痩せるための筋トレの負荷は高くするべきか低くするべきか?
筋トレの目的は人それぞれ違うため、目的に応じて筋トレのやり方も変えることが望ましいです。
例えば、
「ムキムキマッチョになりたい人」は筋肥大を重視したトレーニング方法
「最大重量を伸ばしたい人」は筋力を重視したトレーニング方法
といった感じですね。
それで本稿で注目するのは「痩せることが目的の人の筋トレ」で、
- 筋トレの重量の設定は高負荷の方が痩せやすいのか?低負荷の方が痩せやすいのか?
について、カンピナス大学の研究(*1)を参考に考えていきたいと思います。
筋トレの負荷とエネルギー消費
カンピナス大学の研究が注目したのは筋トレの消費エネルギーで
- 筋トレの重量が消費エネルギーのどのように影響するのか?
を調べてくれています。当然、重量が重い方が1回の動作の消費エネルギーは大きいのですが、重い重量になると回数が減ってしまうので、トータルで見るとどっちがいいのかわからないんですね。
それでこの研究では11名を集めて、
- 持ち上げられる最大重量の30%の重さで筋トレした場合
- 持ち上げられる最大重量の80%の重さで筋トレした場合
- 筋トレをしなかった場合
の3つのケースの消費エネルギーをそれぞれ測定しています。
ちなみに行った筋トレの種目は、下半身を鍛えるレッグプレスという種目で、限界回数×3セットを実施しています、
結果1:回数
まず最初に重さによって回数にどれだけの差が出たのかというと
- 30%の重量で筋トレした場合は、
1セット目:27〜45回、2セット目:20〜32回、3セット目:15〜27回 - 80%の重量で筋トレした場合は、
1セット目:6〜12回、2セット目:6〜10回、3セット目:5〜9回
ということ。30%の重量だとだいぶ軽いので回数はかなり多くなっていますね。
結果2:消費エネルギー
次に消費エネルギーはどちらが高かったのかというと
- 運動時の消費エネルギーは、30%の重量で筋トレした場合の方が高かった
ということ。下のグラフのように一番右の30%の重量の消費エネルギーが一番高くなっています。
しかし、この研究では運動後に回復にかかるエネルギーとしてEPOCも追加で考慮していて、その結果では
- 運動後の消費エネルギーは、80%の重量で筋トレをした場合の方が高かった
ということ。
そして、これらの2つをまとめると
- 運動時と運動後の消費エネルギーをトータルで見ると、30%の筋トレも80%の筋トレも同じくらいの消費エネルギーだった
という結論になっています。次のグラフの通り、2つの棒グラフが並んでいますね。
痩せるためにはどちらがいいのか?
結局2つの負荷でトータルの消費エネルギーが同じになってしまいましたが、それでも研究者は低い負荷の重量で回数を多くこなす筋トレの方が痩せるためにはいいといっています。
それがなぜなのかというと
- 軽い負荷で回数を多くこなす筋トレは、限界の回数に近づくにつれて筋肉に乳酸が溜まるので、この乳酸をリカバリするためにも追加でエネルギーを消費することができる
ということ。
また痩せるためには、筋肉量を増やして基礎代謝をあげることも有効です。筋肉量を増やすのに大切なのは筋トレのボリュームで、高重量はどちらかというと筋力を増やす(最大重量を伸ばす)のに必要なトレーニング方法です。なので、
- ゴリマッチョでなく痩せたかっこいい体が目的なら、高重量はあまり必要なくて、低〜中重量でボリュームを増やす方がいい感じに筋肉がつく
と思います。
まとめ
本稿では「痩せるための筋トレの重量設定」についてお話ししました。
ポイントをまとめると
- 痩せるための筋トレでは低〜中重量で回数を多くこなすタイプのトレーニングがオススメ
- なぜなら、ボリュームを増やした方が消費エネルギー面で痩せやすいし、筋肉もついて代謝も上がりやすいから
ということですね。
痩せて適度にいい体にしたいという人であれば、自重トレーニングなどの手軽にできる筋トレから始めてみるのもありだと思います。ただし消費エネルギー面で考えると筋トレよりも有酸素運動の方が効果は高いので、ガッツリ痩せたいなら有酸素運動も一緒にやりましょう。
[参考文献]