内発的なモチベーションがあれば、疲れにくくなり努力が継続できるのか?
勉強や仕事など、頭や忍耐力を使うことを続けると、身体的にも心理的にもどっと疲れを感じます。しかし、この疲れの感じ方は何をやるのかで変わってくるもので、
- 自分の好きなゲームなら何時間もぶっ続けられる
- 難解でよく分からん数学の本は、10分で集中力が切れてしまう
- へとへとに疲れているけど、報酬がもらえると聞くと一気にやる気が出る
などが起こり得ます。
そこで本稿では、
- 好きという気持ちから生まれる内発的モチベーションは、その活動への心理的疲労やパフォーマンスの低下を防いでくれるのか?
を調べてくれたフローニンゲン大学の研究(*1)を見てみましょう。
内発的モチベーションと心理的疲労
フローニンゲン大学の研究では、32人の参加者に数独パズルを長時間解いてもらって、心理的な疲労やパフォーマンスの変化を測定しています。
数独パズルのセッションは1回13分で、合計で14セッション(約3時間)を行っています。ここで、数独パズルには2種類のパターンが用意されていて、この2つを交互に行うようになっています。
- 面白い数独パズル
1つの数独パズルを次のセッションでも引き継げて、クリアするまでその問題に取り組むことができる - つまらない数独パズル
一つの問題を解き切ることができず、途中で次の問題へ移ってしまう
3時間も頭を使う数独の問題を行うと、疲れも溜まってパフォーマンスも落ちてしまうものなので、面白いパズルとつまらないパズルでこのパフォーマンスの落ちに差が出るのかを測定しています
結果:面白さと疲労感
最初に時間の経過による疲労感の変化を分析した結果を見てみると、
- 面白いパズルとつまらないパズルの両方で、疲労感は時間とともに高まっていった
- パズルに対して感じている苦労感は、面白いタスクでは低く、つまらないタスクでずっと高かった
ということ。
つまり、タスクが面白くてもつまらなくても、長時間続ければ確かに疲労感は溜まっていくものですが、つまらないタスクの方が続けるのにかかる苦労が大きいと感じやすいので継続が難しいということですね。
結果2:面白さとパフォーマンス
次にパフォーマンスの低下の結果を見てみると、
- パズルの問題への回答速度はつまらないパズルの方が遅く、どちらのパズルでも時間とともに低下していった
- パズルの正答率は面白いパズルの方が高く、正答率は時間とともに変化しなかった
- トータルの画面のクリック数は面白いパズルの方が多く、どちらのグループでも時間とともに増えていった
ということ。やはり面白いタスクの方がパフォーマンスは高くて、時間がたっても維持しやすいという結果になっています。
結果3:なぜパフォーマンスが落ちにくいのか?
それではなぜこれらのパフォーマンスの差が出たのかを調べた結果を見てみると
- つまらないパズルでは、気が散ってしまうことが多かった
- 面白いパズルの方が、パズルに積極的に取り組んでいた
- 面白いパズルの方が、パズルを解こうと努力を多くしていた
ということ。つまり、面白いパズルの方が、時間が経ってもパズルへ向ける努力量が減りにくくなっているわけですね。
まとめ
本稿では「内発的なモチベーションがあれば、疲れにくくなり努力が継続できるのか?」についてお話ししました。
ポイントをまとめると
- 内発的なモチベーションを感じていると、疲労感は確かにたまるが、その活動への努力量や集中力は落ちにくい
- その結果として、内発的モチベーションを感じている方が、パフォーマンスも高く維持しやすい
ということです。
何時間も続けたいタスクがある場合には、そのタスクに面白さを感じられるようにしてみると良いでしょう。
[参考文献]