目的・レベル別の筋トレの重量/回数/セットの組み方の基本
セット数や1セットの回数、インターバルの長さなど、トレーニングの組み方には様々な方法があります。回数は少なく高重量でトレーニングする人もいれば、低重量で回数を多くトレーニングする人もいますよね。
実はこのような重量や回数の組み方で、筋トレの効果も変わるため
- 筋力を伸ばしたいときのトレーニング
- 筋肉を増やしたいときのトレーニング
- パワーを伸ばしたいときのトレーニング
など目的に応じてトレーニングの組み方も最適化することが望ましいんですね。
そこで本稿では、最適なトレーニングの組み方についてまとめてくれたコンチカネット大学の文献(*1)を参考に、目的に応じたトレーニングの違いを見ていきましょう。
重量や回数の考え方
まず「重量や回数などの違いがどのように筋トレの効果に影響を与えるのか」の基本的な考え方についてざっとまとめておきます。その後で目的別の具体的なトレーニングの組み方を見ていきましょう。
①筋力・筋量・パワー
まず最初に筋トレで目的として、筋力・筋肉量・パワーの違いについてお話ししたいと思います。
筋力とは筋肉が発揮できる最大の力で、筋トレで言えば持ち上げられる最大の重量になります。なので、ベンチプレスを100kg上げたいなどの最大重量を目的にする場合には、筋力を伸ばすトレーニングを行う必要があります。
筋肉量とは単純に筋肉の大きさのことです。ボディビルダーやフィジークの選手のようにムキムキになりたいという人でも、スポーツ選手のようなマッチョな体になりたいという人でも、見た目の筋肉を増やしたい人は、筋肉量を増やすトレーニングが最適です。
パワーとは瞬発的に発揮できる筋力です。パワーの代表的な例はジャンプ力で、例えば200kgのスクワットをできる筋力があっても、力を込めてゆっくりと立ち上がったらジャンプはできません。高くジャンプするには瞬発的に短時間で筋力を発揮する必要があるんですね。そのためパワーを伸ばしたい場合には、ただ筋力をつけるだけではダメで、瞬発的に筋力を発揮するようなパワー向けのトレーニングが必要になります。
②重量と回数
重い重量でトレーニングを行うほど、当然ですが回数は落ちてしまいます。つまり目的に応じて高重量×低回数か低重量×高回数かのトレードオフを設定する必要があるわけですね。
それで重量と回数で効果にどのような違いがあるのかというと
1〜6回の高重量 | 筋力への効果が高い |
6〜12回の中重量 | 筋肉量への効果が高い |
13回以上の低重量 | 筋持久力への効果が高い (ただし筋力はほとんど伸びなくなる) |
筋力を伸ばすには重量が大切で、これは高重量で高い筋力を発揮するトレーニングが筋肉を制御する神経系も鍛えてくれるからです。筋肉量を増やすにはボリュームが大切で、回数を増やして筋肉を追い込むことが筋肥大につながるということです。
③インターバルの長さ
次にセットとセットの間のインターバルの時間は、
高重量を扱う場合はインターバルは長め2分〜3分
中重量以下の場合はインターバルは短め2分以下
が良いということです。筋力の伸びを目的とするパワーリフターは、長めのインターバルをとって、高重量でしっかりと筋力を発揮させることが大切。一方で筋肉量を目的とするボディビルダータイプのトレーニングでは、インターバルは短めにして、筋肉を追い込んでいくことが大切になります。
目的別トレーニングの組み方
筋力を伸ばしたいときのトレーニング
初心者 | 中級者 | 上級者 | |
種目 | 単関節種目、 多関節種目 | 単関節種目、 多関節種目 | 単関節種目、 多関節種目 |
重量 | 1RMの60〜70% | 1RMの70〜80% | 1RMの70〜100% |
回数/セット数 | 8~12回×1~3セット | 6~12回×複数セット | 1~12回×複数セット |
インターバル | 1〜2分 | 2〜3分 | 2〜3分 |
筋力を伸ばしたい場合は、高重量×低回数×長いインターバルが基本となります。しかし、初心者の場合には軽めの重量から始めてフォームをしっかりと作るほうが大切ということです。
筋肉量を増やしたいときのトレーニング
初心者 | 中級者 | 上級者 | |
種目 | 単関節種目、 多関節種目 | 単関節種目、 多関節種目 | 単関節種目、 多関節種目 |
重量 | 1RMの60〜70% | 1RMの70〜80% | 1RMの70〜85% |
回数/セット数 | 8~12回×1~3セット | 6~12回×複数セット | 6~12回×複数セット |
インターバル | 1〜2分 | 1〜2分 | 1〜2分 |
筋肉量を増やしたいときには中重量×高回数×短いインターバルが基本となります。よくオススメされる10回×3セットも特に筋肉量を増やすのに有効なトレーニングになります。
筋肉量を増やすにはボリュームが大切なので、補助種目なども入れて複数の種目で筋肉を追い込むのも有効です。そのときには大きな筋肉を使う他関節種目を最初に行って、小さな筋肉を鍛える単関節種目を補助種目として後に行うようにすると良いです。
パワーを増やしたいときのトレーニング
初心者 | 中級者 | 上級者 | |
種目 | 多関節種目 | 早い動作速度の多関節種目 | 早い動作速度の多関節種目 |
重量 | 1RMの30〜60% | 1RMの30〜60% | 1RMの30〜60% |
回数/セット数 | 8~12回×1~3セット | 3~6回×1~3セット | 1~6回×3〜6セット |
インターバル | 1〜2分 | 1〜2分 | 1〜2分 |
パワーを増やしたいときには、多間接種目を速い動作で行うことが大切です。パワーを発揮するには複数の筋肉をうまく連動する必要もあるので、個別の筋肉を鍛える単間接種目はあまり有効ではありません。
また、1セットの回数が多くなると鍛えられるのが持久力の方によってしまうので、1セットの回数は少なめでセット数を多めにすると良いということです。
まとめ
本稿では「目的別のトレーニングの組み方」についてお話ししました。
ポイントをまとめると
- 筋力を鍛えるには高重量のトレーニング
- 筋肉量を増やすにはボリュームで追い込むトレーニング
- パワーを鍛えるには筋肉を連動して瞬間的に力を発揮するトレーニング
が有効ということですね。
最後に注意点として、回数とセット数はずっと同じ設定にしていると停滞期に入ってしまうこともあります。その場合には、少しの期間だけ重量設定や回数設定を変えてあげると、筋肉に新しい刺激が加わって停滞期を抜けることができます。なので、時々トレーニング方法を変えると良いということも覚えておきましょう。
以上、それでは良い筋トレライフを!
[参考文献]
*1: Fundamentals of Resistance Training: Progression and Exercise Prescription