難しい仕事ほどこまめに休憩を取った方がパフォーマンスは上がるのか?
仕事のパフォーマンスを上げるには、適度に休憩を挟むことも大切です。長時間働き続けると心理的な疲労やストレスが蓄積して行ってしまうので、こまめに休憩して疲労感を回復させてあげることが望ましいわけですね。
そこで気になるのか「どんなふうに休憩を挟むのが効果的か?」です。1時間を一つのブロックにして50分仕事をしたら10分休憩するとか、25分の仕事と5分の休憩を繰り返すポモドーロテクニックとかがありますよね。
しかし、この問題は意外と難しい問題で、明確に「何分仕事して何分の休憩するのがベスト」とは言いにくい面もあります。なぜかというと、心理的な疲労感はその人のコンディションであったり、行う仕事の種類などによって、毎回変化してしまうからです。なので、どのような要因が休憩に影響するのかを知って、そのときの状況に応じて休憩タイミングを自分でカスタマイズできることのが望ましいわけですね。
それで、この問題の参考になるのがウィスコンシン大学の研究で、
- タスクの難易度によって、休憩のパフォーマンス回復効果に差は出るのか?
を調べてくれています。
タスクの難易度と休憩
この研究が調べた休憩は、6分間だけYouTubeのおもしろ動画を見るという小休憩の効果になります。この研究では実験によりその効果を確かめていて、参加者114名の学生が次の4つのグループに分けられています。
- 休憩なしで簡単なタスク
(30分簡単なタスクをぶっ続けで行う) - 休憩ありで簡単なタスク
(15分簡単なタスク、6分動画休憩、15分簡単なタスクを行う) - 休憩なしで難しいタスク
(30分難しいタスクをぶっ続けで行う) - 休憩ありで難しいタスク
(15分難しいタスク、6分動画休憩、15分難しいタスクを行う)
行ったタスクは英単語の文字の並びを変えて新しい英単語を作るアナグラム問題となっています。難しいタスクほど疲労感やストレスも大きいので、小休憩によるパフォーマンスの回復が大きいと予想ができるわけですね。
結果:
まずタスクの実行でどれだけストレスを感じていたのかを見てみると
- 休憩なしで難しいタスクのストレスは平均3.46
- 休憩ありで難しいタスクのストレスは平均3.37
- 休憩なしで簡単なタスクのストレスは平均2.66
- 休憩ありで簡単なタスクのストレスは平均2.92
ということで確かに難しいタスクの方がストレスを大きく感じていることがわかります。
そして、休憩中にどれだけタスクのことが頭から離れているのかの測定結果は
- 難しいタスクでも簡単なタスクでも、小休憩中に動画を見ているときにはタスクのことが頭から離れていた
ということ。休憩しているのにタスクのことが頭から離れなくて疲れが取れないということもなく、どちらの難易度でもしっかりと休憩を満喫できていたようですね。
そして最後に、小休憩による回復の効果を見てみると
- 簡単なタスクでは、休憩後のパフォーマンスは平均11%アップ
- 難しいタスクでは、休憩後のパフォーマンスは平均4%アップ
ということ。なんと予想とは逆で簡単なタスクの方が休憩によるパフォーマンスの向上効果が大きいという結果になっています。今回の研究ではその理由までは明確になっていませんが、難しいタスクの疲労を回復しきれなかったとか、休憩後に再び集中力を戻すのに時間がかかったとかがあり得そうですね。
まとめ
本稿では「タスクの難易度と小休憩の効果」についてお話ししました。
ポイントをまとめると
- 難易度が高いタスクほど心理的な疲労やストレスが大きい
- 難しいタスクの小休憩によるパフォーマンスの回復は意外と小さめで4%だけ
ということですね。
今回の研究を実践で活かすなら、「疲れの少ない午前中に難しい仕事に取り組んで、疲れが溜まってくる午後には小休憩で回復しながら簡単なタスクを次々とこなす」みたいなペース配分をすると良いのかもしれませんね。ちなみに、休憩中に何かを食べると休憩の効果が高まるという研究結果もあるみたいなので、ちょっとしたおやつ休憩なんかも効果的だと思います。
[参考文献]
*1 : The effects of taking a short break: task difficulty, need for recovery and task performance