ヨガがストレスに効くのかを調べてくれたメタ分析
本稿のテーマは「ヨガのストレス解消効果」についてです。
人は大きなストレスを感じると「闘争・逃走反応」によって、心臓がバクバクして心拍数が上がるなど、一時的に体が闘争・逃走するモードに切り替わります。しかし、この闘争モードは長期的に続いてしまうと体にとって悪いもので、仕事などで慢性的にストレスを抱えてしまうと体にもメンタルにも不調が生じてしまいます。
そこでストレスを適度に解消してあげることが大切で、その方法の一つとしてヨガが有効だと言われています。しかし、ヨガにも色々な種類があって、それらが本当にストレス解消に効くのかどうかはいまいち分かっていない部分もあるということ。
そこで、2017年の研究(*1)がヨガが本当にストレスに効くのかを調べてくれていたので、本稿ではその中身を見ていきましょう。
ヨガとストレス軽減
この研究ではヨガのストレス軽減効果を調べてくれた研究を42件集めて、メタ分析という手法でそれらの研究結果をまとめてくれています。
42件の研究の特徴としては
- ランダム化比較試験で、ヨガのストレス軽減効果をアクティブなコントロール群と比較していること
ということで、実験のデザインとして信頼度の高い研究を集めています。
そして、ストレスの低減効果としては
- コルチゾール(ストレスホルモン)の軽減効果
- 炎症の軽減効果
- 血圧や心拍数の低下効果
などを調べてくれています。
それではメタ分析の結果として分かったヨガの効果について順番に見ていきましょう。
結果①:コルチゾール
まず最初にヨガがストレスホルモンであるコルチゾールが減らしてくれるのかについて分かったことは
- ヨガは起床時と午後のコルチゾールのレベルを下げる効果があった
- 起床から30分後〜昼までの時間帯のコルチゾールは下がらなかった
- ヨガの種類はマインドフルネスベースのヨガでも、そうでないヨガでも効果があった
ということ。
この結果からするとヨガにはストレスを減らしてくれる効果があるということですね。
午前中に効果がなかった原因についてはよく分かっていないようですが、そもそも午前中の効果を調べた研究が少なかったようなので、今後の研究でまた変わってくるかもしれないようです。
結果②:炎症の軽減
炎症とはストレスが高いときに体内で発生してしまう現象の一つで、この炎症が様々な病気の原因になってしまうと言われています。
それで、ヨガが炎症性の物質を低減させてくれるのかについて分かったことは
- IL-6はヨガで減少した
- IL-8はヨガでは改善しなかった
- CRPはヨガでは改善しなかった
という感じで、IL-6という炎症性の物質には効果があることが確認されています。
ちなみにヨガの種類については
- マインドフルネスベースのヨガでIL-6は改善した
ということなので、呼吸瞑想やボディスキャン瞑想などのマインドフルネスの要素を取り入れたヨガが特に効果があるということです。
結果③:血圧や心拍数の改善
ストレスが高いと血圧や心拍数が高くなってしまいます。そこでヨガが血圧や心拍数を低下させてくれるのかも調べていて、
- ヨガで血圧が低下した
- ヨガで安静時の心拍数を低下させた
- ただし血圧の改善はマインドフルネスベースでないヨガでのみ得られた
という結果が得られています。
血圧の改善はマインドフルネスベースの動作が少なくて集中するタイプのヨガよりも、アクティブな動作の多いヨガの方が効果が高かったということ。なので、血圧の改善にはアクティブで有酸素運動に近いヨガを選んだ方が良いみたいですね。
まとめ
本稿では「ヨガは本当にストレスを軽減してくれるのか?」についてお話ししました。
ポイントをまとめると
- ヨガはストレスを軽減してくれる(特に起床時と午後)
- ヨガのストレス軽減により、炎症の軽減や心拍数の低下、血圧の改善の効果も得られる
ということですね。
ヨガには瞑想のように動作に集中する要素と、有酸素運動の要素の両方があるのが面白いところですね。瞑想と運動の習慣があればヨガまでは必要はないと思いますが、瞑想や運動をする習慣がない人はストレス対策としてヨガを取り入れてみるのもいいと思います。
以上、本稿はここまで。
[参考文献]