セルフコントロール能力が高い人はなぜ幸福感も高いのか?
セルフコントロール能力とは、目先の誘惑に負けずに長期的な選択をする能力のこと。セルフコントロール能力は人生の成功には欠かせないもので、
- セルフコントロール能力が高い人ほど、学業成績が良い
- セルフコントロール能力が高い人ほど、人間関係が良い
- セルフコントロール能力が高い人ほど、より健康的な生活習慣をしている
といった傾向があることがわかっていて、最終的には
- セルフコントロール能力は人生の幸福感も向上してくれる
ということまで分かっています。
そこで本稿では、
- セルフコントロール能力が高い人が幸せになれるのは、長期的な選択がうまいだけでなく、思考のコントロールも上手いのが影響しているのでは?
ということを調べてくれたマーストリヒト大学の研究を見てみましょう。
セルフコントロール能力と思考のコントロール能力
マーストリヒト大学の研究では、合計で494人を対象にして
- セルフコントロール能力
- 思考のコントロール能力
- ストレスの対処法
について調べています。
ストレスの対処法は人や場合によって様々で、次のようなことが考えられます。
- 何かアクションを取る
- 計画を練る
- 周りの人に感情面をサポートしてもらう
- 周りの人に解決面のサポートをしてもらう
- ポジティブに考え直す
- 受け入れる
- 信仰心を使う
- ユーモアを使う
- 感情を吐き出す
- 現実を否定する
- アルコールや薬物に手を出す
- 諦めて無気力になる
- 他の活動に集中する
- 自分を責める
これらは分類すると次の4つの系統に分けることができます。
- 不適応系
自分を責めたり、現実逃避したりとあまり良くない対処方法 - 社交系
他の人に助けを求めたり、話を聞いてもらったりとする方法 - 問題解決系
ストレス源への対処計画を考えたり、ストレスを感じないように認識を変えたりする方法 - ポジティブに気晴らし系
ユーモアで笑い話にしたりする方法
そして、この研究で調べたいのは
- セルフコントロール能力が高い
→思考のコントロールもうまい
→そういう人はストレスにも良い対処をする
→結果として幸福感が向上する
という関係があるのか?となっています。
結果:
実験の結果を見てみると、
- セルフコントロール能力が高い人は、思考のコントロールもうまかった
- セルフコントロール能力が高い人ほど、現実逃避などの不適応な対処法をすることが少なく、問題解決や助けを求めるなどの順応的なストレス対処法をするのがうまかった
- セルフコントロール能力が高い人は幸福感も高かったが、それは思考のコントロールが上手いおかげだった
ということ。
セルフコントロールが高い人は、学業や仕事などで成功しやすいことで、幸福感が高まっていることも確かにあるかもしれません。しかし、今回の研究で分かったのは、セルフコントロール能力が高い人は、思考のコントロールが上手いおかげで、ネガティブ感情やストレスなどの人生の負の面に対してもうまく対処できていて、それも幸福感を上げる要因になっているということです。
まとめ
本稿では「セルフコントロール能力が高い人はなぜ幸福感も高いのか?」についてお話ししました。
ポイントをまとめると、
- セルフコントロール能力が高い人は、長期的な選択がうまいだけでなく、自分の思考をコントロールするのがうまい
- そのため、ネガティブな出来事があっても、思考を良い方向に向けてうまく対処することができる
- セルフコントロール能力が高い人が幸福感が高い理由の一つは、こうしたネガティブな出来事で幸福感が低下しにくいから
ということ。
何かに成功するためだけでなく、幸福感が低下してしまう人生の谷間で自分のコントロールを失わないためにも、セルフコントロール能力は高めていきたいものですね。
以上、本稿はここまで。
[参考文献]