リスキーな行動の取りやすさは、年齢や性別でどう変わるのか?
車でものすごいスピードを出したり、ギャンブルにお金を注ぎ込んだりと、世の中にはリスキーな行動をとってしまう人がいます。人間は本来はリスクを嫌う傾向があるのですが、特定の状況や特定の状態ではリスクを取りやすくなってしまうこともあります。
そこで本稿では、リスキーな行動を取りやすい人の特徴を分析してくれた2つの研究から
- 若者と大人ではどちらがリスキーな行動を取りやすいのか?
- 仲間が近くにいることでリスキーな行動を選びやすくなるのか?
- 男性と女性ではどっちがリスキーな行動を取りやすいのか?
について学んでいきましょう。
リスキーな行動と年齢/仲間
テンプル大学の研究(*1)では、若者と大人でリスキーな行動の取りやすさに違いがあることを想定していて、
- 基本的にはリスキーな行動は若者に多いのでは?
- 若者は友達と一緒にいるときに、悪ノリでリスキーな行動が増えてしまうのでは?
- 大人は人の目が無い一人の状況で、よりリスキーな行動をとってしまうのでは?
ということを実験により調べています。
どのような実験で調べたのかというと、
- 13〜16歳の青年106人、18〜22歳の若者105人、24歳以上の大人95人の3つの年齢グループを作成
- 各グループでリスキーな行動のシナリオを5つ読んで、それがどれだけリスクがあって、どれだけ利益があるのかを回答してもらう。これにより、コストと利益をうまく考えられているかを測定する。
- さらに車の運転ゲームで、衝突の危険がある黄色信号でどれだけ突っ走るかを測定。(黄色信号で突っ走った方が移動距離が伸びてスコアが高くなるけど、衝突するとゲームオーバー)
- 各グループとも、自分一人の場合と、仲間と一緒にいる場合の2パターンでリスキーさが測定されている
という感じです。
結果:リスキーな行動と年齢・仲間の影響
実験の結果は次のグラフになっています。
このグラフからわかるのは、
- 基本的には年齢が高くなるほどリスキーな行動は減る傾向がある
- どの年齢でも仲間と一緒にいるときにスキナー行動は増えてしまう
- 特に年齢が若くて仲間と一緒にいるときに、リスキーな行動はグッと増えてしまう(グラフの青年の黒い棒グラフ)
ということ。
やはり、若い人は周りの仲間に同調する傾向があるようで、仲間と一緒にいることでリスキーさがエスカレートしてしまうようです。若い人には友達がやっていたからという理由で、一緒に悪事や犯罪に手を出してしまう人も多いということ。なので若いうちは付き合う仲間には気をつけたほうが良いでしょう。
リスキーな行動と性別
2つ目のカリフォルニア大学の研究では、
- 男性と女性でどちらがリスキーな行動が多いのか?
を調べてくれています。この研究ではお金を使ったギャンブルの実験を対象にしていて、これがどんなものかというと、
- 参加者は最初にお金が与えられる(例えば、250ドル)
- 参加者は賭けた金額に対して、p%の確率で金額がk倍になるギャンブルに好きな金額をかける(例えば、50%の確率で賭け金が2.5倍になって戻ってくる)
- 男性と女性でどちらがより多くの金額をギャンブルに注ぎ込むのかを分析
という感じになっています。
結果:性別とギャンブルの金額
この形式の実験は先行研究でいくつも行われているようで、それらの結果をまとめると
- 2010年の50%の確率で2.5倍の研究では、男性は79.5%の金額を賭けて、女性は48%の金額しか賭けなかった
- 2007年の同様の研究では、男性は61.7%の金額を賭けて、女性は49.6%の金額しか賭けなかった
- 2004年の25%の確率で6倍の研究では、男性は66.54%の金額を賭けて、女性は50.58%の金額しか賭けなかった
などなど、他の研究でも似たような結果が得られています。
つまり、これらの研究からわかることは、
- 女性の方がリスクを嫌う傾向が強く、男性の方がリスキーな行動を取りやすい
ということですね。女性は家庭的で安定を選びやすく、男性の方がバカな行動を取りやすいイメージがありますから、その通りの結果となったわけですね。
まとめ
本稿では「リスキーな行動が多い人の特徴と状況」についてお話ししました。
ポイントをまとめると、
- 年齢が若いほどリスキーな行動が多い
- 一人でいるときよりも、仲間といるときの方がリスキーな行動は増えやすい
- 女性よりも男性の方がリスキーな行動は多い
ということです。
若い男性が仲間とつるんでバカなことをやってしまうのも納得の結果となっていますね。リスキーな行動をやめたければ、まずは付き合う仲間を変えてみるのもいいでしょう。
以上、本稿はここまで。
[参考文献]