タイムマネジメント能力でパフォーマンスも幸福感も向上するというメタ分析
「時間が足りない」は大半の人が感じているもの。これは仕事だけでなく生活面でも同じことで、子供の面倒を見なければいけないし、資格の勉強もしなければいけないなど、時間に追われている人も多いのではないでしょうか。
そこで、限られた時間をうまく活用するタイムマネジメント能力の価値が年々高まっています。タイムマネジメント能力が具体的にどのようなものかというと、
- 隙間時間をうまく活用する
- 優先順位をつけて大事な活動にリソースを割り振る
- 無駄な仕事にはNoを言って引き受けない
と言った感じで、時間を作る・時間を使う・時間を守るの3つ意味が含まれています。
本稿ではタイムマネジメント能力に関して
- タイムマネジメント能力が高い人ほど、パフォーマンスが高く、幸福感も高いのか?
を調べてくれたコンコルディア大学の研究(*1)を見ていきましょう。
タイムマネジメント能力とパフォーマンス・幸福感
コンコルディア大学の研究では、メタ分析という手法で、過去に行われたタイムマネジメント能力に関する研究158件をまとめ上げてくれています。この研究ではタイムマネジメント能力の効果を
- 仕事のパフォーマンス
- 学業のパフォーマンス
- 人生の幸福感
- 人生の苦悩
の4つの観点でまとめてくれていますので、順番に見ていきましょう。
結果①:仕事のパフォーマンス
ます最初にタイムマネジメント能力と仕事のパフォーマンスの関係の分析結果を見てみると、タイムマネジメント能力が高い人ほど
- 成果ベースのパフォーマンスが高かった(0.221)
- 行動ベースのパフォーマンスが高かった(0.297)
ということ。さらにもう少し具体的な行動レベルの効果を見てみると、タイムマネジメント能力が高い人は
- 創造力が高かった(0.460)
- 他人を多く助けていた(0.160)
- 仕事への関与が強かった(0.207)
- 先延ばしが少なかった(0.374)
- モチベーションが高かった(0.352)
- より積極的だった(0.267)
となっています。
タイムマネジメント能力は仕事の様々なパフォーマンス面と相関していることが分かります。やはり、タイムマネジメント能力は仕事に欠かせない重要なスキルなようですね。
結果②:学業のパフォーマンス
続いて、タイムマネジメント能力と学業のパフォーマンスの分析結果を見てみると、タイムマネジメントの能力が高い人は
- 成果ベースのパフォーマンスが高かった(0.262)
- 行動ベースのパフォーマンスが高かった(0.430)
ということ。もう少し具体的な効果を見てみると、
- GPAが高かった(0.213)
- テストの点数が高かった(0.228)
- 先延ばしが少なかった(0.490)
- モチベーションが高かった(0.381)
ということです。
仕事の結果を見比べてみると、学業面では先延ばしにより大きな効果が出ています。タイムマネジメントがうまくなると、時間がないと言い訳して勉強を避けることが減るのかもしれませんね。
結果③:人生の幸福感
続いてタイムマネジメントが上手い人ほど幸福感が高いのかの分析結果を見てみると、タイムマネジメント能力が高い人は
- 総合的な幸福感が高かった(0.313)
- 仕事の満足感が高かった(0.248)
- 人生の満足感が高かった(0.426)
- 精神面の健康が高かった(0.556)
- 楽観的であった(0.305)
- ポジティブな感情が強かった(0.280)
- 自己実現が強かった(0.280)
- 目的感を強く感じていた(0.351)
ということ。
面白いのがタイムマネジメント能力はパフォーマンスの向上(0.221)よりも、人生の幸福感の向上効果(0.313)が大きいということ。また、仕事の満足感よりも人生の満足感への効果が大きいことから、タイムマネジメント能力は仕事だけでなく、普段の生活においても大切なものだと分かります。
結果④:人生の苦悩
最後にタイムマネジメントが上手い人は人生の苦悩をどれだけ少ないかを分析した結果を見てみると、タイムマネジメント能力が高い人ほど
- 感情的に疲れることが少なかった(−0.260)
- ストレスが少なかった(−0.286)
- 仕事と家庭の間での摩擦が少なかった(−0.163)
- 不安が少なかった(−0.181)
- 落ち込みが少なかった(−0.226)
- 心理的な苦痛が少なかった(−0.358)
- 絶望が少なかった(−0.218)
- 退屈が少なかった(−0.310)
- 心配が少なかった(−0.191)
ということ。
タイムマネジメント能力は人生の様々な苦悩を減らしてくれることが分かります。考えてみると時間が足りないは大きなストレスの原因です。そのため、時間をうまく使えるようになるだけでも、やることが山積みのストレスを大きく減らせますし、自分のタイムマネジメントの自信が持てれば将来の不安も軽減されるのでしょう。
まとめ
本稿では「タイムマネジメント能力はパフォーマンスと幸福感を上げてくれるのか?」についてお話ししました。
ポイントをまとめると、
- タイムマネジメント能力が高いと、仕事のパフォーマンスが高い
- タイムマネジメント能力が高いと、学業のパフォーマンスが高い
- タイムマネジメント能力が高いと、人生の幸福感が高い
- タイムマネジメント能力が高いと、人生の苦悩が少ない
ということ。
変化のスピードの速い現代において、タイムマネジメント能力はかなり重要なスキルのようです。時間を作る・時間を使う・時間を守るの3つの側面から、自分の時間を有効活用していきましょう。
以上、本稿はここまで。
[参考文献]