運動で酸化ストレスは軽減されるのか?を調べた研究
運動不足や不健康な食生活などの生活の乱れが引き越してしまう症状の一つとして酸化ストレスというものがあります。酸化ストレスとは体内で発生した活性酸素という有害な物質が細胞などにダメージを与えてしまっている状態で、慢性炎症や老化などの様々な症状に関係していると言われています。
そして、酸化ストレスは活性酸素の量と、それに対抗する抗酸化作用のバランスで決まるので、酸化ストレスを減らして若々しく健康でいるためには、体の抗酸化力を高めることが大切です。
抗酸化力を高めるにはビタミンCなどの抗酸化物質を摂取する方法などもありますが、スポーツ医学の研究(*1)では
- 運動には酸化ストレスを減らす効果があるのか?
について調べてくれていました。本稿ではこの研究を参考に、酸化ストレスに対抗するにはどんな運動が効果的なのか?を学んでいきましょう。
運動と酸化ストレス
運動自体は体に負荷をかけるもので、運動中には活性酸素が増えて酸化ストレスは高まってしまうものです。特に、長時間の運動や負荷の高い運動では酸化ストレスが大きくかかることも分かっています。
それでは運動が健康に悪いのかというと、そんなことは全然なくて、運動が様々な病気のリスクを軽減してくれることは明らかです。これがなぜなのかと考えると、運動で酸化ストレスと適度にかけてあげると、体が酸化ストレスに適応して、抗酸化力が高まることが想定されます。
そこで、スポーツ医学の研究(*1)では、運動を酸化ストレスの関係について調べた研究30件(総対象者数1573人)をメタ分析でまとめて、運動が酸化ストレスの軽減に効果があるのかを調べています。また、運動にも有酸素運動や筋トレなどの種類があるので、運動の種類の違いが酸化ストレスにどのように関係しているのかも調べてくれています。
結果:運動で酸化ストレスは減るのか?
メタ分析に含まれた研究でどのような結果が得られいたのかをざっくりとみると、
- 有酸素運動を実践した多くの研究では、酸化ストレスの改善が見られた
- 筋トレは研究の数が少なかったが、酸化ストレスが軽減されたのが3件、統計的に優位な効果が見られなかったのか3件で、やや有効という感じ
- ヨガや太極拳などの低負荷の運動では、3件中3件が酸化ストレスの改善効果がありとなっていた。
- 若い人ほど元から健康的なため、改善効果は低めだった
という感じになっています。
そして、30件の研究をまとめた結論としては、
- 種類や強度、ボリュームによらず、運動をすることで、酸化ストレスは軽減される
(体内で酸化を促進する物質が減るし、抗酸化力が高まる効果もある)
となっています。
健康でいるためや老化を防ぐためにはやはり運動は大切ということですね。種類はなんでもいいというなので、自分が続けやすい運動を選ぶと良いでしょう。
運動もやりすぎには注意
冒頭でも述べましたが、運動自体は体に負荷をかけて酸化ストレスをかけてしまうものです。この運動時の酸化ストレスが良いものなのか、悪いものなのかを調べた論文(*2)によると、
- 運動もやりすぎると過度に酸化ストレスがかかって逆効果になってしまう
ということ。
なので、特に酸化ストレスの高い長時間の運動と高負荷の運動をやる場合には、やりすぎに注意しましょう。オーバートレーニングになると、
- 体の疲れが抜けない
- 睡眠が浅くなって夜中に目が覚めてしまう
- 食欲がわかない
- イライラする
などの症状が出てきます。これらの症状を感じたら運動しすぎのシグナルかもしれません。そんなときは運動を減らすなどして様子をみましょう。
まとめ
本稿では「運動で酸化ストレスは減るのか?」についてお話ししました。
ポイントをまとめると
- どんな種類の運動でも、運動は酸化ストレスは軽減してくれる
- ただし、運動自体が酸化ストレスにもなるので、やりすぎには注意しよう!
ということです。
若々しく健康でいるためにも適度な運動を実践していきたいですね。
以上、本稿はここまで。
[参考文献]
*1 : The Antioxidant Effect of Exercise: A Systematic Review and Meta-Analysis