習慣を定着させるには、環境の刺激と目標の刺激をうまく活用しよう

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良い行動でも、悪い行動でも、行動が習慣化すると、深く考えずとも自動的にその行動が取れるようになります。ジョギングも1年も続ければ頑張ろうと思わなくても自然と続けられるようになりますし、ジャンクフードや飲酒のような悪い習慣は無意識にやりたくなってしまうものです。

そして、習慣的な行動は環境と強く結びついています。例えば、コンビニに立ち寄るついジャンクフードを買ってしまうとか、図書館では勉強に集中できるけど自宅ではスマホをいじってしまうとか。場所や時間、一緒にいる人、自分の体の状態(疲労感、ストレス)などの環境の刺激が、習慣的な行動を引き起こしているわけですね。

それでは、環境が引き起こす行動を変えるにはどうすればいいのかというと、目標設定が役に立つと考えられます。「ダイエットのために毎日走る」など、目標設定をして思考をそちらに向けておけば、それも自動思考と同じように行動を導いてくれるというわけですね、

そこで、本稿では

  • 行動の自動化は環境と目標のどちらの影響を大きく受けるのか?

について実験してくれた研究を見ていきましょう。

習慣的な行動は、環境と目標のどちらが起こすのか?

南カリフォルニア大学らの研究(*1)では、習慣的な行動と環境や目標の関係を調べるために、105名の学生を対象に実験を行なっています。この実験では参加者のジョギングの習慣の強さを測定し、習慣として強く定着している人は

  • 環境の刺激(ジムなどの環境に関連する単語を見た場合)
  • 目標の刺激(体重などの目標に関連する単語を見た場合)

のどちらが無意識のレベルでのジョギングの行動に強く結びついているのかを測定しています。

結果:環境/目標と行動の自動化

その結果を見てみると、

  • ジョギングの習慣が強い人ほど、環境の刺激により無意識に行動が促進されていた。(習慣が強くなるほど環境の刺激の効果も強くなる直線の関係があった)
  • ジョギングの習慣が強い人と弱い人では、目標の刺激は行動を促進する効果が見られなかった。しかし、習慣が中程度の強さの人では、目標の刺激が行動を促進していた。(習慣の強さが中程度の場合に、目標の効果が一番高まる山なりの曲線の関係になっていた)

ということ。ちょうど下図のようなイメージ。

環境と行動が結びつくほど習慣が強くなる(青色の線)。目標の効果(赤色の線)は環境と行動が定着するまでの中盤を補ってくれる感じで、

  • 習慣として強く定着済み
    →目標は特に効果がなく、環境の刺激が一番強く働いて自動行動を促進する
  • 習慣として定着中
    →環境の刺激とともに目標の刺激も自動行動を推進してくれる
  • 習慣としてほとんど定着していない状態
    →環境の刺激も目標の刺激も自動行動は起こしてくれない

ということ。

1番の鬼門となるのは、行動の習慣を作り始めるとき。この状態ではまだ環境と行動が結びついていないし、目標も行動の自動化をおこしてくれません。なので誘惑に打ち勝って行動する意思力が必要になります。目標は行動の自動化を起こしてくれないだけで、モチベーションアップなどの効果はあるので、目標は必要ないわけではなく、初めから持っていた方が良いでしょう。

最初さえ乗り越えてしまえば、あとは目標設定と環境の刺激が行動を自動化してくれるので、意思力を以前ほど使わなくても楽に行動できるようになっていきます。

習慣を定着させるには

この研究からわかった習慣化の実践のポイントとして、次の3点を抑えると良いでしょう。

  • 行動の環境を固定する
    ジョギングなら近所のジムで行うとか、いくつかの決まったコースを走るなど、まず場所を固定することで習慣化を促進できます。また、朝一でジョギングするとか、月曜と木曜はジムに行ってランニングマシーンをするとか、行動のタイミングを固定することも効果的です。
  • 目標を決める
    目標は行動が定着するまでの助けとなるので、「体重を10kg減らす」とか「毎日5km走る」とかの目標を決めましょう。目標が行動を起こす刺激になることが大切なので、目に見える場所に張り出すとか、毎日体重の変化を記録するとかして、目標の刺激を得る機会を増やすと良いでしょう。
  • 一回を軽くして回数を増やす
    行動を自動化するには、何よりも繰り返すことが大切です。例えば、週2回10m走るよりも、週5回に分けて4kmずつ走る方が、行動の頻度を増やせるので習慣として定着しやすくなります。

まとめ

本稿では「環境刺激と目標刺激が習慣の定着にどう影響するのか?」についてお話ししました。

ポイントをまとめると

  • 行動を習慣として定着させるには環境が大切で、同じ環境で同じ行動を繰り返すほど行動は自動化されて楽になる
  • 目標の刺激は習慣として定着中の段階で、行動を自動化してくれる効果があるので、目標はやっぱり立てた方が良い
  • 習慣として強く定着すれば、目標の刺激は効果がなくなり、環境の刺激のみで自動行動できる

ということ。

新しい習慣を作りたいときは、目標設定と行動を行う環境をセットで考えるようにしましょう。そうすれば、最初は意思力が必要になりますが、段々と行動が自動化されて楽になっていきます。

以上、本稿はここまで。

参考文献

*1 : How do habits guide behavior? Perceived and actual triggers of habits in daily life

Naoto

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