自分の好きな目標を書き出すことで、学業成績が向上するという研究結果
テストで満点を取りたいとか、資格試験に合格したいとか、何かを達成したいときには、目標を決めてモチベーションを高めることが大切です。しかし、目標にも色々な種類があって、健康に関する目標、学業に関する目標、人間関係に関する目標、キャリアに関する目標など、一人の人でも様々な目標を持つものです。
そこで、目標を使って学業の成績を上げることができるのかを調べてくれた研究(*1)で面白いことが分かっていて、
- 学業とは違う種類の目標でも、その目標へのモチベーションが波及して、学業の成績まで向上することがある
という結果が得られていました。
目標設定と学業成績
この研究では合計2928人の大学1年生を対象に、目標と計画を設定することがどれだけ学業の成績を向上してくれるのかを実験しています。
この実験で、大学生は目標設定の指導がされていて、
- 自分の価値観や将来の理想像について自由に書き出しもらう
- 目標と計画を書いてもらう
計画では目標達成の障害になることはどんなことで、それに対してどのように対処するかを決めてもらっています。 - 決めた目標についてFacebookと大学のホームページで顔写真付きで公言してもらう
という手順を実施しています。ちなみに、目標達成の計画を立てるのに、ポジティブな面だけでなく、障害といったネガティブな面を想定してその対策を考えることは、これまでの研究でも分かっている有効な手段の一つです。
それでこの目標と計画の指導が学業成績をどれだけ向上させるのかを測定するために、
- 手順1の自由記述で書いた文字数が、学業の成績のどのように関係するのか?
- 手順2で考えた障害と対策の数やクオリティが、学業の成績の成績のどのように関係するのか?
- 目標の種類が学業の成績に関係してくるのか?
といったことを分析しています。
結果
それで結果がどうなったのかというと
- 目標と計画の指導を受けた生徒は、学業の成績が22%向上していた
- 自分の価値観や理想の将来に対して、より多くの文字数を書き出した生徒の方が成績の向上が良かった
- 目標に対する障害とその対策をより深く考えた生徒の方が成績の向上が良かった
ということ。つまり、目標はただ立てれば良いというわけでもなく、自分の将来象とそこに至るまでの障害についてより真剣に考え込んだ方が効果が高まるということですね。ちなみに、手順1~3の途中で抜けた生徒は学業成績の向上効果が低かったということなので、①自分の理想の書き出し、②障害と対策の検討、③他の人への公言の3つのステップは全て行った方が良いみたいです。
さらに、目標の種類について分かったことは
- 目標の種類が学業と関係ないものであっても、学業の成績が向上していた
ということ。この実験では目標の種類を①学業、②キャリア、③人間関係、④肉体的健康、⑤精神的健康、⑥物の所有、⑦その他、に分類しているのですが、学業以外の目標でも学業の成績を向上させる効果があったということ。自分の好きな目標に向かって一生懸命に取り組むことが、学業のモチベーションへと波及してくれるみたいですね。
まとめ
本稿では「目標設定と学業成績」についてお話ししました。
ポイントをまとめると、
- ①自分の理想の書き出し、②障害と対策の検討、③他の人への公言の3つのステップで学業の成績が22%向上する
- 学業以外でも好きな目標を選べば、学業の成績は向上する
- 目標と障害に対する対策は、より深く考え込むほど、学業の成績効果も高くなる
ということですね。
今回の実験は学業成績に関するものでしたが、家庭での目標達成が、仕事のモチベーションを高めてくれるみたいに、学業以外の分野でも起こる可能性は十分にありそうですね。
目標を決める→頑張って達成する→次の目標を決める→・・
という目標達成のループは、自分の自信を高めていってくれます。なので自分の好きな分野から初めて、そこでついた自信を他の分野に波及させていくのもいいのかもしれませんね。
以上、本稿はここまで。
[参考文献]
*1 : Writing about personal goals and plans regardless of goal type boosts academic performance