楽しさのシェアが、本当に楽しさを高める条件とは?
「他人と分け合えば楽しさは倍になり、悲しさは半分になる」
と言うように、楽しい経験は自分一人でなく、友達や同僚とシェアすること大切です。
しかし考えてみると、友達と分け合うことが常に楽しさを向上してくれる訳ではありません。例えば、自分は楽しいと感じた映画でも、一緒に見た友達につまらなかったと言われてしまうと、自分の楽しさがいくらか削ぎ取られてしまいますよね。
- それでは、楽しさのシェアが本当に楽しさを向上してくれるのはどんなときなのか?
これを心理学的に実験してくれたのが、テキサス大学らの研究(*1)です。本稿ではこの研究を参考に、効果的な楽しさのシェアの仕方について学んでいきましょう。
楽しさのシェアと意見の同調
まず楽しさをシェアで大切な1つのポイントを見ていきましょう。このポイントを知るには自分と友達のリアクションの違いを考えます。
- 自分が楽しい、友人も楽しい
⇨楽しさが相乗効果で向上! - 自分は楽しい、友人はつまらない
⇨自分の楽しさが低下してしまう
これから分かるのは、一緒に楽しめる友達が大切という結論。これはまあ当たり前ですね。
ここでもう少し深掘りして、自分がつまらなかった場合を考えてみると新しい発見があります。
- 自分はつまらない、友人は楽しい
⇨つまらなかったし、友人とも意見が合わなくて辛い - 自分はつまらない、友人もつまらない
⇨つまらなかったけど、意見が一致して楽しさは増すかも!
つまらない映画を見ても、友達もつまらないで意見が合えば、その映画のダメ出しで盛り上がったりできますよね。つまり、大切なのは、一緒に楽しんでくれる友人というよりも、自分と意見が合う友人なのでは?と考えられるわけですね。
意見の一致が大切な2つの理由
テキサス大学の研究の意見は、シェアで楽しさを向上させるには意見の一致が大切ということですが、これに2つの理由を持ち出しています。
- ①人は所属感を感じたいもの
人は大昔から一人では生きれない生物で、友達やサークル、会社組織などのなんらかしらのグループに所属したいという根源的な欲求を持っています。そのため、意見が一致して友達と距離感が近くなることは、この所属感を通して楽しさを向上してくれると考えられます。
- ②人は自分の意見を確かなものにしたい
人は自分の考えと一致する意見を探し、反対の意見は嫌う傾向があります。自分が楽しかった映画を、友人につまらなかったと言われると、自分の判断はおかしいのかな?という不安が生まれてしまうもの。友達と意見が一致すれば自分の意見が正しかったと確信が強まるので、この嬉しさを通じて楽しさは向上すると考えられます。
実験:意見の一致が楽しさを向上するのか?
続いて、テキサス大学が行った実験を見てみましょう。
この実験では相方と2人で楽しいテレビCMとつまらないテレビ CMを見てもらいます。実は、この相方が仕掛け人で、次の3タイプのいずれかが割り当てられています。
- 意見が合う相方
楽しいCMを楽しいと言い、つまらないCMをつまらないと言う - 意見が合わない相方
楽しいCMをつまらないと言い、つまらないCMを楽しいと言う - 中立の相方
楽しいとかつまらないとかを言わない
相方とテレビを見ながら2人で楽しいとかつまらないとか意見を話すわけですね。
さらに所属感が高い状況と低い状況を作るために
- 所属感の高い相方
実験参加者と同じ大学のロゴが入ったT-シャツを着ていて、水筒にも大学のロゴがある - 所属感の低い相方
同じ大学のロゴはない
と相方の服装も2種類が用意されています。
結果:意見の一致と所属感が楽しさに与える影響
まず楽しさが高かった順番を見てみると
- 意見が合う相方だった場合(M=5.70)
- 意見がない相方だった場合(M=4.72)
- 意見が合わない相方だった場合(M=3.44)
と、CMが面白くてもつまらなくても、意見が一致すれば楽しさは向上するという結果になっています。
さらに所属感の影響を見てみると
- 所属感が高い相方の場合は、意見の合う合わないが楽しさに大きく影響した
- 所属感が低い相方の場合は、意見の合う合わないはあまり楽しさに影響しなかった
つまり、より距離が近くて親しい人ほど、意見が合えば楽しさもグッと向上しますし、逆に意見が合わなかったときの低下も大きくなってしまうということですね。
実験2:自分の意見の確信感が与える影響とは?
2つ目の実験では、自分の意見の確信感が楽しさにどう影響するのかを確かめています。この実験は、美味しいオレンジジュースとまずいオレンジジュースを飲んで、味を評価するもの。ポイントはやはり意見の一致で
- オレンジジュースの専門家の意見と比較された場合
- オレンジジュースに詳しくない人の意見と比較され場合
の2種類のパターンが用意されています。専門家と意見が合わなかったら、自分の判断は間違っていたという不安がより大きくなってしまうという仕組みですね。
サクッと実験結果を見てみると、
- 専門家の場合は、意見の合う合わないが楽しさ大きく影響した
- 専門家でない場合は、意見の合う合わないはあまり楽しさに影響しなかった
ということ。所属感と同様に、自分の意見の確信感も、意見の合う合わないによる楽しさの増減を強化するということですね。
まとめ
本稿では「楽しさのシェアが楽しさを高めるとき」についてお話しました。
ポイントをまとめると
- シェアで楽しさを高めるには、楽しい方向でもつまらない方向でも、意見が一致することが大切
この効果がより高くなるのは、「より親しい人と気が合ったとき」と「より詳しい人と意見が一致したとき」とシェアを行ったとき
になります。
みんなで楽しさを増し増しにするには、意見を否定せずに共感してあげることや、同じ価値観の友人を見つけることが大切だということでしょう。
以上、本稿はここまで。
[参考文献]