寝る前に聴く音楽、起きるときに鳴らす音楽はどんな曲がいいのか?
リラックスして寝つきを良くするための方法の一つとして、寝る前に音楽を聴くことが良いと言われています。
しかし、寝る前の音楽が本当に効果があるのかは聴く音楽次第なところもあって、うまくリラックスできる曲ならぐっすりと眠れるかもしれませんが、ノリノリの曲だと逆に脳が覚醒して寝つきを邪魔してしまうかもしれません。
また、音楽は起きるときにも使える可能性があって、目覚まし時計をアラーム音にしている人が多いと思いますが、これを音楽に変えれば寝起きも早くなるかもしれません。
そこで、韓国の研究が
- 寝る前に聴く音楽と寝起きに聴く音楽はどんな曲がいいのか?
を調べてくれていました。本稿ではこの研究を参考に、睡眠の質を向上してくれる音楽について見ていきましょう。
音楽のテンポと睡眠
この研究では、音楽のテンポとモードに注目して睡眠への効果の違いを測定しています。音楽のテンポが速い曲はスピード感のある曲で、テンポが遅い曲はゆったりとした曲になります。なので、寝つきにはテンポの遅い曲の方が有効だと考えられるわけですね。音楽のモードは、曲調が明るいか暗いかを表す指標になり、この研究では曲調も睡眠に影響を与えるのかを調べてくれています。
そして、この研究では一般的に人気のあるポップミュージックを対象にしていて、100曲のポップミュージックを音楽のテンポとモードの組み合わせで10個のグループに分けて、それぞれの睡眠への効果を測定しています。
睡眠への効果として測定したのは
- 寝つくまでにかかる時間
- 起床するまでにかかる時間
の2つをそれぞれ測定しています。
結果1:寝付くまでの時間
各音楽のグループ分けが次のグラフで、それぞれグループの寝つきの早さはその下の表の結果となっています。
グループ | 寝つきの早さ[分] |
音楽無し | 4.98 |
自然音 | 4.90 |
1-1 | 6.81 |
1-2 | 5.62 |
1-3 | 4.93 |
2-1 | 7.46 |
2-2 | 7.15 |
2-3 | 6.35 |
2-4 | 3.53 |
3-0 | 3.45 |
4-1 | 5.66 |
4-2 | 4.69 |
この結果から分かるのは
- 寝つきの早さには曲のテンポとモードの両方が影響していて、テンポとモードの組み合わせによって、寝つきが良くなったり悪くなったりする
- 最も寝つきが早くなった音楽の特徴は「テンポが遅くて曲調が暗い曲」
ということです。
やはり、ゆったりとしたリラックスできる曲が寝る前にはいいみたいですね。今回の結果を見てみると、音楽を聴くことで寝つきが遅くなってしまっている結果も意外と多いようです。なので、寝る前に音楽を聴くのであれば、テンポと曲調を間違えないように注意しましょう。
結果2:起床の速さ
同様に目覚まし時計のアラーム音を音楽にしたときに、起床までにかかる時間の結果を見てみましょう。
グループ | 起床までの時間 [分] |
アラーム | 20.64 |
0-0 | 13.71 |
1-1 | 17.71 |
1-2 | 16.33 |
2-1 | 16.75 |
2-2 | 15.11 |
2-3 | 20.44 |
3-0 | 44.14 |
4-1 | 18.80 |
4-2 | 10.64 |
4-3 | 19.00 |
この結果から分かるのは
- アラーム音をポップミュージックにすると、大体どの曲でも起床までの時間を短くすることができる
- 例外はテンポが遅くて曲調が暗い曲で、この場合は逆に起床が遅くなってしまう
- テンポが速い曲を選択すると、起床時間が改善しやすい傾向がある
ということです。
起床時に効くと良い音楽はテンポの速い曲ということで、夜の睡眠時に有効だったテンポが遅くて暗い曲が、起床時には逆効果になってしまっているのが面白いところです。テンポが遅くて暗い曲は睡眠を促すので朝の起床時には向いていないといことでしょう。
まとめ
本稿では「音楽のテンポ/モードと睡眠」についてお話ししました。
ポイントをまとめると
- 夜に寝つきを良くしたいなら、テンポが遅くて暗い曲調の音楽を聴くと良い
- 朝に起床を早くしたいなら、アラームのかわりにテンポの速い音楽を流すと良い
ということですね。
夜の睡眠時にテンポの速い曲を聞くと逆に寝つきが遅くなってしまいますし、起床時にテンポが遅くて暗い曲を聞くと起床時間が遅くなってしまうので、その点には注意して適切な音楽を選びましょう。
以上、本稿はここまで。
[参考文献]