ワークライフバランスを改善する良いリモートワークの条件とは?
最近ではコロナの影響でリモートワークを推進する企業も多いと思います。私の同僚も会社に出社せずに、自宅から仕事をしている人が増えていて、時代の変化を感じます。
そして、リモートワークが増えてくるにつれて、リモートワークの良い面と悪い面が指摘されるようになってきました。
良い点としては
- 出勤時間が無くなるので時間が増える
- 仕事と家族との両立が楽になる
- 無駄な打ち合わせが減って生産性が上がる
悪い点としては
- コミュニケーションが減ってチームワークが低下する
- 孤独感が増して仕事の楽しさが減ってしまう
- 仕事と私生活の区別が曖昧になる
といった感じ。そこで本稿では、
- リモートワークのやり方によって、良い効果・悪い効果がどんなふうに変わるのか?
を調べてくれたサイモン・フレイザー大学らの研究(*1)を見ていきましょう。
リモートワークのメリット・デメリット
この研究では316人を対象に、リモートワークの形式と仕事-家族間の幸福感や仕事のパフォーマンスの関係を調べています。リモートワークの形式としては
- どれだけ仕事の場所や時間を自分で自由に変えられるのか?
- 実際にどれだけの割合の仕事をリモートワークでこなしているのか?
- 仕事のスケジュールはどれだけ細かく変動しているか?
(今日は10時開始で、明日は8時開始みたいに細かく変動するか?) - 仕事の場所は頻繁に変わるのか?
(オフィス、自宅、コワーキングスペースなど仕事の場所が複数あるか?) - 自宅で仕事をするときに、仕事と私生活を明確に分けているか?、細かく切り替えて両立しているか?
みたいなポイントが調べられています。
良いリモートワークの条件とは?
この研究で分かったことは、
- リモートワークは場所や時間などの自由度が高いほど、仕事-家族の問題が減って、さらには仕事を辞める意思も低下した。
- リモートワークの時間が増えることで、チームワークが低下して仕事のパフォーマンスが落ちることは、この研究では見受けられなかった
- 仕事のスケジュールや場所が細かく変わってしまうと、家族に関する問題が増えてしまう相関があった。なので、仕事の場所や始業時間などは、最初に決めたやり方である程度固定した方が良いかもしれない。(回帰分析の結果では統計的に有意でないのでそこまで気にする必要はないかも)
- 仕事のトータルの時間が長くなると家庭の問題が増えてしまった。なので、リモートワークで仕事がズルズルと長くなってしまわないように注意が必要。
- 仕事と家庭のことを細かく切り替えて両立させようとすると、仕事側での問題が増えてしまった。なので仕事と家庭のことはキッパリと区別した方が良い。
ということ。
基本的にはリモートワークは良いものなのですが、特に気をつけなければいけないのは、「仕事と生活の区切りを明確にすること」だと言えるのではないでしょうか。
・仕事の時間や場所が細かく変化して振り回されると、家庭の問題が増える。
・仕事と私生活の境界が曖昧になると、仕事が長引いて家庭に問題が増える。
・逆に家庭のことが仕事中に入り込むと、仕事の問題が増える
なので、仕事の時間や場所を明確に決めて、仕事と生活のメリハリをつけるようにしましょう。生活の時間に仕事の連絡が来ないように同僚の理解を得たり、仕事の時間を邪魔されないように家族の理解を得ることも大切かもしれませんね。
まとめ
本稿では「良いリモートワークの特徴とその効果」についてお話ししました。
ポイントをまとめると
- リモートワークで働き方の自由度が上がると、仕事と家庭のバランスを向上し、さらには仕事を辞める意思を低下する
- しかし、仕事と家庭の境界が曖昧になってしまうと、仕事が長引いたり、仕事に集中できなかったりと、両方で問題が生じてしまう
- なので、リモートワークを活用するときには、仕事の時間や場所を明確に決めるなどして、仕事と家庭のメリハリをつけよう
ということ。
私の場合は家で集中できないときは、近所にあるコワーキングスペースを活用しています。人の行動は環境とも結びついていますので、仕事には仕事の場所を明確に作ってあげると良いでしょう。
以上、本稿はここまで。
[参考文献]
*1 : “Good Teleworking”: Under What Conditions Does Teleworking Enhance Employees’ Well-being?