カロリーの密度が低い食事ほど肥満のリスクも減るという研究
ダイエットをするときには摂取カロリーを消費カロリーよりも低く抑えることが必要になります。
それで摂取カロリーを減らす方法には2通りあって、一つは食事の量を減らす方法で、もう一つは食事の質を変える方法です。本稿で注目するのは後者の食事の質で、特にカロリーの密度の大切さを考えていきたいと思います。
パーク大学の研究(*1)が
- 普段の食事のカロリーの密度がどれだけ体重に関係しているのか?
を調べてくていたので、本稿ではその中身を見ていきましょう。
カロリーの密度とは?
カロリーの密度とは食品1g当たりのカロリーの高さのことです。
食べ物の中には水分や食物繊維などのカロリーを含まない成分も含まれるため、これらの成分の割合によって、その食品のカロリーの密度が大きく変わるんですね。
例えば、菓子パンはカロリーの塊のようなもので、大した重さもないパンの中には500kcal近いカロリーが高密度に詰まっています。一方で、ほうれん草などの野菜はビタミンなどの栄養が多く含まれている一方で、その大部分が水分と食物繊維でカロリーの密度はほぼゼロです。
ざっくりとカロリーの密度のサンプルを載せると
カロリーの密度:超低い | 野菜、フルーツなど |
カロリーの密度:低い | 肉、卵など |
カロリーの密度:中 | パン、パスタ、お米など |
カロリーの密度:高い | お菓子、砂糖入りのジュース |
同じお肉でも脂質の少ない鶏ムネ肉の方がカロリーの密度は低かったりするので、この表はあくまでもざっくりとしたイメージです。
カロリーの密度と食事
それでカロリーの密度が低い食事を選べば、量はたくさん食べても摂取カロリーが低く収まるので、肥満のリスクが減ることが考えられます。お腹いっぱい食べても太らないのならダイエットも楽ですよね。
そこで、パーク大学が普段の食事のカロリーの密度が1日の摂取カロリーや体重にどれだけ影響するのかを調べてくれています。この研究では7356人分もの食事データからこれらの関係を分析してくれているんですね。
この研究ではカロリーの密度を
- 低い:1g当たり1.7kcal以下の食事
- 中くらい:1g当たり1.7〜2.1kcalの食事
- 高い:1g当たり2.1kcal以上の食事
と分類しています。
結果
それで結果として分かったことは、
- カロリーの密度が低い食事の人は、カロリーの密度が高い人と比べて、1日の総摂取カロリーが男性で432kcal低く、女性で278kcal低かった
- カロリーの密度が低い人は、肥満の割合が男性で6%低く、女性で5%低かった
- 標準体型の人は、肥満体型の人と比べて、カロリーの密度が低い傾向があった
ということです。これはダイエットをしていない自由に食べることができる人のデータなので、普段の食事のカロリーの密度が低い人は、好きに食べても278kcal以上も総摂取カロリーが抑えられるということですね。
結果2
それでこの研究でももう少し具体的に食事の内容を調べていて
- カロリーの密度が高い人は、特に脂質を多く取りすぎていた
- カロリーの密度が低い人は、野菜とフルーツを食べる量が多かった
- カロリーの密度が高い人はカロリーのあるドリンクを多く飲んでいたが、カロリーの密度が低い人は水を多く飲んでいた
- 食事の量はカロリーの密度が低い人の方が、男性で396g/日多く、女性で295g/日多かった
ということが分かっています。
面白いのがカロリーの密度が低い食事の人の方が、食事の量は300〜400gも多かったというところ。野菜などの質の良い食事であれば、お腹いっぱいに食べても太らないということでしょう。
まとめ
本稿では「カロリーの密度と肥満」についてお話ししました。
ポイントをまとめると
- カロリーを抑えるには、食事の質を上げることも大切
- カロリーの密度が低い食事は、たくさん食べても総摂取カロリーを減らすことができて、肥満のリスクを減らしてくれる
- カロリーの質が良い食事のポイントは次の3つ
①高脂質な食品を避けること
②ジュースを飲まないで水とかお茶にすること(0kcalのジュースならOK)
②野菜やフルーツを増やすこと
ということですね。
ダイエットの空腹感が辛いという人は、カロリーの密度が低いものをたくさん食べるようにすれば、食事の量を稼ぐことができます。特にタンパク質は腹持ちがいいので、プロテインや鶏ムネ肉はダイエットに最適なのではないでしょうか。
以上、本稿はここまで。
[参考文献]
*1 : Dietary energy density is associated with energy intake and weight status in US adults.