科学的に効果があるストレス軽減方法10選(後編)
本稿では、科学的に効果のあるストレス低減方法を紹介していきます。
前編ではストレス低減方法のはじめの5つ、
- 漸進的筋弛緩法
- 自律訓練法
- リラックス反応
- バイオフィードバック
- 誘導イメージ療法
を紹介しました。後編では残りの5つ、
- 腹式呼吸
- 超越瞑想
- 認知行動療法
- マインドフルネス
- 感情解放テクニック
を紹介していきたいと思います。
ストレス対処法
6. 腹式呼吸
深呼吸してリラックスはよく聞く方法ですが、腹式呼吸が実際にリラックス効果があることは研究でも確認されています。やり方は簡単で、胸ではなくお腹に空気を入れるイメージで、しっかりと吸って、しっかりと吐き切るような深い呼吸を行います。今回紹介する中でも一番手軽なストレス対処法で、2〜3分ゆっくりと呼吸をするだけでリラックス効果が得られます。
研究で確認されている効果としては、
- 副交感神経やシータ波を上昇させて体をリラックス状態にする
- 不安の低減
- 喘息の軽減
- ストレスの低減
- ストレスのかかるタスクでの血行状態の改善
などが確認されています。
7. 超越瞑想
超越瞑想は以前の記事でもとりあげました。超越瞑想は、目をつぶってマントラの言葉をひたすら繰り返して唱えるタイプの瞑想です。マントラの言葉は「キリム」とか「ホム」とか、いくつか種類があるのですが、特に意味は無いので2~4文字の好きな言葉で問題ありません。ただ無心になって「キーリームーー、キーリームーー」と繰り返し唱えることに集中することが1番のポイントです。時間としては20分程度がお勧めされています。
超越瞑想の効果としては、
- ストレスの軽減
- 痛みの軽減
- 不安やうつの軽減
- 血圧の低下
- 気分や自己効力感の向上
- ストレスからの回復を早める
などが確認されています。
8. 認知行動療法
コップに半分の水を、「もう半分しかない」と見るか、「まだ半分もある」と見るかの問題のように、ストレスも認知の仕方次第で感じ方が変わります。過剰にストレスや不安を感じやすい人は、いつもネガティブに考えがちだったりと、認知の仕方が偏ってしまっている可能性があります。認知行動療法は、普段どんな風に行動をして、どんな認知の仕方をしているのかに気づいて、それらの行動や認知を適切な方向へ修正する療法になります。
この方法は普通はカウンセラーなどに相談して受けるものですが、自分でやるのであれば客観的に自分の考え方を見直してみると良いかもしれません。ストレスの認知の仕方を変えるので、他の方法と比べて実践が難しい反面、実際に考えを変えられた時の効果も大きいでしょう。
認知行動療法の効果としては、
- ストレスの軽減
- 不安やうつの軽減
- 頭痛や痛みの軽減
- 心臓病や肥満などの改善
などに役立つことが分かっています。
9. マインドフルネス
マインドフルネスとは「今ここに集中すること」です。マインドフルネス瞑想で自分の頭を空っぽにすることに集中したり、食事でゆっくりと噛み締めて味わうことに集中したり、ヨガでゆっくりと体を伸ばして体の感覚に集中したりと、マインドフルネスの実践方法にはいくつもの種類があります。
マインドフルネスストレス低減法という8種間のマインドフルネスの訓練が、ストレスの低減の効果があることは多くの研究で分かっています。
マインドフルネスの効果としては
- ストレスの低減
- 不安やうつの軽減
- 生活習慣病の改善
などに役立つことが分かっています。
10.感情解放テクニック
感情解放テクニックとは、いわゆるツボ押しのこと。顔や手のひら、胸などにあるリラックスに効くツボを指で押す方法です。ツボ押しが本当に科学的に効果があるのかは意見が別れるところで、プラセボを超えた効果はないという研究結果もあれば、偽のツボを押した人よりも優位に効果があったという研究結果もあります。なので、他の方法と比べて信頼度は低めかもしれません。
感情解放テクニックの効果としては
- 不安やうつの改善
- ストレスの改善
- 頭痛や痛みの改善
に有効だという研究結果もあるようです。
まとめ
本稿では前編と合わせて「科学的に効果があるストレス軽減方法10選」についてお話ししました。
10個のストレス低減法をまとめると
- 漸進的筋弛緩法
- 自律訓練法
- リラックス反応
- バイオフィードバック
- 誘導イメージ療法
- 腹式呼吸
- 超越瞑想
- 認知行動療法
- マインドフルネス
- 感情解放テクニック
になります。
ストレスの低減方法をレパートリーとして持っておけば、いざストレスを感じたときに対処が楽になります。瞑想や深呼吸、筋弛緩などは簡単にできるものも多いので、寝る前やリラックスしたい時にやってみるといいのではないでしょうか。
以上、本稿はここまで。
[参考文献]
*1 : Stress Management Techniques: evidence-based procedures that reduce stress and promote health