睡眠不足で食事は何キロカロリー増えてしまうのか?
睡眠不足になると食生活が乱れて太りやすくなってしまいます。
これには諸説あるようですが、睡眠不足は体内のホルモンのバランスを崩してしまって、食欲を促進させるグレリンというホルモンが増え、食欲を抑えるレプチンというホルモンが減少してしまうことが原因の一つとして考えられています。
本稿ではこの睡眠不足の肥満効果について
- 睡眠不足になるとカロリーの数値的にはどれだけ太りやすくなってしまうのか?
を実験で算出してくれた研究を見ていきましょう。
睡眠不足はダブルでやばい?
この研究では睡眠不足によって太りやすくなってしまう次の2つの経路があると考えています。
- 摂取カロリーが増えてしまう経路
睡眠不足になるとホルモンのバランスが崩れて、食欲の抑制が効かなくなったり、脂質や糖質を欲しがるようになってしまう。それにより1日の摂取カロリーが増えて太りやすくなってしまう。 - 消費カロリーが減ってしまう経路
睡眠不足になると積極的に活動しようという気力がなくなるので、体の運動量が減ってしまう。それに伴い1日の消費カロリーが減ってしまうため太りやすくなってしまう。
なので、睡眠不足は摂取カロリーは増やす上に、消費カロリーを減らしてしまうという、ダブルでやばい効果があると考えたわけですね。
そして、この研究では
- この2つの効果が本当にあるのか?
- 本当ならその効果は何kcalに相当するのか?
を実証するために実験を行って確かめてくれています。
睡眠不足でどれだけ太るのか?
どのように実験をしたのかというと、まず17名の参加者を集めて、
- 睡眠不足グループ
普段の睡眠時間の2/3の時間に睡眠時間を制限するグループ
(普段が6時間睡眠なら、4時間睡眠に制限される) - コントロールグループ
自分の好きなように睡眠をとって良いグループ
の2つのグループを作っています。そして、実験の方法としては
- 参加者は実験施設に寝泊りしてもらって、食事や睡眠時間、体の運動量 (加速度)がモニターされている
- 実験期間は14日間で、3日間の準備期間、8日間の実験期間、3日間の回復期間となっている
- 朝の起床時間が6時に設定されていて、夜の寝る時間は各個人の睡眠制限に合わせた時間で寝てもらっている
- 食事は自分の好きなものを好きなだけ食べてOKで、各個人の好みに合わせたお菓子も毎日棚に補充される
といった感じです。
結果1:睡眠不足と摂取カロリー
結果として、まず最初に睡眠時間にどれだけの差が出たのかというと
- コントロールグループの睡眠時間は平均で6時間57分
- 睡眠制限グループの睡眠時間は平均で5時間12分
となっています。5時間睡眠を8日間続けるとなると、結構しんどそうですね。
そして、食事・間食の摂取カロリーにどれだけの差が出たのかというと
- 睡眠不足グループでは、睡眠を制限する前後で摂取カロリーが+559kcalだけ増えた
- コントロールグループでは、準備期間と実験期間の前後で摂取カロリーは−118kcalで誤差の範囲内だった
なんと、睡眠不足になるだけで1日の食事が500kcal以上の増えてしまうという驚きの結果になっています。確かに、ポテトチップスは一袋で500kcalぐらいしてしまうので、それを考えると睡眠不足でこれだけカロリーが増えてしまうのも十分あり得るのかもしれませんね。
ここで、朗報も一つあって
- 睡眠不足のグループの摂取カロリーは、回復期間ですぐに元に戻った
ということ。なので、睡眠不足で摂取カロリーが増えてしまうのは、睡眠不足になってしまった日の短期的な効果で、睡眠を戻せば食生活もすぐに戻せるということなんですね。
結果2:睡眠不足と活動量
続いて、睡眠不足と体の活動量の結果を見てみると
- 睡眠制限をしても体の活動量(体の1日の加速度の変化量)は変わらなかった
ということ。
なので、睡眠不足は体の消費カロリーを減らしてしまう効果までは今回の研究では確認されなかったようです。ただし、睡眠不足になると自制心が弱くなってしまうこともあります。そうすると普段運動している人は、睡眠不足のときに運動をさぼりやすくなってしまうことはあり得るので注意です。
まとめ
本稿では、「睡眠不足と摂取カロリー」についてお話ししました。
ポイントをまとめると
- 睡眠不足になると食生活が乱れて、普段の食事よりも+550kcalも多く食べてしまう
- ただし、睡眠を戻せば、食生活の乱れもすぐに正常に戻る
- 睡眠不足は体の運動量を減らす効果は今回の研究では確認されなかった
ということですね。
ジャンクフードなどの質の悪い食事になってしまったり、夜遅くに食べてしまったりすると睡眠の質も低下してしまうので、睡眠不足と食生活の乱れは負のループでどんどん悪化してしまうことも考えられます。そんなときは睡眠不足を解消できれば食生活の乱れは正常化するということなので、まずは睡眠を整えることから始めると良いでしょう。
以上、本稿はここまで。
[参考文献]
*1 : Effects of experimental sleep restriction on caloric intake and activity energy expenditure