高タンパク質ダイエットで睡眠の質も改善するという研究
ダイエットにも色々と種類がありますが、その中でもマクロ栄養素(炭水化物・脂質・タンパク質)のバランスに着眼している
- 糖質制限ダイエット
- 低脂質ダイエット
- 高タンパク質ダイエット
は有名どころ。ちなみに、これらの3つのダイエットはどれかが一番良いというものではなく、カロリーをきちんと抑えることができれば、どのダイエットでも効果は得られます。
本稿では、これらのダイエット方法の中から、高タンパク質ダイエットの副次的な効果として、
- カロリー制限中にタンパク質を増やすと、睡眠の質も良くなるのでは?
ということを調べてくれたパデュー大学の研究(*1)を見ていきたいと思います。
高タンパク質ダイエットと睡眠の質
まず最初に高タンパク質ダイエットがどんなものかというと、
- 食事におけるタンパク質の割合を増やすダイエット方法
になります
。糖質を完全にカットしたり、脂質を最低限に抑えたりのような激しい制限はしませんが、タンパク質の割合を増やすことで糖質と脂質は少しずつ減るわけですね。最近ではプロテインを飲むとダイエットに良いと聞くようになりましたが、これも高タンパク質ダイエットの一種と言えるでしょう。
実験1: 高タンパク質ダイエットと睡眠の改善
パデュー大学の研究では2つの実験により、高タンパク質ダイエットで睡眠の質が改善するのかを測定しています。一つ目の研究の概要としては、
- 参加者は14名の肥満体型の人
- 実験期間は4週間で、その間は750kcal分のカロリー制限を行う
- タンパク質の摂取量はカロリー全体の10%・20%・30%の3パターンで実施
- 摂取するタンパク質は、ビーフ・ポーク・豆など自分の好きなもので良い
といった感じ。ちなみに摂取するタンパク質の目安としては、10%は1日に40g、20%では80g、30%では120gくらいになります。
そして、睡眠の質としては、
- 睡眠時間
- 夜中に起きてしまうなどの睡眠弊害
- 寝付くまでの時間
- 寝不足による日中の機能低下
- ベッドで起きている時間と寝ている時間の割合
- 主観的によく眠れているか
- 睡眠に関する薬の使用
といったものを総合的にまとめた指標を使って測定しています。
結果:タンパク質の割合と睡眠の質
実験の結果として分かったことは、
- 10%のタンパク質では一番睡眠の質が悪かった
- 20%のタンパク質になると睡眠の質が改善した
- 30%までタンパク質を向上しても20%以上に改善はしなかった
ということ。
つまり、タンパク質ダイエットで確かに睡眠の質は向上して、それにはカロリー全体の20%以上をタンパク質にすれば良いということですね。目安としては80g以上のタンパク質になるので、脂質が少なめなのお肉や魚、植物性タンパク質などを意識的に取らないと達成はできないかもしれません。
実験2:長期的な効果はどうか?
2つ目の実験では、
- 44名が対象
- 実験の期間は20週間で、750kcal分のカロリー制限を行う
- 体重1kg当たり0.8gのタンパク質を取るコントロールグループと、体重1kg当たり1.5gのタンパク質を取る高タンパク質グループを比較
といった感じで、実験1よりも長期的な効果を調べてくれています。
結果:
結果として、睡眠の質は下のグラフのようになっています。
この結果からわかるのは、
- 高タンパク質グループの方は睡眠の質が改善しているが、低タンパク質のグループでは同じようにカロリー制限しているのに睡眠の質は改善していなかった
- 高タンパク質グループの睡眠の質は、16週間後まで徐々に良くなっていっている
ということ。なので、タンパク質で睡眠の質を改善する場合には、高タンパクな食事を習慣として長期的に続けていくと良いでしょう。
まとめ
本稿では「高タンパク質ダイエットで睡眠の質も改善するのか?」についてお話ししました。
ポイントをまとめると、
- カロリー制限とともにタンパク質の割合を20%以上に増やすと、睡眠の質が改善する
- カロリー制限をしても、タンパク質の割合が低いと睡眠の質は改善されない
- 高タンパク質ダイエットの睡眠改善は長期的にも効果が持続する
ということ。
タンパク質の摂取量を増やそうとして、安易にお肉ばかり食べすぎると、脂質のカロリーでカロリーオーバーしてしまうこともあります。タンパク質として何を食べるのかにも気をつけると良いでしょう。手軽にタンパク質を増やしたいのであればやっぱりプロテインがおすすめですね。
以上、本稿はここまで。
[参考文献]