完璧主義も自分を高めるために使えば目標達成に役立つぞ
完璧主義はどちらかと言えば悪いものに分類されることが多いです。なぜかというと、完璧主義な人はミスを気にしすぎたり、他人からの評価を気にしすぎたりして、自分に批判的で落ち込みやすい傾向があるからなんですね。
しかし、完璧主義には良い面もあって、例えば何かを極めようとするときには、完璧を追求することがプラスに働くことも考えられます。そこで本稿では、
- 完璧主義は目標達成の原動力になるのか?
を調べてくれたマサチューセッツ大学の研究(*1)を見てみましょう。
2種類の完璧主義と目標達成
マサチューセッツ大学の研究では、
- 良い完璧主義
自分を高めることを目指した完璧主義 - 悪い完璧主義
ミスや他人の評価を気にするタイプの自己批判につながってしまう完璧主義
の2つが目標達成にどのように影響するのかを実験で調べています。
どのように実験したのかというと、合計で304人に
- ダイエットの目標(週3回運動するなど)
- 音楽の目標(ミスなく自分のパートを弾けるようになるなど)
- 勉強の目標(1日3時間勉強するなど)
の3つの分野のいずれかで自分の目標を立ててもらって、それから1週間〜1ヶ月後の進捗を確認しています。このときに各参加者の自分を高める良い完璧主義の強さと、自己批判の強さの2つも測定がされ、進捗との関係性が分析されています。
結果:完璧主義と目標の進捗
実験の結果を見てみると
- ダイエットの目標では、自己批判が強いほど進捗が悪く(r=−0.22)、良い完璧主義は統計的に有意な効果はなかった(r=0.03)
- 音楽の目標では、自己批判が強いほど進捗が悪く(r=−0.15)、良い完璧主義は統計的に有意な効果はなかった(r=0.09)
- 勉強の目標では、自己批判が強いほど進捗が悪く(r=−0.29)、良い完璧主義は統計的に有意な効果はなかった(r=−0.03)
ということ。自己批判を伴う悪い完璧主義は目標達成にとってマイナスであることが分かります。一方で良い完璧主義は若干プラスになっていることもありますが、サンプル数がそれほど多く無い関係で統計的には有意な値にはなっていません。
そこで、これらの3つの実験をメタ分析でまとめた総合的な結果を見てみると
- 自己批判が強いほど、目標の進捗は悪かった(効果量d=−0.54)
- 良い完璧主義が強いほど、目標の進捗が良かった(効果量d=+0.27)
ということ。3つの実験を合わせてサンプル数を大きくすれば、良い完璧主義にプラスの効果が有意にあることが確認されています。効果量を比較して見ると面白いことが分かって、悪い完璧主義のマイナス効果の強さは、良い完璧主義のプラスの効果の2倍になっています。この点は重要なポイントで、目標達成率を高めるためには、まずは小さなミスや他人の評価を気にする自己批判をやめることが効果が高いということですね。
まとめ
本稿では「完璧主義は目標達成の原動力になるのか?」についてお話ししました。
ポイントをまとめると、
- 自分を高めようとする良い完璧主義は、目標達成を高めてくれる(d=0.27)
- 自己批判を伴う悪い完璧主義は、目標達成を阻害してしまう(d=−0.54)
- 悪い完璧主義の影響は、良い完璧主義の影響の2倍なので、まずは悪い完璧主義の自己批判をやめることが効果的
ということ。
勉強、運動、音楽活動、どの分野でも自分を高めようとする完璧主義は、目標達成を促進してくれます。目標と今の自分にギャップを感じても、それを劣等感や自己批判に繋げるのでなく、自分の伸び代だと考えてモチベーションに変えていきましょう。
以上、本稿はここまで。
[参考文献]
*1 : The Effects of Self-Criticism and Self- Oriented Perfectionism on Goal Pursuit