勉強は表現を分散するより、タスクの種類を分散した方が効果が高いという研究
勉強は一つのことをまとめて学習するより、複数の内容を分散して学習する方が効果が高いことが分かっています。例えば、1週間まるまる数学を勉強して、次の1週間はまるまる英語を勉強するよりも、毎日数学と英語を細かく分散して学習したほうが定着が速くなるんですね。
ちなみに、一つの科目をまとめて学習する方法はブロック学習、他の教科と一緒に細かく間を開けて学習する方法はインターリービング学習とも言われています。
それで、カーネギー・メロン大学の研究(*1)では、このインターリービング学習のポイントとして、
- インターリービング学習では、タスクの表現とタスクの種類のどちらを分散するべきか?
ということを調べてくれていました。本稿ではこの研究を参考に、うまく勉強を分散させて学習効率を上げる方法について学んでいきましょう。
タスクの表現とタスクの種類とは?
この研究では、小学生の分数の学習を対象に、タスクの表現とタスクの種類のどちらをインターリービングしたときに学習効果がより高いのか?を実験しています。
タスクの表現
タスクの表現とは、同じ勉強内容を様々な形式の図やグラフで多面的に見せる方法です。例えば、分数の3/4も次のように様々なグラフで表現ができます。
このように同じ分数の勉強でも様々な表現で説明して上げると理解度の向上が期待できますよね。1つ目の問題を円グラフで解いたら、次の問題は目盛りで解くみたいに、タスクの表現を細かく分散するのがタスクの表現のインターリービングのポイントです。
タスクの種類
タスクの種類のインターリービングは、分数を使った様々なタスク(問題)を分散して解くことです。
- グラフから分数を読み取る問題
- 分数と分数を比較する問題
(1/4のピザと2/5のピザはどちらが大きいか?) - 分数を加算する問題
(1/8のピザと1/4のピザを合わせたらどのくらいの大きさか?)
といった感じで、分数に関する様々な問題を分散して解くのが、タスクの種類のインターリービングのポイントです。
実験:タスクの表現とタスクの種類の効果の違いとは?
カーネギー・メロン大学の研究では、158人の小学生を対象に、2つのインターリーニングの効果を測定しています。
タスクの表現のインターリービングのグループでは、
- 分数の加算の問題を円グラフ→目盛り→集合の表現の順で学ぶ
- 分数の比較の問題を円グラフ→目盛り→集合の表現の順で学ぶ
- 分数のグラフ読み取りの問題を円グラフ→目盛り→集合の表現の順で学ぶ
といった感じで、タスクの種類(加算、比較、グラフ読み取り)をブロックにして、表現(円グラフ、目盛り、集合)を細かく分散します。
タスクの種類のインターリービングのグループでは
- 円グラフ表現で分数の加算→比較→グラフ読み取りの順で学ぶ
- 目盛り表現で分数の加算→比較→グラフ読み取りの順で学ぶ
- 集合表現で分数の加算→比較→グラフ読み取りの順で学ぶ
といった感じで、タスクの表現(円グラフ、目盛り、集合)をブロックにして、種類(加算、比較、グラフ読み取り)を細かく分散します。
ちなみに、タスクの種類や表現は実際にはもっと数があって、合計のタスク数は106個になっています。小学生はこれらの106のタスクを、それぞれのグループで決められた順番に従って、自分のペースで学習を進めます。
結果:学習効果が高いはどちらか?
最終的に分数のテストを行って、学習効果がより高かったグループを比較した結果を見てみると、
- 様々な表現の図やグラフを分数に置き換える理解力は、タスクの種類を細かく分散したグループの方が有意に高かった
- 分数に対して加算や比較などの処理を行う能力は、2つのグループで差は出なかった
ということ。
つまり、勉強はタスクの種類をインターリーニングして、様々な種類の問題を細かく分散して解く方が効果が高いということです。例えば、よくある問題集では同じ形式の問題が1箇所にまとまっていることが多いですが、それらは1日でまとめて行う代わりに、様々な問題に少しずつ触れるようにすると学習効果も向上するでしょう。
まとめ
本稿では「インターリービング学習では問題の表現と種類のどちらを分散するべきか?」についてお話ししました。
ポイントをまとめると、
- 勉強は同じ内容をまとめて学習するよりも、複数の内容を細かく分散して学習する方が効果が高い
- 分散するときには、特にタスクの種類を細かく分散すると学習効果が高まりやすい。
ということ。
一つの内容を短期的に集中して学習することは、その学習が終わった直後の理解度はすごく高まる反面、時間が経過すると学習効果も低下してしまいます
私も最近はUdemyでオンラインのプログラミングのコースを学習したりしていますが、この場合でも1つコースを続けて勉強するより、毎日複数のコースを少しずつ勉強する方が学習効果は高くなりそうですね。
[参考文献]
*1 : Interleaved practice in multi-dimensional learning tasks: Which dimension should we interleave?