運動が睡眠の質を改善するのに、運動の強度やストレスはどう影響するのか?
運動は体を健康にしたり、ストレスを低減したり、メンタルを整えたりと様々な効果がありますが、それらの効果の一つとして睡眠の質も改善してくれることが分かっています。
そこで本稿では、運動により睡眠の質を高めるためのポイントとして
- 運動の強度によって睡眠の質の高まり方は違うのか?
- 運動が睡眠の質を改善するのにストレスは関係するのか?
という2つの研究を見てみましょう。
運動の強度と睡眠の質
一つ目の研究では、2010年〜2018年の研究の中から一定の基準を満たす研究14件を選出して、運動の強度と睡眠の質の改善について総合的なレビューをしてくれています。
研究のまとめ方として運動の強度は
- 中程度の運動
- 高強度の運動
の2つの分類になっていて、質の良い睡眠とは
- ベッドにいる時間の85%以上は眠れている
- ベッドに入ってから30分以内に眠りにつける
- 夜に2回以上起きてしまわない
- 夜に目覚めてしまう時間が20分以内
というような意味になっています。
結果:
早速結果を見てみると、
- 中程度の運動で睡眠の質が向上したという研究が多くあった
- 高強度の運動は睡眠の質が向上したという研究の数は少なかった
ということ。確実に睡眠の質を向上させたいのであれば、中程度の運動を行うのがベストですね。
ちなみに、中程度の運動の研究では
- 様々な運動の種類で睡眠の質は向上していた
- 若者から高齢者まで、全ての世代で睡眠の質は向上していた
ということも分かっています。
なので、自分の好きな運動を気持ちいいと感じるくらいの強度でやれば良いのではないでしょうか
運動のストレス耐性と睡眠の質
続いては中国の研究で、
- 運動するとストレスに強くなるので、それが睡眠の質を向上しているのでは?
ということを調べてくれています。仕事などでストレスで溜まると、メンタルが悪化して夜眠れなくなってしまったりします。そのため、ストレス耐性を上げられれば、睡眠の質も向上できる可能性があるんですね。
この研究の対象は6973人の学生となっていて
- 週の運動量
- 睡眠の質(寝付くまでの時間、睡眠時間、睡眠効率、日中の眠気など)
- ストレス(日常を自分でコントロールできずに振り回されているストレス)
が測定されています。
結果
データの分析結果を見てみると
- 男性の場合には、運動が睡眠の質を向上する効果の42.4%は、ストレスが低減したおかげだった
- 女性の場合には、運動が睡眠の質を向上する効果の306.3%は、ストレスが低減したおかげだった
ということ。
つまり、運動が睡眠の質を改善する背景には、ストレスの低減が大きく影響しているわけですね。女性の場合には100%を超えているので、運動が睡眠の質を改善する以上に、ストレスの低減が睡眠の質を改善する方が大きいようですね。
まとめ
本稿では「運動と睡眠の質」に関する2つの研究を見てきました。
ポイントをまとめると、
- 高強度の運動よりも、中程度の運動の方が睡眠の質は改善しやすい
- 運動が睡眠を改善するのは、運動によりストレスが低減する効果が大きく関わっている
ということ。
ストレスが溜まっているときや、なかなか眠れない日と続くときは、適度な運動でストレスを発散してみましょう。
以上、本稿はここまで。
[参考文献]
*1 :The effect of physical activity on sleep quality: a systematic review