ガムを噛むと頭の回転が速くなるは本当なのか?
ガムを噛むと頭の回転が速くなると言います。ガムを噛んで顎を使うと、脳への刺激や血流量が増して脳機能が向上するという理屈だそうです。これが本当で、ガムを噛むだけで勉強や仕事が捗るのなら嬉しい限りですよね。
そこで本稿では、
- ガムを噛むことで脳の機能が向上するのかを、さまざまな認知テストで試したカーディフ大学の研究(*1)
を見ていきましょう。
実験:ガムと認知タスクの成績
カーディフ大学の研究では、133人を対象に、ガムを噛んだ時と何も噛まない時で、脳を使う認知タスクの成績に差が出るのかを実験しています。
どのようなタスクを行ったのかというと、
- 短期の記憶タスク
- 時間をおいた記憶タスク
- 記憶した単語の識別タスク
- 論理的推論タスク
- 空間記憶タスク
- 情報の正誤判断タスク
- 反応速度タスク
- 注意力の維持タスク
- カテゴリー探索タスク
- 警戒タスク
と、記憶力から推論まで様々な脳機能に対するガムの効果を測定しています。
さらに、深堀して調べていることもあって
- ガムの種類は関係あるのか?(ミント系とフルーツ系)
- ガムを習慣的に噛んで慣れている人は効果が薄れないか?
- ノイズのある環境と静かな環境でガムの効果に差は出るか?
- ガムを噛むことは気分にはどのように影響するのか?
ということまで調べてくれています。
ガムで脳機能が向上するは本当
早速実験結果を見てみると、ガムを噛むことで脳機能が向上することが確かに確認されていて、
- 新しい情報を見たときの情報処理速度が向上した。
(新しくない情報とは、同じ情報を繰り返して見る場合など) - 現れた信号を素早く識別するタイプの反応速度が向上した。
(Aが出たら右ボタン、Bが出たら左ボタンみたいな素早い判断) - 注意力を長く維持する能力が向上した
- 覚えた単語をすぐに思い出す短期記憶力は向上した
という感じ。ガムを噛むと注意力が向上して情報に素早く対応できるようになるという良い結果が得られています。
一方で、ガムを噛むだけでは向上しなかったもの、そしてガムを噛むことで逆効果となってしまった脳機能もあって、
- 単純な反応速度は向上しなかった
(信号が見えたらすぐボタン押すなど) - 覚えた単語を時間を置いて思い出す長期記憶力は向上しなかった
- 空間記憶能力は向上しなかった
- 文の正誤を素早く判断する能力は低下してしまった
(「カナリアには翼がある」は正しいか?とか問題の判断スピードが低下) - 言語的な推論能力は遅くなってしまった
ということ。言語系の処理能力は若干低下してしまうこともあるみたいですね。
ガムの種類とか習慣とか
続いて、深掘りの調査内容を見てみると
- ガムの種類はミント系でもフルーツ系でも、同じように効果があった
- ガムを普段から習慣的に噛んでいる人でも、同じように効果があった
- ノイズの多い環境でも、静かな環境でも、同じように効果があった
- ガムを噛んだ人は、気分的には覚醒度が増していた。(眠気などが低下した)
ということ。
ガムを噛むことで眠気が覚めるなどして脳が覚醒することが大切なポイントみたいで、ガムの種類や普段の習慣などは関係がないみたいですね。
まとめ
本稿では「ガムを噛むことは本当に頭の回転を速くするのか?」についてお話ししました。
ポイントをまとめると、
- ガムを噛むと、注意力が増して、情報を素早く処理する能力が向上する
- ただし、言語関係の処理能力など一部の脳機能の速度は低下してしまうこともある
- ガムは気分を覚醒させる効果があり、ガムの種類や習慣に依らずに効果が得られる
ということ。
ガムを噛むことは脳機能を高めてくれるということです。眠気を感じていたり、集中できなかったりするときには、ガムを噛んで頭を働かせると良さそうですね。
以上、本稿はここまで。
[参考文献]