メラトニンのサプリで睡眠はどれだけ改善されるのか?
メラトニンは脳の松果体という部位で生成されるホルモンで睡眠を促進する働きがあります。このメラトニン は夕方〜夜になるとだんだんと生成が始まって、それが全身に行き渡ることで体が睡眠モードに入ります。メラトニン は1日の中で朝〜日中に減って、夕方〜夜に生成して増えるというリズムを繰り返していて、これが人間の睡眠のリズムを作っているわけですね。
しかし、このメラトニン はブルーライトのような光の刺激で生成が抑制されてしまうことも分かっています。夜にスマホをいじると寝付けなくなってしまうなど、睡眠のリズムがガタガタになってしまっている人は、メラトニン の生成のリズムが乱れてしまっている可能性があるわけですね。
そして、メラトニン はサプリとして摂取することで、睡眠を改善してくれることがわかっています。寝る前にメラトニンサプリを飲むことで、不足していたメラトニン を補って体を睡眠モードにするわけです。
そこで本稿では、
- メラトニン のサプリは実際にどのくらい睡眠を改善してくれるのか?
を調べてくれたサン・パウロ大学らの研究を見ていきたいと思います。
メラトニン の効果とは?
この研究では、メラトニン の効果として
- 寝付くまでにかかる時間がどれだけ短くなるのか?
- トータルの睡眠時間はどれだけ長くなるのか?
- 睡眠の質はどれだけ改善するのか?
の3点を調べてくれています。
どのように調べたのかというと、メラトニン の効果を調べた先行研究19件(総計1,683人)のデータをメタ分析という手法でまとめてくれています。
結果①:寝付くまでの時間
最初にメラトニン で寝付くまでの時間がどれだけ変化したのかというと、
- メラトニン の摂取で寝付くまでの時間は平均で約7分早くなった
- 長期間にわたってメラトニン の摂取を続けると寝つきはより早くなっていた
- メラトニン の摂取量が多いほど寝つきも早くなった
という結果が得られています。
ゲームしてブルーライトの刺激を受けると、その後ベットに入ってもなかなか寝付けないことがありますが、メラトニン を摂取すれば少し寝つきを早めることができるということですね。
メラトニン の摂取量は研究のよって0.1mg〜5mgと幅があり、摂取量が多い研究ほど寝つきが良くなる効果も高かったということです。なので、試すのであれば少量から始めて、効果がなければ〜5mgまで摂取量を増やしてみるといいと思います。
結果②:トータル睡眠時間
続いて、トータルの睡眠時間としては
- メラトニン の摂取でトータルの睡眠時間は平均で約8分長くなった
- 長期間にわたってメラトニン の摂取すると睡眠時間も長くなった
- メラトニン の摂取量が多いほど睡眠時間も増えた
ということ。
寝つきが良くなる効果と同じで、使用期間と摂取量に比例して睡眠時間も増える効果が確認されていますね。まあ、寝つきが早くなっているので、その分だけ睡眠時間が増えるのは当たり前かもしれませんね。
結果③:睡眠の質
最後に睡眠の質については、
- メラトニン の摂取で、睡眠の質が少し改善された(効果量0.22)
- 睡眠の質の改善は、期間によらず一定の効果があった
- 睡眠の質の改善は、摂取量によらず一定の効果があった
ということ。
メラトニン の摂取により、夜中に起きてしまう時間が減ったりして睡眠の質(睡眠の効率)が少し改善されるという結果が得られています。この効果は先の2つの効果と違って、少量や短期間でも一定の効果が得られるということ。なので、睡眠の質の改善が目的なら、メラトニン は常用しなくても睡眠のリズムが乱れてきた時だけ飲むというのもありかもしれませんね。
まとめ
本稿では「メラトニン の睡眠改善効果」についてお話ししました。
ポイントをまとめると
- メラトニン で寝つきが約7分早くなる
- メラトニン で睡眠時間が約8分長くなる
- メラトニン で睡眠の質が少し改善する
ということですね。
全体的にみるとメラトニン は確かに睡眠を改善してくれるけど、その効果は7,8分程度で割と弱いような印象ですね(もちろん個人差があるので効果が高い人もいるかもしれません)。メラトニン は依存性や副作用がないということが分かっているので、使いやすいサプリではあります。しかし、その効果も弱めなので、やっぱり生活習慣を整えてきちんと睡眠時間を確保することが基本で、サプリは補助的に使ってあげるのが良さそうですね。
[参考文献]
*1 : Meta-Analysis: Melatonin for the Treatment of Primary Sleep Disorders