筋トレのセット間の休憩は、長い方が良い説

筋トレのセット間の休憩時間(インターバル)は、1分以下の短い時間にして筋肉を追い込むこともできれば、2〜3分の休憩をとって筋肉をしっかり回復させてから次のセットを行うこともできます。
一般的にオススメされているのは
- 筋力向上を目的にして高重量を扱う場合には、インターバルは長め
- 筋肥大を目的にして中重量を扱う場合には、インターバルは短め
といったところでしょう。
それに対してビクトリア大学の研究(*1)では、
- 筋肥大を目的の場合でも、インターバルは長い方が良い
という結果になっていましたので、本稿はその中身を見ていきましょう。
筋肉の成長に必要な3つの要素
この研究では、筋肉が成長するのに必要な3つの要素とインターバルの関係を小規模のメタ分析でまとめてくれています。
筋肉の成長に必要な3つの要素とは、次の3つのことです。
- 筋肉のテンション
筋トレをして筋肉に重量をかけると、筋繊維には伸ばしたり縮めたりするための張力(テンション)が働きます。この筋繊維にテンションがかかることが、筋肉が成長するために必要な第一の要因になります。 - 代謝ストレス
筋肉が力を発揮するのにはエネルギーが必要で、筋トレ中には筋肉にエネルギーを供給するための代謝メカニズムが働いています。糖質などの栄養を燃やしてエネルギーを作っているようなイメージですね。筋肉に乳酸が溜まったりするのも、この代謝のメカニズムの中で発生するものだったりします。筋肉を限界まで追い込むことで、筋肉のエネルギーをカツカツの状態に追い込むことが筋肉の成長につながります。 - 筋肉のダメージ
最後に必要なのは、筋トレによって筋繊維がダメージを受けることです。いくら筋トレをしても、軽すぎる重量でダメージが少なければ、筋肉はあまり成長しません。なので、高重量を扱ったり、ボリュームで増やしたりして、しっかりと筋肉にダメージを入れることが大切です。
ビクトリア大学の研究ではインターバルがこれらの3つの筋肉の成長要員とどのように関係するのかを調べてくれています。
インターバルで筋トレ効果はどう変わるか?
早速結果を見ると、次のグラフのようになっています。

簡単にまとめると、
- インターバルが短いトレーニングでは、「代謝メカニズム」を強く追い込めるけど、休憩が短いだけに重量や回数が減って「筋繊維のテンション」と「筋繊維のダメージ」は低下してしまう
- 一方でインターバルがトレーニングでは。「代謝メカニズム」の追い込みが弱くなってしまうが、各セットの重量や回数を増やせて、「筋繊維のテンション」と「筋繊維のダメージ」を向上できる。
ということ。
それで、短いインターバルと長いインターバルのどちらの方が良いのかといえば、
- 高重量を扱う場合には、筋力を発揮させるために長いインターバルでしっかり休憩することがオススメ
- 中重量で筋肥大を狙う場合でも、各セットの回数を増やして総ボリュームを向上できる長いインターバルがオススメ
ということになります。
筋肥大の最大ポイントは「ボリューム」
筋肥大において最も大切なポイントは「筋トレのボリューム」です。
筋肉を限界まで追い込むことよりも、できるだけボリュームを増やすことを考えなければいけません。実は他の研究でも限界まで追い込まない方がトレーニング効果が高いという結果も得られていたりするんですね。
なので、1セットで追い込みすぎて次のセットで回数が低下しないようにしたり、セット間の休憩が短すぎて回数が低下したりしないようにしたりと、うまくトレーニングの負荷と休憩のバランスをとってボリュームが最大化するように意識してみると良いでしょう。
ちなみに、短いインターバルのトレーニングも代謝ストレスを追い込むのには必要なので、
- 重量/ボリューム狙いでメインの種目を長いインターバルでしっかりと行う
- その後に、単関節種目などの負荷の少ないサブ種目を短いインターバルで追い込む
という活用の仕方をすれば、うまく筋肉の成長に必要な3つの要素を刺激できるということです。
まとめ
本稿では「筋トレのインターバルの長さ」についてお話ししました。
ポイントをまとめると
- 重量を扱うにしても、ボリュームを増やすにしても、インターバルは長めにとったほうがトレーニング効果が高い
- メインの種目を長めのインターバルでしっかりと行った後に、単関節種目などの負荷の少ないサブ種目を短いインターバルで行うと効果的
ということです。
インターバルを増やすことのデメリットとしては、筋トレにかかる時間が増えてしまうこともあります。筋肥大を最大化するには、自分のトレーニング時間内にどれだけのボリュームを向上できるかを考えてメニューを組んでいきましょう。
以上、本稿はここまで。
[参考文献]