自制心を発揮することが、マイナスになってしまうときとは?

ダイエットを成功させるためにお菓子を我慢したり、テストで良い成績を取るためにゲームを我慢して勉強をしたりと、目先の誘惑に負けずに長期的に良いことを選択する自制心は人生において大切なものです。

自制心が高い人ほど、学業の成績が良かったり、犯罪などの衝動的な行動が少なかったりと、将来成功する確率が高いということが分かっているんですね。

それでは頑張って自制心を発揮することが良いことばかりかというと、実はそうでもないみたいで、フロリダが大学の文献(*1)によると自制心にもネガティブな側面があるというですね。

そこで本稿ではこの文献を参考に

  • 自制心を発揮することのネガティブな面とは?
  • それを回避するにはどうすれば良いのか?

についてお話ししていきたいと思います。

自制心が悪く働いてしまうとき

フロリダ大学の文献(*1)では、自制心が悪く働いてしまう可能性がある3つの場合を挙げてくれています。

①目的を間違ってしまっているとき

ロイ・バウマイスター博士が言うには「自制心は目的を達成するために必要なツールの一つに過ぎない」ということ。

なので、目的が適切なもので、そこにたどり着くための方法も正しい場合には、自制心を発揮してガンガン突き進むのは良いことです。しかし、目的が間違っていたり、方法が間違ってしまっている場合には、自制心を発揮しても間違った方向に進んでしまうだけです。

例えば、自制心を発揮して翌朝までSNSで悪口を書き込んだとしても、そもそもやっていることが悪いことなので良い結果は得られません。他にも健康になるために適度にランニングをすることは良いことですが、やり過ぎてオーバートレーニングで体を壊してしまっては元も子もありません

なので、何に対して自制心を発揮すべきなのかをちゃんと選びましょうということですね。

②自分を犠牲にし過ぎてしまっているとき

自制心を働かせるということは、短期的な利益を取らずに長期的な利益を取ることです。ということは、自制心を働かせるほど長期的な大きな利益が増える一方で、短期的な楽しさや嬉しさなどの利益は減ってしまいます

なので、お金を節約することに固執し過ぎて少しも贅沢がない生活が苦しいのと同じように、自制心を働かせすぎるのも不幸せな人生を招いてしまうことにもなりかねません。

また、他の人のために自制心を働かせることもあり、その場合は自分を犠牲にして他人を助けています。このときにも他人ばかりに尽くしすぎると自分の幸せが後回しになってしまいます。

なので自制心を働かせるときには、自分の幸せを犠牲にし過ぎていないかに注意しましょう

③自制するエネルギーが尽きたとき

目先の誘惑に負けずに辛い長期的な利益を選択することは、心のエネルギーを使います。仕事でも勉強でも、長くやるほどエネルギーは擦り減って、頑張ろうという自制心が働きにくくなってしまいますよね。ちなみに、このエネルギーは心理学の研究では意思力と呼ばれています。

それで問題なのが、意思力は様々な行動に共通のエネルギーなので、一度エネルギーが尽きてしまうと、様々なことに自制心が働かなくなってしまうということです。例えば、仕事で意思力をすり減らした後には、ダイエットへの自制心が働きにくくなってしまうというようなことが起こるわけですね。

さらに意思力は自制心だけでなく、論理的な思考能力や判断能力、行動を始める実行能力にも使われることが分かっています。つまり、意思力がなくなってしまうと

  • 論理的に物事を考えられなくなる
  • 的確な判断が難しくなる
  • 行動の開始を先延ばしにしてしまう

という悪い効果まで発揮されてしまうんですね。

なので、自制心は何でもかんでも発揮させるのではなくで、重要なことにしっかりと自制心を向けられるように、ペース配分を考えないとダメということですね。

自制心をうまく使うには

次に、自制心のネガティブな効果を避けるための方法を紹介していきたいと思います。

①運動
運動をすることで意思力を増やせるということが研究により分かっています。
なので、ダイエットをする人は、食べ物を減らすだけでなく、運動も行えば誘惑に負けにくくなるということですね。

②栄養補給
疲れ果ててエネルギーが尽きてしまっているときには、血糖値が下がってしまって、これが意思力を下げてしまうこともわかっています。なので、疲れてやる気が出ないときには、甘いものでも食べて血糖値を戻してあげれば、意思力も少し回復します。

③習慣化する
一度習慣になると、自制心を働かせなくても、ほぼ自動的にその行動を行えるようになります。意思力を消費しなくて済むわけですね。なので、繰り返して行う行動は、やる場所や時間を決めるなどして習慣化しましょう。

④自制心を発揮すべきことを絞り込む
自制心を間違ったことに働かせないために
 ・目的と方法は正しいか?
 ・自分を犠牲にし過ぎていないか?
 ・意思力をすり減らしてまでやる価値があるのか?
を考えて、何に自制心を働かせるのかを絞り込みましょう。ダイエットや仕事、生活など自制心を働かせたいことは幅広くあると思いますが、重要なもの以外は気楽に考えるようにしましょう。

⑤自制心のペース配分をする
3つのタスクを行ってもらう実験で、最初の2つのタスクを自制心を温存しようと思って実施してもらった場合には、最後タスクのパフォーマンスが向上することが分かっています。つまり、自制心は自分でペース配分を考えて使うことができるんですね。一番重要なタスクに自制心を集中できるように、どうでも良いタスクでは自制心を温存したり、休憩を挟んだりと、ペース配分を行うようにしましょう。

まとめ

本稿では「自制心を発揮することのネガティブな効果」についてお話ししました。

ポイントをまとめると

  • 自制心は間違ったことにも発揮できてしまうので注意
  • 過度の自制心は、短期的な楽しさを犠牲にし過ぎたり、他人のために自分を犠牲にし過ぎたりしてしまうことがあるので注意
  • 自制心はペース配分を考えないと、大事なところで尽きてしまうので注意

ということですね。

本当に大事なタスクの自制心を発揮できるのなら、台所に洗ってない皿がたまってるくらいのことは気にしない方がいいのかもしれませんね。それか、習慣化できれば、皿洗いで自制心がすり減らなくなるので、なお良いですね。

以上、本稿はここまで。

Naoto

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