1日の総カロリーが同じなら、朝食でたくさん食べた方が体重はグッと減りやすいという研究結果
ダイエットでよく話題になるのは、何を食べればいいのか?やどれだけカロリーを減らせばいいのか?で、「いつ食べればいいのか?」はあまり重視されていないように思います。
よく言われるのは、朝食をしっかり食べて夕食は軽めにしようということで、
- 朝食で1日のエネルギーを摂取する必要がある
- 夜食べると脂肪になりやすい
- 朝食で体内時計が目覚めて体が活動的になる
などがその根拠として言われています。
一方で真逆の意見もあって、そもそも狩猟で暮らしていた時代には、人は朝食はあまり食べることができなかったのだから、その遺伝子に合わせて昼や夜にたくさん食べた方がいいのでは?という説もあります。
そこで、テルアヴィヴ大学らの研究(*1)が
- 朝食をたくさん食べる食事パターンと、夕食をたくさん食べる食事パターンでは、どちらが痩せやすいのか?
について調べてくれていたので、本稿ではその結果を見ていきましょう。
朝食 vs 夕食
この研究では肥満体型の女性93人を対象に、12週間にわたってダイエットを実践してもらっています。このときに参加者は2つの食事パターンに分けられていて
- 朝食重視グループ
朝食700kcal、昼食500kcal、夕食200kcalの食事パターン - 夕食重視グループ
朝食200kcal、昼食500kcal、夕食700kcalの食事パターン
と、摂取カロリーを朝に多くとる場合と、夜に多くとる場合を比較しています。総摂取カロリーはどちらも1400kcalで同じになるように調整されていますね。
それで、食事の内容については脂質や糖質など、特定の栄養素を制限するようなことはせずに、
- タンパク質:29%〜48%
- 炭水化物:21%〜45%
- 脂質:26%〜31%
といった感じで、1400kcalの中でどの栄養素も満遍なく摂っています。ただ、タンパク質の割合が結構高めになっていて、これはタンパク質は腹持ちが良かったりしてダイエットに効果的だからだと思います。
結果:朝食と夕食はどちらが痩せるのか?
まず最初にメインとなる体重とウエストの減少を見てみると、
左のグラフが体重の変化で、朝食重視の人(●)の方が、夕食重視の人(○)よりも体重が大きく減少していることがわかります。さらに右のグラフではウエストの変化を比較していて、こちらでも朝食を多く食べた人の方がウエストがより細くなっていることが分かります。
もう少し具体的に数値で比較すると、12週間のダイエットの結果として
- 体重:朝食重視 −8.7kg vs 夕食重視 −3.6kg
- BMI:朝食重視 −10% vs 夕食重視 −5%
- ウエスト:朝食重視 −8.5cm vs 夕食重視 −3.9cm
と、朝食を多く食べた人の方が2倍以上体重は減っています。ここまで大きな差が出るのはちょっと驚きですね。
結果2:朝食の更なる効果
それで、血液検査の結果などもみると朝食にはもっと多くの効果が確認されていて
- 朝食グループは血液中の中性脂肪が33.6%減少していたが、夕食グループでは14.6%増えていた
- インスリンやグレリンも朝食グループの方が大きく減少していた
(グレリンは空腹感に関するホルモン) - インスリン感受性も朝食グループの方が大きく改善した
ということ。
さらに面白いのが1日の空腹感の変化で
朝食をたくさん食べた人(●)は、昼食〜夕食にかけて摂取するカロリーが減っていくので、だんだんと空腹感は上昇してしまう傾向がありますが、1日を通して比較的に低い水準で安定していることが分かります。一方で、夕食でたくさん食べた人(○)は、食事のたびにガクッと空腹感は下がるものの、時間とともに空腹感はかなり高いところまで上昇してしまって、空腹感の上下が激しいことが分かります。
つまり、朝食をいっぱい食べることは、空腹感を抑えるという意味でもダイエットに有効ということですね。
まとめ
本稿では「朝食をたくさん食べることのダイエット効果」についてお話ししました。
ポイントをまとめると
- 朝食をたくさん食べる方が、夕食をたくさん食べるよりも、2倍以上体重は減りやすい
- 朝食をたくさん食べる方が、ホルモン関係の改善も大きく、空腹感も感じにくい
ということですね。
同じ総カロリーでも、食事のパターンだけでここまで差が出たのは面白いですね。私は体重を減らしたいときには、朝食を抜いて昼食と夕食のみを食べるプチ断食をしていましたが、この研究結果を見ると、朝食と昼食を食べて夕食を抜くプチ断食の方がダイエット効果は高いのかもしれませんね。今度試してみたいと思います。
以上、本稿はここまで。
[参考文献]