレ自体にもストレスを軽減してくれる効果があります。なので、少しだけ効果は落ちてしまったとしても、ストレスが高いときでも筋トレは積極的にした方が良いでしょう。
他のストレス対策としては、個人的にはマインドフルネス瞑想とか自然と触れ合うこととかがオススメですので、試してみてください。
以上、それでは良い筋トレライフを!
[参考文献]
*1: STRENGTH GAINS AFTER RESISTANCE TRAINING: THE EFFECT OF STRESSFUL, NEGATIVE LIFE EVENTS