筋トレをすると不安や落ち込みはすぐに改善されるのか?
筋トレは体を鍛えるだけでなく、メンタルも改善してくれます。これは研究でも分かっていて、筋トレを続けると
- 不安が軽減する
- うつが軽減する
- 人生の質が向上する
といった効果があることがわかっています。
しかし、これらの筋トレの効果を確かめた研究は、トレーニング期間を8週間など決めて筋トレを継続的に実践した時の効果を確かめたものが多いです。そうなると、筋トレで体が強くなるのに時間がかかるように、メンタルが改善するのにもある程度の期間が必要になるかもしれません。
そこで本稿では、
- 筋トレの短期的な効果としても、不安やうつを改善してくれるのか?
を確かめてくれたゴイアス大学の研究(*1)を参考に、不安が高まった時に単発的に筋トレをすることに効果があるのかを見てみましょう。
結果:筋トレ直後に不安は減るのか?
この研究では普段はあまり運動をしない21名の参加者を集めて、
- 半分は筋トレを実施するグループ
- もう半分は筋トレを実施しないコントロールグループ
にわけて、筋トレの効果を比較分析しています。
行った筋トレの特徴としては
- 種目はラットプルダウン、レッグプレス、ベンチプレス、プーリーロウで全身を鍛えている
- 重量は各個人の好きな重量でOK
となっています。重量が自由なのがこの実験の一つのポイント。重量をハードにしすぎると、辛かったり続けにくかったりするので、自分で楽しめるように筋トレの重量を設定できるようにしています。
そして、筋トレの前後で
- 不安は軽減しているのか?
- 気分の落ち込みは改善しているのか?
を測定しています。
結果:
筋トレ前後の変化の結果は次のグラフのようになっています。
左が不安の変化になっていて、右がうつの変化を表しています。
これらのグラフ方わかったことは、
- 不安は筋トレの後で軽減していた
(効果量d=0.71で大きな効果が得られていた) - うつは筋トレの前後であまり変化しなかった
ということ。
なので、不安が高まったときの対処として、スクワットとか腕立てとかの筋トレをしてみるというの良いでしょう。もちろん、長期的に継続していけば、効果も長期的に得られるので、筋トレを習慣にしてしまうのも有りです。
一方で、うつには単発の筋トレでは効果がなかったということ。しかし、長期的に続けた研究では効果が出ることは確認されているので、うつの軽減効果を得たいならある程度時間をかけてメンタルを鍛える必要がありそうですね。
まとめ
本稿では「筋トレは不安やうつをすぐに軽減してくれるのか?」についてお話ししました。
ポイントをまとめると
- 筋トレの後には、不安はすぐに軽減されて、しかも効果量もd=0.71で大きい
- 筋トレの後でも、うつは短期的にはあまり変化しない。うつの改善には長期的に取り組むことが必要。
ということ。
ジョギングなどの有酸素運動ももちろんメンタルの改善には効果があります。なので、自分の好きな運動を選べばいいのですが、筋トレは家の中でもできて続けやすいというメリットがあります。コロナで外に出歩けなくなると、不安も高まってしまうので、家の中でできる自分なりの運動方法を見つけてみるとよいかもしれませんね。
以上、本稿はここまで。
[参考文献]
*1 : Effects of short-term self-selected resistance training on anxiety and depression scores of sedentary individuals