ビタミンDが不足すると筋力が低下してしまうのか?
ビタミンDは体に必要な栄養素でありますが、実は多くの人が不足しがちなことがわかっています。なぜ不足してしまうのかというと
- ビタミンDは普段の食事のみから摂取するのは困難で、それを補うためには日光を浴びて皮膚でビタミンDを合成する必要があるから
なんですね。現代では仕事などで室内にいることが多くなったので、日光不足でビタミンDが不足してしまうんですね。
それでビタミンDが不足してしまうと、もちろん健康に悪かったりするわけですが、本稿で注目するのはビタミンD不足はアスリートのパフォーマンスを下げてしまうのではないかということです。
先行研究でも、ビタミンD不足で筋力の回復が遅くなったり、運動のパフォーマンスが低下したりという研究があるようですが、上海大学の研究が
- ビタミンDが不足すると筋力が低下してしまうのか?
についてまとめてくれていますので、本稿ではこの研究を参考にしていきましょう。
ビタミンD不足と筋力の低下
上海大学の研究(*1)では、ビタミンD不足と筋力の低下について調べてた研究8件をメタ分析でまとめてくれています。これらの研究の特徴としては
- 8件のうち5件はプロのスポーツ選手を対象にした研究、残りが大学生のアスリートを対象にした研究で、研究の対象はスポーツの上級者に設定されている
- スポーツの種類はサッカー、フットボール、水泳、ラグビー、柔道など様々
- ビタミンDが不足した場合の筋力を、ジャンプ力やベンチプレス、握力測定などで測定している
といった感じです。
これらの研究で集められたアスリートの総数は284人となっていて、これらのデータからビタミンD不足の筋力低下の効果を分析してくれています。
結果
分析の結果としてわかったビタミンD不足の影響は
- 全ての研究データを総合すると、ビタミンDには筋力を低下させる有意な効果は見られなかった
という結果になっています。
しかし、研究によっては筋力低下が見られた結果のものもあるので、どんな場合にビタミンD不足が筋力低下を起こしてしまうのかをもう少し細かく分析してくれています。その結果としては
- 下半身の筋肉はビタミンDが不足すると筋力が低下してしまうが、上半身の筋肉はビタミンDが不足しても筋力の低下は見られなかった
- 室内でトレーニングをしているアスリートにはビタミンD不足による筋力の低下が見られた
ということ。
ビタミンD不足は上半身の筋力は低下させないが下半身の筋力は低下させてしまうという面白い結果が得られています。しかし、下半身の筋力を使わないスポーツは少ないと思うので、ほとんどのスポーツはビタミンD不測でパフォーマンスが低下してしまうのかもしれませんね。
また室内でトレーニングしているアスリートにビタミンD不足の筋力低下が見られたのは、室外でトレーニングしているアスリートは日光を浴びてビタミンDを補うことができているからでしょう。
結論としてはアスリートはやはりビタミンD不足には気を付けた方が良いということです。ビタミンDは日光で補うこともできますが、多くの研究ではサプリメントで補っていて、それでも効果があることが分かっています。日光を浴びる機会の少ない人はサプリで補うのが簡単そうですね。
まとめ
本稿では「ビタミンD不足で筋力が低下するのか」についてお話ししました。
ポイントをまとめると
- ビタミンD不足で下半身の筋力は低下してしまう
(上半身の筋力は低下しない) - 室内でトレーニングしている人は、特にビタミンDの筋力低下が起きやすい
- 運動のパフォーマンスを高めたければ、サプリや日光でビタミンDを補おう!
ということです。
研究によるとアスリートの44%〜67%はビタミンDが不足してしまっているということです。食事の栄養に気をつけたとしても、日光が不足してしまうとビタミンDは不足してしまいます。健康的な食生活をしている人でも、意外とビタミンD不足の人は多いので注意しましょう。
以上、本稿はここまで。
[参考文献]